「シカクイセカイ」からデカいステージへ

──アイドルといえば“キラキラした青春ソング”とか“甘酸っぱいラブソング”が定石ですけど、レムは人間の黒い部分を歌っている。ダークサイドから光をつかみ取ろうとする楽曲が多いように感じます。

かざき　まさに今回リリースする「シカクイセカイ」はそれだもんね。闇の中から光を掴み取ろうとする。

優瑠　切な激しい曲だよね。イントロがめちゃくちゃきれいで、そこからバンドサウンドでカッコよくなって、サビでアイドルっぽい要素も魅せるという。いろんな表現をできるのがレムの魅力だと思います。

──「シカクイセカイ」の歌詞は、家に引きこもっていた主人公が外の世界へ飛び出すという内容になっていますね。

詩季　「6畳一間」という歌詞はありますけど、その閉鎖的な世界は家以外でも捉えられますよね。例えばグループや組織の中で、自分の意見を言いたいけど勇気が出せなくて声を上げることができないとか、そういう殻に閉じこもっているすべての人を応援する曲だと思います。

たくと　俺は「シカクイセカイ」を聴いたときに、自分たちのことを歌った曲だなと思った。サビの「シカクイセカイから羽ばたけると信じてた」というのはライブハウスのことを指していて、そこからデカいステージへ飛び出して行こうよって。

──1歩踏み出せないでいる誰かを支える曲でもあるし、自分自身に向けた曲でもあると。

たくと　そうですね。だからこの曲を歌うことになって俺たちもよりがんばりたいと思ったし、聴いてくださる方たちにもそう思ってもらえたらいいなと。

詩季　MVの話をすると、「シカクイセカイ」と同時期に公開された「幾日見える彼は誰（いつかみえるかわたれ）」は同じスタジオで撮影しているんですよ。「シカクイセカイ」のMVは歌唱シーンやダンスパートなど、メンバーの真剣な表情が印象的な映像なんですけど、「幾日見える彼は誰（いつかみえるかわたれ）」はおふざけシーンもあり、メンバー同士の仲のよさも伝わっているんじゃないかなって。ちょっとだけほっこりするような画になっているので、対照的な2曲のMVを見比べてほしいです。

たくと　今までメンバーが仲良くしているMVはなかったから、「幾日見える彼は誰（いつかみえるかわたれ）」は新たな一面を見せられたのかなと思います。

りんのすけ　しかも今回のシングルは4タイプのリリースになるんですけど、それぞれ収録されているカップリングが違うんですよ。コンプリートしてもらえたらレムの全曲が聴けるようになってます。なので今までの僕らを知っている人も、今作で興味を持ってくださった方も全種類集めてほしいですね。

今までにない新たなアイドルの形を

──10月には2度目のワンマンライブが控えていますが、実験室レムはこのコロナ禍においてもほぼ毎日と言っていいくらいステージに立ってますよね。

たくと　明らかにほかのグループと比べてイベントの数を打っていますね。やっぱりステージで歌わないとパフォーマンスの精度が落ちてしまうので、感染症対策を徹底しつつ、可能な限り人前で歌って楽曲を育てていきたいと思っています。

詩季　換気はもちろん、会場によってはマスクをして歌うこともあります。ファンの皆さんに安心してライブを楽しんでもらえるような対策はしていますので、興味がありましたら会場に足を運んでもらえるとうれしいですね。

──いろんなアーティストに取材をすると、主催者がどれだけ感染症対策を講じていてもチケットが売れ残ってしまうのが現状のようです。確かにお客さんの立場になれば、会場へ足を運ぶのが不安なのもわかるというか。

詩季　それはありますよね。

──それでもライブを観たいと思う方は、本当にその音楽が必要なんでしょうね。

優瑠　レムに関しては、ありがたいことにそう思ってくださるお客さんが多いんですよ。日によっては、2部構成でライブを行う日もあるんです。1部が終わって、僕らがお昼ごはんを食べようと会場の外へ出たら、入り口で整理券を手に入れるためにお客さんが列を作って並んでいる。それを目の当たりにすると、こういう大変な状況なのに僕らを求めてくれることが単純にうれしいですし、1本1本のステージを大切にしなければいけないと、より強い覚悟が生まれますね。

──今回はグループ結成の経緯や、メンバーの特徴、楽曲についてお話いただきましたが、最後にお聞きします。実験室レムとはなんでしょうか？

優瑠　うーん、僕たちはまだまだ実験中なので、今の質問にひと言で答えるのはむずかしいですね（笑）。ただ実験室レムのグループ名の由来は、「このメンバーとあのメンバーを合わせたら、どういうグループになるのか」という実験の意味合いがあって、さらにレムというのは“黎明”を指しているんです。そのグループ名の通り、今までいなかった新しいアイドルの形を作っていけたらと思っています。

※特集公開時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正します。