LeChat|ホラーと筋少大好きなコスプレイヤーが、歌で日本とフランスの架け橋に

Lightningさんは私より日本のことに詳しかったり

──前作はジャケットのアートワークも含めてLeChatさんが電子音の海に溶けていくような印象のアルバムでした。対して今回のミニアルバム「Nouvelle lune」は、ボーカルがかなり前面に押し出された作品ですね。

そうなんです。昨年フランスのバーチャルシンガー・ALYSの親善大使に任命していただいたことで、こういうアルバムになった部分はあると思います。最初にALYSちゃんの存在を知ったときは、フランスにもバーチャルシンガーがいることにびっくりしたんですが、ライブ映像を観るとすごい人気なんですよ。しかも「Hajime ni(始めに)」(heart★breaker feat. ALYS)という日本語タイトルの曲もあるんです。うれしいですよね。日本の初音ミクちゃんはかわいらしい女の子ですけど、ALYSちゃんはどちらかというと強い女性。今の私のイメージにも合ってますし、日本クラウン移籍第1弾アルバムではALYSの曲を歌わせてもらうことになりました。

──なるほど。バーチャルシンガーをイメージした曲だから歌が前に出ているんですね。

たくさんあるALYSの曲の中から私がカバーしたいと思ったのが、昨年11月に配信シングルとしてリリースした「キミのいないこの世界で」でした。それきっかけで、この曲を作ったフランスのクリエイターLightningさんが今回のミニアルバムを全曲プロデュースしてくださったんです。Lightningさん、日本のことをよくご存知でびっくりしました。私より詳しかったりしますから(笑)。

──昨年11月にはフランスでLightningさんと一緒にライブをされて。

フランスのナンシーで開催された「Anim'EST」というイベントに招待されて2日間ライブを披露してきました。会場にはプロで活躍されてるコスプレイヤーの方もいらっしゃって、とてもきれいでした。

──フランスで人気がある日本のキャラクターはなんですか?

やっぱり「ドラゴンボール」「NARUTO」「ONE PIECE」は人気ですね。絶対みんな知ってます。

──実際に行ってみてフランスの印象は変わりました?

それまで旅行で1回行ったことはあったんですが、旅行だとあまり現地の人と接することはないので、ライブに出させてもらってイメージがかなり変わりました。それまでちょっと貴族的なイメージを抱いていたので、ステージに出るまでは不安だったんですけど、「イエー!」みたいな感じですごく盛り上がって迎えてくれて。

LeChat
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みんなの中にある私のイメージってこういう感じなんじゃないかな

──今回のミニアルバムの「Nouvelle lune」というタイトルには、どんな思いが込められているんですか?

「Nouvelle lune」はフランス語で新月という意味で、新月を別名で「朔」ともいうんです。新月に新しい願いごとをすると叶うと言われているので、1曲目の「朔」は新たな気持ちでがんばれたらという強い気持ちを込めました。「朔」に関しては、作詞家の谷亜ヒロコさんから最初にいただいた歌詞を私がうまく解釈できなかったんです。それで「これはどういう意味ですか?」と質問させていただいたところ、察してくださったのかほぼ全部直された歌詞が届きまして。本当に申し訳ないと思ったんですけれども、新しい歌詞の「小さな頃になりたかった夢と違うけど 好きなことをやるだけやって楽しく生きてる」のところなんて、すごく気持ちを込めて歌えるなと思いました。「扉を開けて」という歌詞の通り、扉を開けて一歩踏み出したいですね。

LeChat

──月に思い入れはあるんですか?

太陽が苦手なので。ちゃんと午前中に起きてるんですけど、午前中はうまく調子が出ないんです。とは言え、棺桶で寝たりはしてないですよ(笑)。2曲目の「Style」はライブで歌うとき、お客さんと盛り上がりたいなと思って。それをLightningさん伝えて楽曲を作ってもらいました。なので「サビを一緒に歌ってくれたらうれしいなあ」と夢見ています。

──「Style」の歌詞に登場する“僕”も、どこかLeChatさんの印象と重なるところがあります。

みんなの中にある私のイメージってこういう感じなんじゃないかなって。歌詞が届いたとき、「わかるわかる、私ってこんな感じでしょうね」みたいに思いました(笑)。「僕に強さをもとめるよ」の、ちょっとひねくれたようなところも私っぽいですよね。

──そして「キミのいないこの世界で」は ALYSの楽曲の中でも人気の高い「Sous cette pluie」の日本語カバー。訳詞は猫沢エミさんです。

実際に歌ってみるとすごく難しくて、動画を観ているのと実際に自分が歌うのとではかなり違うなと思いました。これからのライブに向けて、「伸ばして歌うところを、もうちょっと短くすればいいのかな?」とか試行錯誤しているところです。「宇宙(そら)に向かう 私の声」「宇宙(そら)に響け 光の声」の部分は歌っていると気持ちが入りやすいですね。

──この曲をカラオケで歌ってみたい人に、1つポイントを挙げるとしたら?

挙げられるほど自分でもまだ歌い込めてないんですけど、「切り離して、切り離して」で一旦トーンを落として、「闘うの 明日のために」で盛り上がるのに合わせて声を大きく気持ちも込めて歌うといいんじゃないかな、って今自分自身に言い聞かせてます(笑)。たくさん歌ってください!