音楽ナタリー PowerPush - KYOTO JAZZ MASSIVE
歩みを止めなかった沖野兄弟の20年
イベントは“一寸先は闇”
──「Tokyo Crossover/Jazz festival」は今年で10回目になりますが、1回目の2003年から現在まで、一番しんどかった時期というのはいつになるんでしょう?
好洋 2010年前後は大変やったね(笑)。
修也 できなかった年もあったからね。
──けっこう最近ですよね。でも、またいつか上がり目がくると信じていた?
修也 いや、信じてなかったね(笑)。作品を作っていくことに関しては続けていくという信念はあったけど、イベントに関してはまったく読めなかった。レコードショップを続けたり、クラブを続けたりというのは、がんばり次第でなんとかなるんですよ。でも、イベントっていうのは“一寸先は闇”だから。正直、今年に関しては数字のマジックを最大限に利用させてもらって。イベントも10回目、KYOTO JAZZ MASSIVEは20周年。そういうときには周りからの期待値も上がるし、僕らのモチベーションも上がるし、いろんな要素が絡み合って形になったというのはあります。だから、危機感は常にありますよ。
──お客さんの世代交代というのを肌で感じたりしてますか?
修也 世代交代もありますけど、やっぱり比較的高いですね。最近、あまりオールナイトのイベントをやってないんですよ。僕は大丈夫なんですけど、もうお客さんがついてこれない(笑)。
──風営法の規制とか関係ないみたいな(笑)。
修也 そう(笑)。そこに関しては、もちろん若いお客さんにも来てもらいたいし、そこをターゲットにしたほうがいいという意見も聞くんだけど、僕はもうある程度大人をターゲットにしてもいいと思っているんですよ。
好洋 そうだね。僕も最近はそっちのほうを考えている。
修也 実態を見ていても、新しい世代をクラブに呼び込むというよりも、昔クラブに通っていた世代にもう一度来てもらうっていう方がわりと現実的なんですよ。
──なるほど。まさに、昔は毎週クラブに通っていて、最近は全然夜遊びしなくなった自分のような人間がターゲットなわけですね(笑)。
修也 あとは海外ですね。このあいだも上海でDJをやったし、今年はあとモスクワとロンドンでもやります。最近よく呼ばれるのはスロバキアですね。あとは、モンテネグロだとかクロアチアとか。
──新興国や東欧。特に東欧はジャズの熱が高いって話はよく聞きますね。
修也 ジャズに限らず、クラブカルチャー自体の熱が高いんですよ。
好洋 国を挙げてだったり、企業だったりが、そうした若者のカルチャーを振興していたりもするんですよね。そういう意味では、ロンドンとかパリとかはもう街がすっかり落ち着いている。
今思うのは「辞めなくてよかったな」
──最後に、20年間ユニット名にジャズという言葉を掲げてやってきて、今改めて思うことを聞かせてください。
修也 今こうしてやれているのは、ラッキーだったなっていう気持ちもあるし、看板を下ろさずにずっと地道にやってきた結果だとも思うんですけど。よかった時代も大変な時代も、僕ら兄弟はけっこうマイペースでやりたいことをやってきたんで。今思うのは、「辞めなくてよかったな」ってことですね。辞めるのは簡単なんで。20年やるなんて最初の頃はまったく考えてなかったけど、今は、KYOTO JAZZ MASSIVEは100年ぐらい続くだろうなって思ってます。
──100年! そっか、もともとは緩やかな集合体だったわけだから、メンバーが変わっても名前を継いでいくということは可能ですよね。
修也 そう。沖野兄弟がいなくなっても、後輩たちがKYOTO JAZZ MASSIVEというブランド名を継いでくれるんじゃないかって。ルイ・ヴィトンだとかイヴ・サンローランみたいなブランドって、時代ごとにクリエイティブディレクターが変わっていくじゃないですか。そう考えると、20年なんて逆に当たり前だし、こうして続けていけば、別に目指さなくても100年くらいいけるんじゃないかって思ってます(笑)。
- V.A.「Kyoto Jazz Massive 20th Anniversary KJM WORKS ~Remixes + Re-edits」2014年10月15日発売 / 2376円 / selective records / SELEC-10010
- V.A.「Kyoto Jazz Massive 20th Anniversary KJM WORKS ~Remixes + Re-edits」
収録曲 / アーティスト
- No I Can't (Kyoto Jazz Massive Reconstruction) / Thee After Dark
- It Will Be (Kyoto Jazz Massive Remix) / Reel People feat. Tony Momrelle
- Anytime feat. Paul Randolph (Kyoto Jazz Massive Remix) / Ezel
- Look Ahead feat. N'Dea Davenport (Kyoto Jazz Massive Re-created) / Shuya Okino
- Feel It In Your Soul feat. Vanessa Freeman (KJM Works Exclusive Mix) / Kyoto Jazz Massive
- You Can Make It (Kyoto Jazz Massive Cosmic House Mix) / DJ KAWASAKI
- Destiny feat. N'Dea Davenport (KJM vs MdCL Remix) / Shuya Okino
- Look Around Any Corner feat. Sharlene Hector (KJM vs MdCL Remix) / Positive Flow
- Change My Heart (Kyoto Jazz Massive Remix) / Tasita D'Mour
- Ordinary Guy (Kyoto Jazz Massive Re-created) / Joe Bataan
- V.A.「Kyoto Jazz Massive 20th Anniversary KJM PLAYS ~Contemporary Classics」2014年10月15日発売 / 2376円 / selective records / SELEC-10011
- V.A.「Kyoto Jazz Massive 20th Anniversary KJM PLAYS ~Contemporary Classics」
収録曲 / アーティスト
- No Cross, No Crown / Kyoto Jazz Massive feat. Vanessa Freeman & Tasita D'Mour
- Mystery / Far Out Monster Disco Orchestra
- All Night (Extended Mix) / Katzuma
- Find a Way / Dego & The 2000black Family
- 64 Ways feat. Mayer Hawthorne (Kerri "Kaoz" Chandler Vocal Remix) / Detroit Swindle
- The Only Thing That Make Sense (Is You) (Opolopo Remix) / Roy Ananda feat. Pete Simpson
- Now Your Gonna Save Me / Soul Renegades
- Still In Love feat. Navasha Daya (Kyodai Remix) / Shuya Okino
- Work It Out (House Remix) / Blakai feat. Lady Alma
- Look What We've Done (Long Ver.) / Blu James
- Let It Be / Darkest Pumpkin
Tokyo Crossover/Jazz Festival 2014
2014年11月9日(日)
東京都 EX THEATER ROPPONGI
OPEN&START 13:00 / END 22:00
出演者
- LIVE
- KYOTO JAZZ MASSIVE 20th Anniversary Special Live Set feat. Navasha Daya, Vanessa Freeman, Shuya Okino & Hajime Yoshizawa, ROOT SOUL / Jazztronik / Maylee Todd
- DJ
- Joey Negro / Eddy Ramich / 松浦俊夫 / 沖野修也(KYOTO JAZZ MASSIVE)+大沢伸一+田中知之(FPM)☆Back To Back JAZZ SET / 黒田大介(kickin) / Makoto / DJ KAWASAKI / 社長(SOIL & "PIMP" SESSIONS) / BREAKTHROUGH / RYUHEI THE MAN(universounds、The Man's World Productions) / DJ SARASA a.k.a. Silverboombox / 青野賢一(BEAMS RECORDS) / TSUYOSHI SATO(BLACK EDITION) / YOSUKE TOMINAGA(CHAMP、KAY-DEE RECORDS) / 大塚広子(CHAMP、KEY OF LIFE+) / OIBON(CHAMP)
KYOTO JAZZ MASSIVE(キョウトジャズマッシブ)
1990年代初頭に結成された、兄・沖野修也と弟・沖野好洋による兄弟DJユニット。1994年、初めての作品としてコンピレーションアルバム「KYOTO JAZZ MASSIVE」を発表。2000年にはドイツのCOMPOST RECORDSと契約し、1stシングル「ECLIPSE / SILENT MESSENGER」をリリース。2002年に1stアルバム「SPIRIT OF THE SUN」を全世界でリリースする。2004年12月、ボーカルにベンベ・セグエとヴァネッサ・フリーマンを迎え、初のライブセットを恵比寿ガーデンプレイスにて披露。現在もDJとしての国内での活動はもちろん、ヨーロッパ各国、アメリカをはじめとする世界各国でツアーを敢行し、高い評価を得ている。