海蔵亮太×aoiro|それぞれが歌う理由

曲は僕が死んだあとも残る

──「僕が歌う理由」はご自身として歌っていると思うんですが、曲によっては歌の主人公を演じるような感覚だったりするんでしょうか。

海蔵亮太

海蔵 演じるというよりは、伝えたい人を1人に絞っています。例えばバラードとかラブソングだったら、ある人を思い浮かべて歌うとか。たくさんの人に向けて歌うとボヤけちゃうんですよ。ピンポイントである人に向けて歌うと、その世界観が刺さる人がいるし、そのほうが深く、濃く刺さりそうだなと思うので。

松浦 僕らも楽曲によってはそういうふうに歌いますね。世界観がその色になりやすいと思います。

海蔵 最近、そういう対象が思い浮かばない抽象的な曲も多いじゃないですか。もちろんそういう曲もいいけど、伝えたい人がピンポイントで浮かんでくるような歌が僕はすごく好きなんです。もしかしたら時代遅れって言われるかもしれないけど、そうしかできないので、これからもそうし続けるんだろうなって思います。

──そういう歌のあり方を守るために、制作スタッフに意見を伝えたりは?

海蔵 デビュー当初はあまりしませんでしたけど、最近はやります。歌った瞬間に自分の曲になるわけじゃないですか。ってことはそこに責任を持たなきゃいけないので、ダメならダメでしょうがないから、自分の意見をとりあえず言ってみようと。音楽的知識はもちろん作家さんやアレンジャーさんのほうが圧倒的にあるんですけど、僕はそれがないからこそ感じられることを、自分なりの言葉で伝えるようにしてます。

──“海蔵亮太の曲”ですものね。

海蔵 「ま、いいか」と思ってできた曲でも5年、10年と生き続けるものだと思うんです。僕が死んだあとも残るわけですから。思ったことを言っていない作品って、自分の歌として自信を持って歌えない気がするんですよね。今回もリリースして終わりじゃなくて、のちのちまで「いいな」と思ってほしいという気持ちで、曲を作ったり歌ったりしています。そういう機会では人目をあまり気にせず、「言うだけならタダ」の精神で、思ったことは言うようにして。曲を作れる人間じゃないからこそ、余計にきちんと伝えなきゃいけないなって最近すごく思いますね。

松浦 すごくわかります。海蔵さんは聴く人の感覚に近いんでしょうね。

aoiro+海蔵=kaoiro

──ちなみにaoiroは5月いっぱいで活動休止ということなので、最後にそのことについて話していただけますか?

松浦 えっ、この場をお借りしていいんですか?

海蔵 もちろん。僕はそもそも活動休止に反対ですけど(笑)。

aoiro

織田 海蔵さんの「曲は5年、10年後も残っていく」という話はすごく刺さりました。活動休止しても曲は死ぬわけじゃないよなって。5月までしっかり歌っていきたいですし、まだaoiroを知らない人にも届いてほしいです。それにaoiroはなくなるわけじゃないんです。僕の人生にとっても2人にとってもすごく大きな縁でしたし、また巡り合うときは必ず来ると思ってるんです。今後もそれぞれが「俺はaoiroやってたんだぞ」って胸を張れるような姿で、みんなの前にいたいですね。

松浦 活動休止しても、この3人で歌ってた曲は変わらず愛してもらいたいっていうのが1つ。もう1つは、今後はそれぞれの活動に移るわけですけど、路上ライブでお客さんと至近距離で歌っていたこととか、寒い中で歌って大変だったこととか、お金がなくて差し入れで生き延びてたこととか、aoiroでみんなと経験したことのすべてを胸に歩いていくよ、って伝えたいです。

オノ 僕は1、2年前から体の調子が悪くて、思うように歌える日がほぼなくなってしまって、ひどいときはメンバーに自分のパートを任せたりとか、不甲斐ない日々でした。活動休止後は、チャレンジしたいこともたくさんあるけど、その前にまず、改めて初心に戻れるんじゃないかなと思うんです。例えればaoiroは親みたいな感じで、巣立ったとしても永遠につながっている関係だから、3人それぞれがパワーアップして、いつかまた一緒に歌えるときがくればいいと思います。

──そもそも活動休止に反対の海蔵さん、どうですか?

海蔵 やばいな(笑)。この真面目な流れからの私ですか? えーっと、活動休止をすること自体はもう変わらないと思うんですけど、その先の各々の活動にaoiroでの経験が絶対に生かされるときがくると思うし、今以上にキラキラしてワクワクした音楽人生を僕も一緒に歩んでいきたいですし、いつかまた再結集するときは僕が新メンバーで、グループ名に海蔵のkを入れてもらって、kaoiroとして活動したいです。

全員 (爆笑)

──なんてきれいなオチ! 最後はaoiroから海蔵さんへのエールで締めようと思ったんですが、これは難しそうですね(笑)。

松浦 コーラスで参加させていただけたのはすごくありがたいですし、僕らも愛着のあるアルバムになったんで、なんとしても広がってほしいです。これからの海蔵さんってことでいうと、抜群の歌唱力と、本当に声質がクリアで、響きが素晴らしいので……。

海蔵 話が最初に戻ったよ(笑)。

松浦 その歌唱力を最大限に生かして活躍していただきたいのと、個人的にはYouTubeの偏見コメントへのアンサーソングを楽しみにしています(笑)。

織田 新型コロナウイルスの猛威がなかなか収まりませんけど、人に癒しを与えられる海蔵さんの歌声を求めてる人たちが必ずいると思います。そういう人たちに1人でも多く届いてほしいですね。

オノ コラボさせていただいた「Everyday Heroes」は介護・医療従事者へのエールですけど、この状況を支えてくださってるエッセンシャルワーカーの方たちにも、コロナにかかってしまった人たちにも、海蔵さんの歌声はきっと元気を与えてくれると思うんです。僕もいちリスナーとしてこれからの活躍を楽しみにしてます。

海蔵 いただきました! aoiroさんの温かいコメントを胸に刻みます。

「僕が歌う理由(わけ)」購入者イベント

Zoomトーク会
  • 2021年2月21日(日)16:00〜
配信ミニライブ
  • 2021年3月20日(土・祝)14:00〜

ワンマンライブ

海蔵亮太 LIVE 2021「僕が歌う理由(わけ)」
  • 2021年6月12日(土)東京都 大手町三井ホール
左から海蔵亮太、織田智朗、オノシュンヤ、松浦航大。