ナタリー PowerPush - KING BROTHERS

気合いで鳴らす真実のロック! 4人編成初のアルバム完成

このアルバムにはちゃんとしたタイトルをつけたかった

──今回のアルバムにも、4人でせめぎ合い、いろんなことを試した成果が出てると思うのですが。

ケイゾウ もちろん、一切の妥協はしてないですから。手ごたえがわかるのはいろんな人に聴いてもらってからだと思うんですけど、ここに至るまでは一切の妥協はせずに、自分たちが思うカッコいいことだけを追求してきたので。

──その確信は、「THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN」というタイトルからも感じられます。これ、ジミ・ヘンドリックスのアルバムのタイトルと同じですよね?

ケイゾウ そうですね。実際にはジミは出せなかったアルバムなんですけど。

──リリースされる前に死んでしまったっていう。

ケイゾウ そう。何か希望の見えるスケールの大きい言葉ですよね。もちろんジミヘンは大好きで、そこからタイトルは来ているんですが、ただ今回この作品性とジミヘンは関係していないですよね。でもこの言葉を見つけた時には運命を感じました。「わお!」ってね。今回のアルバムは、すごくバラエティに富んだいろんな曲が入ってるんですけど、聴いてもらえれば一貫したテーマは感じてもらえると思うんです。それを見事にとりまとめるタイトルが必要だった。いままでのアルバムはタイトルがなかったり、聴いた人に決めてもらえればいいっていうのが多かったんですけど、今回はちゃんとアルバムを象徴するタイトルをつけかったんですよね。で、いろいろ探しているときに、たまたま読んでいた本のなかでこの言葉を見つけて、「コレや!!」って。もうまったくこのとおりですよね。

──「太陽が昇るときの最初の閃光」。ここから始まる、っていう意思表示ですよね。

ケイゾウ そうですね、ロックの夜明けですね。今回のこのアルバムをリリースさせられるまでは本当に悩んだし、苦労もしました。でもそれ以上の新しい発見もしています。きっと今回の経験は次の作品のアイデアにもなっていくと思うんですよね。バンドの歴史はずっと続いてるけど、最初の衝動はずっと失くさないし、生み出すことにも妥協はしない。今のKING BROTHERSが放つその最初の閃光をきっと感じてもらえると思います。

こんなもんで驚いてもらっては困る

──マーヤさんはどうですか? 今回のアルバムの手応えについて。

マーヤ ……そうっすねえ。手応えを感じてないことはないし、「いい」って言ってもらえると、ちょっとホッとはするんですけど。こんなもんで驚いてもらっては困る、っていうのもある(笑)。ひとまずできたから聴いてほしいっていう感じですかね。挨拶代わりっていうか。

──“4人のKING BROTHERS”にとっての最初のアルバムですからね。

タイチ ようやくスタートラインに立って、いろんなことができるようになるのかなっていう。まだ漠然としてますけど、希望の予感みたいなものもあるし。

インタビュー写真

シンノスケ ここからどうなっていくのか楽しみですね。もともとキングが好きな人にも聴いてもらいたいし、全然知らなかった新しい人にも聴いてほしいです。

──ケイゾウさん以外のメンバーが作詞作曲にかかわってるのも、いままでとは違いますよね。「ロマンチスト」に至っては、作詞をand Youngの加納良英さんが手がけていて。

ケイゾウ タイチやマーヤが歌詞を書いてるのも初めてやし、外部の人に頼むのももちろん初めてですから。加納君以外の人にも頼んだりしてたんですけど、そのなかでも「ロマンチスト」はすごく成功したと思っています。今後KING BROTHERSが進んでいくうえで大きなアイデアにもなったし、このレコードをすごく象徴してるんじゃないかな。

──「退屈なのはおまえが退屈なのさ」っていう、素晴らしいフレーズがあって。ホントにそのとおりだなって思いますが。

ケイゾウ そうですね。まったく素晴らしいです。

──「結局最後は前に進まなくちゃならない」(「DOOR」作詞:ケイゾウ)だったり、「このまま出掛けようぜ 不確かなままでいてもいいんだゼ」(「SLOW LIGHT」作詞:タイチ)だったり。こんなくだらないところにいてもしょうがない、っていう気分が出てる歌詞も多いですが。

ケイゾウ だいたい「クソやな」って思ってることが多いですよね(笑)……根がそうなんですかね(笑)。いつも怒ってますから。でもこれは自分のひとつの表現で、KING BROTHERSのパワーにもなってると思いますね。

──イライラすることも多い?

ケイゾウ そりゃ、まあ。イライラすることないですか?

──いや、めちゃくちゃありますけど。

ケイゾウ (笑)。あの、これは言い方が適切ではないかもしれませんが、自分自身がKING BROTHERSに乗っかってるところがあるんですよね。バンドとのかかわりのなかでどんどん人格ができてきて、そこでなんとか折り合いをつけてるというか。だからこのレコードにもウソはないと思うし、メッセージもストレートに入ってくる作品になってるんじゃないかなって。

ニューアルバム「THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN」 / 2010年4月7日発売 / 2940円(税込) / DECKREC/UK.PROJECT / DCRC-0068

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CD収録曲
  1. ACTION!!!!
  2. GET AWAY
  3. ロマンチスト
  4. D♭のパレード
  5. 楽園
  6. TFROTNRS
  7. XXXXX
  8. 気が狂いそう
  9. DOOR
  10. 死神のビート
  11. やりきれない
  12. L.O.V.E.
  13. スローライト
KING BROTHERS(きんぐぶらざーず)

アーティスト写真

ケイゾウ(Vo,G)、マーヤ(G,Screaming)、シンノスケ(B)、タイチ(Dr)からなる4人組ロックバンド。ケイゾウが中心となり、1998年に兵庫県西宮市で結成。ベースレスというスタイルながら1999年には10代でアルバムを米国にてリリースし、海外でのライブツアーやジョン・スペンサーの前座を務めるなど、精力的な活動を行う。2001年にはメジャー進出を果たすも、2006年に一時活動休止。2007年から新メンバーにシンノスケ、タイチを加え活動を再開。