ナタリー PowerPush - KING BROTHERS
気合いで鳴らす真実のロック! 4人編成初のアルバム完成
ルールの範囲内で一番ギリギリのことをやりたい
──マーヤさんはどうですか? このすさまじいテンションを続けられるのには、何か理由があると思います?
マーヤ まあ、一番の理由は「好きだから」ってことですよね。「そうしたいからや」……ということではない?
ケイゾウ (笑)いや、そういうことやと思うよ。
マーヤ これねえ、よく聞かれるんですよ。説明してくれだの何だのって。いや、それは実に素晴らしいことだと思うんですよ、そういう質問をしてくれるっていうのは。で、いつも(質問を)家に持って帰るんですよね。せっかく聞いてくれてるんやから、何かいい答え方はないかなあって。でも、根本はやっぱり好きってことだと思うんですよ。イヤやったら、そりゃ無理が出るわなあって。自分が好きなことであって、なおかつ、それがバンドの中でいいふうに作用してるのがいちばんじゃないですか。それに付随して、自分のテーマっていうんですかね? 怒りだったり、修行だったり(笑)、いろんなもんがあるんやと思うんですけど……あ、やっとわかりました。モチベーションについて話せばいいんですよね?
──はい(笑)。
マーヤ わかりました。えー…………好きだからです。
ケイゾウ ハハハハハ。
シンノスケ めちゃくちゃタメたなあ(笑)。
──好きだからやってる、っていう極めてシンプルなモチベーションが続いていると。
マーヤ いや、昔はね、ルールを破ることに命がけやったんですよ。でも、何が自由なんかな? って考えたとき、ルールを破るなんて全然自由じゃないんですよね。破ったらめっちゃ怒られるし。最近思うんですけど、ルールの範囲の中で、一番ギリギリのことをやるのが重要なんですよ。たとえば「12時に来い」って言われて、1分でも遅れたらルールを破ったことになるじゃないですか。でも、前の日の12時から待ってれば、これはめちゃめちゃ合ってるんですよ。
──そうですね、確かに(笑)。
マーヤ ルールの中で、どれだけパンチを与えられるかっていう。「前の日12時から待ってました」って言ったら、そりゃあインパクトありますよ。モノは考えようやなって。
──めちゃくちゃ大変ですけどね。
マーヤ そうかもしれん(笑)。もちろん、ルールを破るのも大好きなんですけどね(笑)。
今は全然ロックじゃないヤツばっかり
──そういえば先日のライブでも、「100歳まで生きてくれ!」って言ってましたね。
マーヤ はい。それも逆説的でパンチありますよね。一番長寿になって、国民栄誉賞もらったりとかして。
──(笑)。その前のライブではケイゾウさんが「やっとロックンロールがわかってきました」って言ってて、それもすごく印象に残ってるんですが。
ケイゾウ あ、そうですか、すいません。
──このアルバムを作ったことによって、この先、さらに面白いこと、興奮できることが待ってるっていう希望はありますか?
ケイゾウ 希望ですか? まあ、今はロックとか言ってても、全然ロックじゃないヤツらばっかりなんで、KING BROTHERSがきちんと評価されるようになってほしいとは思いますけどね(笑)。常にそういうところに突っ込んでいきたいとは思っているし。
──自称ロックの全然ロックじゃないバンドと対バンしたり?
ケイゾウ それはもう大歓迎です。その人らに人気あるなら大歓迎です、でもそんなバンドの客って失礼ですがクソな客ばっかりなんですよね。
──そういうシチュエーションのほうがテンション上がったりします?
ケイゾウ そりゃアガりますよ。そういう人たちにも絶対「こいつら本物や」って思わせる自信はありますから。僕も10代でロックミュージックを聴きはじめて、いまだにロックがなんなのかは明確にわからないですけど、よく言われるのは生き様だったり、何か突き動かすとてつもないパワーだったり。で、たぶんこのバンドを動かしてるのは、そういうものだと思うんですよね。ハンパない情熱、エネルギーが爆発していて、観てる奴、聴いてる奴らに突きつける。それがKING BROTHERSのロック感になってるというか….。
──まさにそうですね。ホントにそう思います。
ケイゾウ 今、世に言うロックのほとんどはロックじゃないと俺は思ってるんで。ちゃんとKING BROTHERSは評価されるべきだし、ホンマにロックを求めてる人たちとどんどん出会っていって、さらに何かを爆発させたいですね。
マーヤ 普通やったら絶対に俺らを見に来ないような人との戦いも、そりゃ面白いですよ。まったくノッてくれなかったりとかね。
一同 ハハハハハ!
マーヤ そういうときね、昔は気分が萎えたりしてたんですよ。でも今は、「どうやったろか?」って考えるんですよね。自分になりジャブを出しながら反応を見て、いろいろ試して。で、自分のMCのときに「よっしゃ、これやろ!?」って感じで思い切りやって、それが完全にスベったりしたら……もうね、すごいっすよ。
──(笑)でも、それも楽しいと。
マーヤ 俺は今のロックバンドに関してホントにクソかどうかは楽屋でしゃべってから決めますわ(笑)。メチャクチャいいヤツだったりしますからね、直接話してみると。
──そうなんですよね、意外と。
マーヤ いいヤツやったら、そいつのやってる音楽も大好きになります。でも、ガッカリしてもうたら、ダメですね。すぐ帰りますわ(笑)。
ケイゾウ マーヤ、意外に大人やね。
CD収録曲
- ACTION!!!!
- GET AWAY
- ロマンチスト
- D♭のパレード
- 楽園
- TFROTNRS
- XXXXX
- 気が狂いそう
- DOOR
- 死神のビート
- やりきれない
- L.O.V.E.
- スローライト
KING BROTHERS(きんぐぶらざーず)
ケイゾウ(Vo,G)、マーヤ(G,Screaming)、シンノスケ(B)、タイチ(Dr)からなる4人組ロックバンド。ケイゾウが中心となり、1998年に兵庫県西宮市で結成。ベースレスというスタイルながら1999年には10代でアルバムを米国にてリリースし、海外でのライブツアーやジョン・スペンサーの前座を務めるなど、精力的な活動を行う。2001年にはメジャー進出を果たすも、2006年に一時活動休止。2007年から新メンバーにシンノスケ、タイチを加え活動を再開。