ナタリー PowerPush - KING BROTHERS

気合いで鳴らす真実のロック! 4人編成初のアルバム完成

当たり前にベーシストを入れてもイケると思った

──バンドにとっても大きな決断ですよね、ベーシストを入れるっていうのは。

ケイゾウ ずっと3人でやってましたからね。前作が「BLUES」っていうアルバムなんですけど、すごい満足度が高かったんですよ。あれはサポートドラムの和田シンジと一緒に作ったんですけど、彼がバンドを離れて、そこでまたリセットして。その先に進むってことを考えたときに、ベースを入れるっていうのもいいんじゃないかって思ったんですよね。ベースレスでやるっていうのは、自分の中でも若干、奇をてらってたところがあったと思います。当時はそれがめっちゃロックやと思ってたんですけど、そうじゃなくて、当たり前のフォーマットに乗っかっても、今はこのバンドはもっと鳴るんじゃないかって。もちろん、シンノスケとタイチに会ってからですけどね、これでイケるって思ったのは。

──実際に4人で音を出して確認した、と。

インタビュー写真

ケイゾウ いや、音とかノリっていうのは二の次っていうか。それよりも気合いですよね。タイチにしても、最初は断ったわけで。でも、2回目に誘ったときに(バンドに)入るって決めたのは、KING BROTHERSでロックすることを決めたってことだと思うんですよね。シンノスケも同じで、僕に電話してきて「なんでもいいから、KING BROTHERSに入れてくれ」なんて、このバンドに賭ける何かがあったからで。もともと楽器なんて、自分もギターがちゃんと弾けるわけじゃないし、マーヤに至っては最初はドラムでしたから。ロックをやるうえで大事なのは、とにかく気合いしかないと思うんですよ。人生を賭けれるかっていうかね、アホな話ですけど。そういう人間が集まってきたっていうのが、いちばん大きいことだったんだと思いますね。

──音楽的なところではどうですか? さっきマーヤさんが言ってた、「16ビートが主体になってる」っていうのは、バンド結成当初から貫かれていると思うんですけど。

ケイゾウ そうですね。もともと僕がベースレスでやりたいと思ったのも、ジョン・スペンサー(JON SPENCER BLUES EXPLOSION)がすごく好きだったからなんです。で、あの人たちのルーツを掘っていくと、そこには黒人音楽があったりするんですよね。まあロックっていうのも、もとはブルースにあるわけだし、そういう音楽は自分にすごくフィットしたので、それはKING BROTHERSのビートにも出てると思います。普通のロックバンドとはビートの使い方が違うはずです。

4人になってからすごく練習するバンドになった

──踊れる、っていうのも重要ですよね。どんどん曲をつないでいくことによって、テンションを上げていくスタイルだったり。

ケイゾウ うん、踊れるって言われるとめちゃくちゃうれしいですけどね。このバンド自体、ライブで鳴らすことが重要やと思ってるんです。30分でも60分でも、決められた時間のなかで自分たちがブチ切れて、マックスを超えてるところまで行くにはどうしたらいいか? っていう。曲をつないでアガっていくっていうのもそうだし。あとね、今の日本のバンドって、上手にしゃべりはるんですよね。MCでもなんでも、ペラペラしゃべって思いを伝えるみたいな……、アホかってね。自分は音楽そのもの、バンドで鳴らすってことにはこだわりたいですね。

──リハのときから、ライブと同じテンションだったりするんですか?

ケイゾウ 同じですよ、ジャンプしたりアンプに乗ったり、もちろんマイクも投げたり(笑)、リハの時間も異常に長いですからね。1本のライブに対して、かなり時間を使って練習してる。この4人になってから随分練習するバンドになりましたね。

──以前よりも?

ケイゾウ そうですね。もっと現場のその瞬間で、さらに各自がブーストできるようになるための練習をするようになりましたね。

──新しいアルバムの曲も、だいぶ前からライブでやってますよね。

ケイゾウ まだやってない曲もあるんですけど。もう10年以上プレイしている曲と一緒に演奏しても、新曲は違和感なくやれるようになってきたんじゃないかなと思いますね。加えて新しい曲もどんどん作っていますよ。

──そうか、でも昔の曲をやるのも大変ですよね。もともとベースは入ってなかったわけだから。

ケイゾウ この4人で作ってる曲と昔の曲を比べると、音の鳴り方が全然違いますからね。

シンノスケ 曲として完成されてるし、ベースが入る隙もないんですよ。どうしたらカッコよくできるかっていうのは、日々考えてますね。いつもケンカしながらやってます。

ニューアルバム「THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN」 / 2010年4月7日発売 / 2940円(税込) / DECKREC/UK.PROJECT / DCRC-0068

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CD収録曲
  1. ACTION!!!!
  2. GET AWAY
  3. ロマンチスト
  4. D♭のパレード
  5. 楽園
  6. TFROTNRS
  7. XXXXX
  8. 気が狂いそう
  9. DOOR
  10. 死神のビート
  11. やりきれない
  12. L.O.V.E.
  13. スローライト
KING BROTHERS(きんぐぶらざーず)

アーティスト写真

ケイゾウ(Vo,G)、マーヤ(G,Screaming)、シンノスケ(B)、タイチ(Dr)からなる4人組ロックバンド。ケイゾウが中心となり、1998年に兵庫県西宮市で結成。ベースレスというスタイルながら1999年には10代でアルバムを米国にてリリースし、海外でのライブツアーやジョン・スペンサーの前座を務めるなど、精力的な活動を行う。2001年にはメジャー進出を果たすも、2006年に一時活動休止。2007年から新メンバーにシンノスケ、タイチを加え活動を再開。