JAM Projectにはないものが詰め込まれた
──ここまで「ROCK五銃士」についてお伺いしましたが、そのほかのアーティストやコンポーザーとも同じようなやり取りで楽曲を作られたのでしょうか?
影山 基本的には似たような感じです。ただFLOWとは歌詞の打ち合わせをしまして、「世界を回せ」みたいな感じでとお願いしたら「ジャイアントスイング」という曲になりました。
遠藤 わかりやすい。
──今回のアルバムはタイトルにもある「Dragon Knights」というフレーズを想起させる楽曲も多いですが、そのテーマは皆さんに伝えられたのでしょうか?
e-ZUKA 僕は知らなかったです。
影山 皆さんにお願いする曲とは別に、自分たちで作る曲のために作ったテーマなので基本的には言っていません。「Dragon Knights」というテーマ自体は、ファンが思うであろうJAM Projectらしさを考えたときに、シンフォニックなロックとかヨーロッパのメタルとかそのあたりかなと。そこから「Dragon Knights」が出てきました。
──確かにメタルにはファンタジーモチーフの楽曲も多いですしね。このテーマで作られた皆さんの楽曲も多いおかげで、いろんな方々が参加しているにも関わらずアルバムに統一感があるように感じます。
影山 はい。そのテーマを決めたあとに畑亜貴さんに作詞してもらった「KINGDOM of "J"」もファンタジックな歌詞になりましたし。
──JAM Projectメンバーが作られた曲もいいものが多いですよね。影山さんが作曲された表題曲「The Age of Dragon Knights」や外国人メンバーであるヒカルド・クルーズさんが作曲された「Homeward bound」、奥井さんが作詞された「Shout」はこれまでになく英語が多く新鮮でした。
奥井 「Shout」は作曲した福ちゃんが仮歌を英語で入れていたので、その印象が離れなくって。ただ私は英語が得意じゃないので、書いたものは影山さんと影山さんの英語の先生にチェックしてもらいました。
影山 福ちゃんは仮歌にThe Beatlesや海外のロックアーティストの歌詞をよく使うよね。
福山 この曲のときはQueenでした。僕の家にロックの詩集がずらっとあって、そこから歌詞の乗りがよさそうなやつを1行ずつはめていってます。
きただに すげえ作業。
福山 このやり方だと、日本語だと生まれないようなシンコペーションが生まれたりするんですよね。
──あとは遠藤さんが作詞・作曲された「Are U Ready?-闘わknight!-」も勢いのあるストレートなロックナンバーで印象的です。
遠藤 これは翌日にニューヨークに旅立つから、それまでにレコーディングを終えなきゃいけないというギリギリのタイミングで完成した曲です。1日でも遅れたらダメという状況で鈴木マサキくんがアレンジしてくれたんですけど、僕のメロを勘違いしてコードを付けてくれたりして……大変でした(笑)。
影山 あと大変だったのだと「The Age of Dragon Knights」とか?
奥井 コーラスだけで3日くらいかかった。
遠藤 でも今回はいろんな人が参加してくれたおかげで、どれも大変だったけど新鮮な気持ちで取り組めて楽しかった。
影山 GRANRODEOの曲が一番大変だったよ。
KISHOW 「たぶん歌いづらいかな」と思いつつでしたが……相当恨まれてると思ってます。
奥井 いや、歌っててすごく新鮮だった。
福山 メロディもアレンジも、歌詞に使ってる語彙も僕らにはないものばかりだったし。ALI PROJECTが作ってくれた「龍驤-Ryujou」なんて、逆立ちしたって出てこないようなオリジナリティで。
奥井 (宝野)アリカさんの台詞とかもね。
影山 俺たち以外のアーティストに曲を作ってもらうのが、今回が初めてでした。だからこのアルバムを完成させたことによって自分たちも変化して、また1つ武器が増えたと思うので、これまでより少し険しい山にも挑める気がしています。
70歳を超えても変わらずJAM Projectであり続けてほしい
──まだまだ新しい山に登ろうとするチャレンジ精神がJAM Projectらしいと感じます。ではそろそろインタビューを締めるため、GRANRODEOからJAM Projectにエールの言葉をお願いします。
KISHOW エールというのもおこがましいですが……70歳とか超えても、変わらずJAM Projectであり続けてほしいです。GRANRODEOを始めたときの僕はもう少しとんがっていたけど、JAM Projectさんのすごいライブを観させてもらって「俺もこうなりたい」とか「こういう歌声を出したい」と思えて、そのおかげで15年前には出せなかったような声が出るようになったし、理想のボーカリスト像に近づいているので。これからも指針であってほしいし、このレーベルの象徴であってほしいです。
e-ZUKA 本当に背中を見て勉強させてもらってます。道しるべみたいなもんですね。
──JAM Projectは20周年を迎えましたが、2020年はGRANRODEOも15周年イヤーです。3月に開催するワンマンライブに「たかが15年」という副題が付いていますが(参照:GRANRODEO15周年イヤーのライブ続々決定、トリビュートアルバム発売も)、そうした先達がいるからこそのニュアンスも入っているのでしょうか?
KISHOW そういった部分もありますね。「15年よくやってきたよね」なんて言ってる場合じゃない。皆さんがいるおかげで僕らがいくつになっても若い衆感を出せるので(笑)、王者としてずっと君臨していてください。
──最後にJAM Projectの皆さんは4月に始まるツアーへの意気込みを教えてください。
きただに 今回は行ったことないところにも行けるのがうれしいですね。個人的には地元(山口県萩市)でもやりたいです。
KISHOW いいっすねー。
──そうか、きただにさんとKISHOWさんは同じ山口県出身でしたね。
KISHOW いい町ですよ、萩は。
影山 でも地元にホールはあるの?
きただに 失礼な! 萩市民館がありますよ(笑)。親も高齢なので、元気なうちにJAM Projectの姿を見せたいです。
奥井 今回のアルバムの曲は歌うのが大変なので、私はしっかり練習してツアーに臨みたいです。
遠藤 練習しないと歌えないよね。それでも本物の歌ってライブでしか体感できないから、今回もその本物を皆さんに聴かせたいです。
福山 練習もそうだし、本番もいつも以上に丁寧にやりたいです。長くやっていると、あまり歌えない曲も増えてくるんですよ。今回のアルバムの曲もこの機会でしか歌えないかもしれないので。ジャンプするところはジャンプするけど。
影山 細くなるんでしょ?
福山 細くなきゃ歌えないでしょう。
遠藤 その話、毎年聞いてるよ(笑)。
福山 でも「ROCK五銃士」は体力がないと歌えないよ。「福山は噛み噛みで1行も歌えてなかった」なんて言われないよう、身が引き締まる思いです。
影山 いろんな人に手伝ってもらって作ったアルバムだから、ぜひ多くの人にライブに来てほしいし、そこで真価が問われると思う。俺たちとしてはベテランらしく、でもまだまだ走り回れるというのは見せたいよね。「これまでのライブで一番よかった」と言われるようなツアーにしたいです。
ツアー情報
- JAM Project「JAM Project LIVE 2020 20th Anniversary Tour The Age of Dragon Knights」
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第1弾発表
- 2020年4月11日(土)埼玉県 和光市民文化センター サンアゼリア
- 2020年4月19日(日)群馬県 伊勢崎市文化会館
- 2020年4月25日(土)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- 2020年4月26日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
- 2020年5月9日(土)長野県 長野市芸術館
- 2020年5月10日(日)石川県 金沢市文化ホール
- 2020年5月16日(土)宮城県 トークネットホール仙台
- 2020年5月17日(日)福島県 けんしん郡山文化センター 中ホール
- 2020年7月5日(日)福岡県 福岡国際会議場