ゲーム以外のことはしていない

──オフのときは、お二人は何をされているんですか？

カノエ　私は基本的に、生活もしくは生存に必要なものが3つ以上足りなくなったときしか外には出ないんですよね。その3つ以上のものを買いに行くときだけ、あらかじめルートを決めて「何時までに家に帰ってくるように」みたいな計画を立てるんです。なので普段はホントに何も考えずにぼけーっと生きてますね。

藍井　ルート通りに行って帰ってくるということは、寄り道とかはせずに？

カノエ　ほとんどしないです。でも、まれに寄り道したときに曲ができる気もします。たぶん、いつもと違う刺激があるんでしょうね。あと下を向いて歩いてると落とし物に敏感になるので、道に変なものが落ちてたら写真を撮ります。

藍井　東京って変なものいっぱい落ちてますよね。

カノエ　最近はネギが落ちてましたね。その前は、ハイヒールが片っぽだけ落ちてるのを海の近くで見つけて……。

藍井　めっちゃ怖い。

カノエ　私もそれを撮る勇気はなかったです（笑）。でもそういうものから景色が浮かんでくるというか、「ネギ落とした人、困ってないかな？」「あのネギで何を作る予定だったんだろう？」とかそういうのをちまちま書いていくことが、作詞の引き出しになるんですよ。やっぱり、そのへんに落ちてるものにしても、誰かから聞いたしょうもない話にしても「私の中にはなかったな」みたいな発見があるとすごく歌詞に書きたくなりますよね。

藍井　なりますなります。実は私も新作のカップリングの「インサイド・デジタリィ」という曲の歌詞を書いたんですけど、これは私のオンラインゲーム友達の話がもとになっていて。その友達が「モニター越しがいい距離感なんだよね」と言っていたんです。実際、私も直接会ったことはないんですけど、その人は「リアルで対面したらお面でも被らないとしゃべれない」と。そういう発想は私にはなかったので……。

カノエ　ちょっとつまんで、解体したくなっちゃう。

藍井　そうそう。

──藍井さんは、ゲーム以外では何をなさっているんですか？

藍井　ほかにしてることは……ないです（笑）。

カノエ　うへへへへ（笑）。

藍井　「インサイド・デジタリィ」が入っているシングルの表題曲は「星が降るユメ」といって、アニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」のエンディングテーマなんですけど、このアニメはアプリゲームが原作で、私もハマっているんです。なので、パソコンでオンラインゲームのマッチングを待ってる間にゲームの「FGO」の実況をしたりして。最近、自炊も疎かになって……Uber Eatsに頼りがちなので、自分でも「自堕落だな。たまには外に出なきゃ」と思うんですけど、結局Amazonでポチって部屋がダンボールだらけになるという……。

カノエ　私もゲームしたくてつい簡単メシになっちゃいます。それこそ「FGO」のイベント中とか。

藍井　あはははは（笑）。

カノエ　アニメの「FGO」もリアタイで観てるので、毎週エイルさんのエンディングを聴いて、またゲームのイベントに戻るという状況が現在進行形で続いてます。

藍井　ありがとうございます（笑）。

リハのイメトレに集中している

──この「盾と矛」のリリースと同時に、東京・WWW X公演を皮切りに東名阪福の4カ所を回るツアーが始まりますね。

カノエ　はい。初日だけバンド編成なんですけど、そのバンドのメンバーがいつもと少し変わっていて、新しいメンバーの方とまだお会いできていないんですよ。おそらく本番直前のリハーサルで「初めまして、こんにちは。本日はお日柄もよく……」みたいなご挨拶をすることになるので、そこでつまずかないようにしなきゃなと。私は本当に人見知りなので、今はリハでうまく話せるようイメージトレーニングばかりしています。

藍井　リハまでのイメトレって初めて聞いた（笑）。

カノエ　あっはっは（笑）。

藍井　最後のリハが終わったとき「本番に向けてひと言ください」とか言われません？

カノエ　ああ、言われますね。でも「もう、やめてください」みたいな感じになっちゃって、いつもグダグダです（笑）。エイルさんはどうされてますか？

藍井　とりあえず「エイエイ、ルー！」で締めればなんとかなる（笑）。

カノエ　便利（笑）。私にも一応「ガンガンいくばい！ ばい！」っていうやつがあるんですけど、でもバンドのメンバーさんたちもそういうテンションじゃないんですよ。けっこう皆さん1人でぼーっとしてらっしゃるタイプというか、私と空気感が似ているので、急に「ガンガンいくばい！」とか言い出したら誰か骨折したりするんじゃないかというレベル。そういう距離を測りつつでリハ、そしてツアーをがんばります。