LM.C「怪物園」インタビュー|デビュー15周年でたどり着いた新しい場所 (2/2)

自分で課したハードルが一番厄介なんです

──「End of the End」はコロナ禍の状況を反映したシリアスな内容でありながら、mayaさんイズムもしっかりある歌詞になっていますね。

maya 本当にそう思いますね。そこのさじ加減が難しくて。まあ、結果的に天才現るという感じではありますけど(笑)。

──「Panic Time」の「この慢性的現状況下 まともでいられるなら それこそまともじゃない」もグッとくるパンチラインで。

maya はいはい。パンチラインのみでお送りしてますから。

Aiji ひさしぶりのインタビューで、ヤバいやつって誤解されるよ?(笑)

──(笑)。現実的なだけでもなく、理想ばかり述べているわけでもなく、その温度感が絶妙ですよね。

maya 適当にはできないなあというのは感じてました。メロディが先にあるので、なんでもいいから言葉をはめるだけならすぐ書けるんですよ。10年以上このユニットをやってるので、経験で書くこともできる。でも、それは違うんだよなって。あと、個人的にはこれまでに使ったことがある表現を避けたいんですよ。そんなの気にしてるのは自分だけだろうなと思うんですけど、自分が気になるんですよね……。

──Aijiさんは、mayaさんが悩んでるのは感じてました?

Aiji 今回に限らず、毎回悩んでるので(笑)。昔はそれこそ歌詞が書けなくて歌録りを飛ばしたりとかもありましたけど、ある時期からそういうことはなくなったので、今は心配してないです。まあ、できるでしょうと。そういう意味では期待感しかなかったですね。「End of the End」に歌詞が乗ってきたときも、「今度はこういう世界観なんだ」、「このメロディにこういう乗せ方をしてきたんだ」って感じで客観的に受け取りました。歌詞を最初に受け取る立場というのを、より楽しめるようになってきてる気がします。

──mayaさんとしては、「End of the End」が書けたあと、作詞のモードに入れた感じがあったんですか?

maya 全然そんなことないですよ。

Aiji ゾーンにはいつまで経っても入らないっていうね(笑)。

maya というか、やるって決めたら入っているようなもんなんですよ。今回はそれまでが長かったんです。でも、どうせなんとかするんだろうなという自分への信頼というか、過信に近い自信みたいなものがあるので。どんなミュージシャンでもそうだと思うけど、自分で課したハードルが一番厄介なんですよ。自分から出てきたものへのディレクションとか、ジャッジメントを甘くしないというのが常にあって。そこさえクリアすれば、あとはLM.Cにとって最新の素敵なものが完成すると思ってました。特に歌詞に関しては、応援してくれてる仲間たちが期待してくれていると思うので。その分大変ですけど、やりがいはあります。

──今の時代にmayaさんが何を歌ってくれるんだろうという期待感はファンの皆さんの中にきっとありますよね。

maya その期待には確実に応えています。書いているときは、第三者に届くかどうかは二の次なんですけどね。でも、15年以上やってるグループを2020年以降いろんなことを経ても応援し続けてくれてる人たちって、ちょっと頭のネジが何本か外れてると思うので(笑)、そういう人たちにより刺さる作品になるだろうなというのは想像しました。まだ見ぬ人たち、いつか出会う人たちにもつながる作品にもなってると思いますね。

Aiji  mayaはすぐエゴサするんですよ(笑)。

maya はい。でも、mayaとかLM.Cってエゴサしにくいんですよねえ(笑)。

maya(Vo)

maya(Vo)

気付いたら20周年になってるんだろうなあという気もしてる

──「End of the End」は昨年にライブで先行して披露されていましたが、手応えはいかがでしたか?

Aiji そもそも新曲をライブで初披露することがこれまでほとんどなかったので、よくわからない緊張感がありましたね。でも、そういうことを楽しめるのもいいかなと。ライブならではというか、その瞬間にしか感じられないムードを楽しむようにしていました。

──今回はアルバム発売より先に3月21日にツアーが始まるんですよね(※取材は3月中旬に実施)。どのようなツアーになりそうですか?

maya リリース前の新曲をライブで初披露するって、いわゆるインディーズバンド的な感じですよね。ライブで聴いてもらって「リリース楽しみにしてください」と伝えることなんてこれまでなかったので、その感覚を楽しみたいなと思います。

Aiji やっぱり例年に比べたらライブ自体が本当に減っているので、ライブの勘がどんどん抜けていくというか、なかなか戻らないんですよ。そんな中でひさしぶりのツアーなので、正直どうなるかまだよくわかってないです。でも、今までどんな状況でも常に自分たちらしいライブをやってきたので。新曲は増えてますけど、結果「LM.Cだったね」というものにはなるんだろうなと思って、そこは心配していないです。あとはもう生で音楽を届けられる、一緒に共有できることに感謝しながらやれればいいかなって。多くは望まないし、ライブをやれるってことがありがたいという気持ちですね。ファンの人に対しても、ツアーをやれないんだったらアルバムは出さない、アルバムを出すんだったらツアーをやりたいということを匂わせていたので。ようやくということで、楽しんでもらえたらいいなと思います。

──現在デビュー15周年イヤーの最中ですが、15周年を迎えた心境はいかがですか?

Aiji 気付けば……という感じですね。特にコロナ禍になってから空白の2年があって、活動が途切れたような気持ちもあるし、ちょっと不思議な感覚です。まあ、気付いたら15年経っていたので、気付いたら20周年になってるんだろうなあという気もしてるし。さっきの話と重なりますけど、15年やってきたんだな、やらせてもらえたんだなということに対しても、ありがたく感じながらツアーを回れたらなと思います。

maya 15年、よくやってきたなと思いますよ。気付けばという部分もありつつ、振り返ると、やっぱり思い出や歴史が15年分あるので。一番幸せな形だなと思いますね。15周年を迎えたタイミングの2021年は状況的にアニバーサリーライブができなかったんですけど、今年の9月にできるので、そこまで無事にいきたいです。毎公演「せめてこの1本だけは」という気持ちをつないでツアーをやりきった先に、15周年記念ライブができたら最高だなと思います。

LM.C

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ライブ情報

LM.C TOUR 2022「怪物園」

  • 2022年3月21日(月・祝)東京都 白金高輪 SELENE b2
  • 2022年3月24日(木)大阪府 ESAKA MUSE
  • 2022年3月25日(金)愛知県 ElectricLadyLand
  • 2022年4月8日(金)宮城県 darwin
  • 2022年4月10日(日)神奈川県 セルビアンナイト
  • 2022年4月16日(土)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2022年4月17日(日)大阪府 ESAKA MUSE
  • 2022年4月21日(木)千葉県 KASHIWA PALOOZA
  • 2022年4月22日(金)東京都 SELENE b2
  • 2022年4月26日(火)東京都 LIQUIDROOM

LM.C デビュー15周年記念ライブ

  • 2022年9月25日(日)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

プロフィール

LM.C(エルエムシー)

maya(Vo)とAiji(G)からなるロックユニット。2006年10月にシングル「Trailers【Gold】」「Trailers【Silver】」を2枚同時リリースし、メジャーデビューを果たす。2012年1月にはデビュー5周年を記念した初の日本武道館公演「LM.C 2012 ~Go To The 5th Anniversary FINAL~」を開催。海外でも精力的なライブ活動を展開しており、同年5月にはロシアを皮切りにワールドツアーを行った。デビュー10周年を迎えた2016年には千葉・舞浜アンフィシアターでアニバーサリーライブを実施。ブラジルやアメリカなど、海外のさまざまなアニメイベントにも出演する。2022年4月に約3年半ぶりのアルバム「怪物園」をリリース。3月から4月にかけてライブツアー「LM.C TOUR 2022『怪物園』」を開催し、9月に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でデビュー15周年記念ライブを行う。