ナタリー PowerPush - lecca
出産を経てさらに前進 確かな一歩「Step One」
自分の音楽で元気になる人が100人中1人でもいればいい
──アルバムでいろんなタイプの曲を聴かせてもらいましたが、leccaさんってやっぱり声と歌い回しがすごく個性的で、それが大きな魅力だなと思いました。
かなり変わった歌い方をしてしまう癖があるので、多分私のこと苦手な人は超苦手だと思いますけどね(笑)。
──あはは(笑)。そういうネガティブなことも自覚されてるんですか。
ええ、してます。だってイベントとかで面と向かって「嫌い」って言われたことありますもん! こっちがビックリしますけど。そもそも嫌われないようにやってるわけじゃなくて、私は自分の音楽で元気になる人が100人中1人でもいればいいと思ってるんですけどね。ただ確かに、すごく変わったスタイルだとは思います。
──どんなふうにして今のスタイルに行き着いたんですか?
昔はラップの韻という魅力にハマっていたときもあったんですよ。でも韻遊びばかりじゃ伝わんないって思っちゃったんですね。せっかく音楽に言葉を入れるんだから、できれば私は言葉で人を動かしたい。人を元気付けて、その人の人生を前に進められるようにお手伝いをできたらって思ったんです。自分も10代、20代の頃に音楽の歌詞に助けられた経験があったので、自分が作る曲にも誰かの心を助けられるような歌詞を入れたいなって。
──leccaさんの歌詞は、文字量がかなり多いのが特徴ですよね。
できれば話し言葉に近いスタイルでたくさん説明してあげたくなっちゃうんです。サビとかブリッジは人が気持ち良く口ずさめるようなものを使いつつ、でもやっぱり説明をたくさん入れないと伝わらないところもあるかもしれないので……と考えていくと、曲によってはすごく長いバースを書いちゃったりしますね。
──やっぱり曲作りの中で、言葉の重要性はかなり重視しているところ?
そうですね。言葉の持つ力ってすっごく強いと思うんです。何十年も後に残るもので、悪い言葉を使えば呪いの言葉みたいに続いていくんじゃないかって。だって音楽はどこで流れるかわからないものだし、自分がいないところでも消費されていくでしょ。だから言霊をすごく大事にしないと、といつも思っています。私が決めていることは、人を傷付ける言葉とか、人の気持ちを下げるような言葉は極力使わない。使ってしまったら、それを打ち消す言葉で曲を終わらせる。誰かがleccaの曲を聴いたときに、少しでも良い気分になったり、少し勇気が持てるように、そういう言葉の使い方をしたいなと思っています。
「自分の人生変えるのは自分だけだよ」
──では、CDやライブ、それからこういったメディア露出なども含め、自分のアーティスト活動全般を通して、それを受け取ってくれる人へ伝えたいメッセージがあれば教えてください。
ライブでも曲でもよく使っている言葉なんですけど、「自分の人生変えるのは自分だけだよ」と言いたいですね。人はちょっと気を抜くと誰かに頼ってしまうし、それが高じていくと依存になっちゃうと思うんですね。好きなアーティストがいるっていうのはもちろん素晴らしいことだけど、それが依存に変わると、その人がいないと自分はちゃんとやれないとか、その人の曲が毎月出てこないと自分がダメになっちゃうという状況になる。ファンの人にそういう思いを持たれるのは、自分の望んでることではないです。ファンの人が私の曲を聴いて元気になるって言ってくれることは、私にとって何よりも幸せなんですけど、元気になるからといってそこに依存の心が入ってしまうと良くないなと思う。だから「自分の人生を幸せに動かすのは自分だけだよ」ってよく言うんです。
──なるほど。3月末からはZeppツアー、5月には日本武道館と大規模なライブが待ち受けていますが、たくさんの方々がleccaさんのその言葉を聞くわけですね。
やっぱり来てくださる人1人ひとりの思いっていうのは、その場所が30人、40人しか入らない場所だろうと武道館だろうと絶対変わらないと思うので。私もやっぱり変わらず臨みたいです。
収録曲
- Jammin' the Empire
- HI-TEN feat. ILMARI & SU
- ファミリア!
- Right Direction
- 疾走マザー
- ONE WORD
- やるならば
- missing Ordinary
- INFORMER
- ドルチェ
- Dreaming of you feat. EMI MARIA
- get ur morning
- gift
- ぼくたちの世界
- 再生
CD+DVD盤付属DVD収録内容
- 「Jammin' the Empire」ビデオクリップ
- 「ファミリア!」ビデオクリップ
- 「Right Direction」ビデオクリップ
- 「INFORMER」ビデオクリップ
- オフショット
lecca(れっか)
2000年にシンガーとして活動開始。2006年4月にミニアルバム「Dreamer」でメジャーデビュー。以降、ライブとリリースを重ね、2009年に発売された初のシングル「For You」は、USENの年間リクエストランキング1位を獲得。同曲が収録されたアルバム「BIG POPPER」はオリコンウィークリーチャートに4週連続トップ10入りを果たした。さらに、2009年11月にシングル「My measure」がドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」主題歌に起用され、さらに広い層にその名と歌声が知られる。2010年、CDリリースに先行して配信された「TSUBOMI feat. 九州男」が100万ダウンロードを突破し、CD発売前にUSEN総合チャート1位を獲得したことが話題に。5枚目のフルアルバム「パワーバタフライ」は自身最高位となるオリコンウィークリーチャート2位を記録し、その後行われた2度目の全国ツアーでは1万5000人を動員した。また、2011年6月に第1子を出産。同年12月にはニューシングル「Right Direction」、翌年1月には6枚目のフルアルバム「Step One」をリリース。3月末から実施する全国ツアー「lecca LIVE TOUR 2012 "Jammin' the Empire"」では自身初の日本武道館公演を行う。