ただひたすらに歌い続けた先にあったデビュー
──ボイトレ教室を辞めてから、デビューに至る経緯というのは?
教室を辞めたのが、今お話しした洋楽に興味を持ち始めた頃で。もっと自分自身が歌いたい曲や、自分が試してみたい歌い方に挑戦したいと思って、1年間くらいは独学で曲を作ったり、英語の発音を練習したりしていました。
──独り立ちと言うか、歌と向き合う環境を変えたんですね。そのとき「プロとしてやっていきたい」という意識が芽生えたんでしょうか。
プロになりたいとかテレビに出たいとか、そういった気持ちはなかったんです。とにかく音楽が好きだから、「今やるのはこれしかない」という感じでした。クリスティーナ・ペリーみたいなシンガーソングライターが好きだったので、自分でも詞みたいなものを書き始めていて。それでもっと曲作りを本格的に学びたいと思って、2014年頃にプロデューサーのSolayaさんが主催している「Solaya Music School」に足を運びました。そこでSolayaさんと出会ったことがデビューのきっかけです。
──デビューが決まったときにはどんな思いでしたか?
これまで「歌手になりたい」と明確に意識したことはなくて、ただひたすら歌い続けているうちにどんどん次のステップに進んで、(デビューに)近付いていったという感覚なんです。なので自分がやってきたことや作ってきた曲を、より多くの人に見て聴いてもらえる機会が増えるんだと思うと、素直にうれしいなと思いました。
いつか必ず死が訪れるけど、それまでどう生きるか
──そのデビュー曲ですが、この曲はいつ頃できたものなんですか?
デビューが決まってから「とりあえず曲をたくさん作ろう」とSolayaさんがおっしゃって、それで最初に作ったのがこの曲です。17歳くらいのときかな。当時考えていたことと素直に向き合って書いた、17歳の私の思いがそのまま出ている曲だと思います。
──温かなミディアムナンバーですが、「生きてる間に死にたくない」というタイトルはインパクト大ですよね。この言葉は言い換えれば「死んだように生きていきたくはない」ということなのかなと思ったのですが。
そうですね。小学校くらいの頃からなんとなく感じていたんですけど、学校で周囲になじめなかったり、周りに合わせなきゃいけない空気に違和感を覚えることがあって。心の中で思っていることと表向きの自分とのズレにもがいたり、悩むことが多かったんです。
──「誰にも嫌われたくない」「いつも自分を演じてる」と歌われている部分ですね。
はい。自然体の素直な自分でいることを、気付くと忘れちゃうというか。でもそんな状況を変えられるかどうかは自分次第だし、自分を変えられるのも自分しかいない、という思いもずっとあって。それでできたのがこの曲です。人間にはいつか必ず死が訪れるけど、それまでどう生きるか、何をして過ごすかは自分次第だと思いを込めました。
──「完璧じゃなくていい」「心をふさぐ何かを解き放て」と言い切れるKarenさんの強さを感じました。今はもうその悩みから抜け出せたんでしょうか?
完全に抜け出せたとは言い切れないんですが(笑)、それでも「自分は自分でいいんだ」と思えたことで、以前よりは楽になったのかなと思います。
──どちらかというとシャイでおとなしい性格だったKarenさんが、歌にすると自分の思いをこんなにパワフルに堂々と届けられるのは不思議ですね。
確かにそうですね(笑)。歌はずっと好きで向き合ってきたことだし、音楽を通してより自分のことを知れたというか、自分を理解できるようになったので。歌うことに関しては、すごく自分に誇りを持てるんです。
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ONE OK ROCKを聴いて「何語で歌おうと関係ないな」って
- Karen Rose「生きてる間に死にたくない」
- 2017年7月26日発売 / Solaya Label
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[CD]
1200円 / SLSC-0013 - 収録曲
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- 生きてる間に死にたくない
- ブックジャケット
- 生きてる間に死にたくない Instrumental
- Karen Rose(カレンローズ)
- 東京を拠点に活動する19歳のシンガーソングライター。11歳の頃よりボイストレーニング教室に通い始め、2014年よりSolayaプロデュースのもとオリジナル楽曲の制作を開始。2017年7月にデビューシングル「生きてる間に死にたくない」をCD、ハイレゾ音源、ストリーミングの3形態でリリースする。