音楽ナタリー Power Push - 出雲咲乃

JABBERLOOPが明かす、ベールに包まれた19歳の素顔

この子は何を考えているんだろう?

──一緒に楽曲作りをする中で、出雲さんの才能を感じた瞬間はありましたか?

MAKOTO 常にヤバかったですよ。「この子は何を考えているんだろう?」って。

YOHEI いい意味で、僕らにとってもまだ謎めいた存在なんですよ。

MAKOTO 多くを語らないんです。ただ、意見がないわけじゃなくて、自分が譲れないところではちゃんと発言する。

YUKI アレンジが佳境に差し掛かって、みんなで「ここはどうしようか」って悩んでいるときに、彼女が「こっちにしましょう」ってポンと決断したりするんですよ。それで何度も救われました。こちらは理屈的なことをああだこうだとしゃべって悩んでいるんですけど、彼女は「こっちが好きだから」っていう理由で決断する。大人を泳がせて悩ませて、最後にズドンと決めるんです(笑)。

左からDAISUKE(Sax)、YOHEI(Dr)、MAKOTO(Tp)。

YOHEI やり方が大人だよね。

YUKI あとは肝っ玉が据わってるね。

──歌録りも一緒にしたんですか?

MAKOTO バンドと一緒にせーのでやりました。

──そうだったんですね。出雲さんにとっては、スタジオで本格的なレコーディングをするのは初めてだったと思うのですが、振り返ってみていかがでしょう。

YOHEI 初めてということをまったく感じさせなかったですよ。

MAKOTO 普通ね、スタジオに初めて入ったらドキドキするだろうし、浮かれてしまうところもあると思うんですよ。あと、場に慣れなくてうまく歌えなかったりするじゃないですか。そういうことは一切なかった。

YOHEI それどころか、歌うたびにどんどんよくなっていったよね。堂々としてた。

MAKOTO 「もう1回お願いします」って頼むと、必ず前のテイクを超えてくる。面白かったなあ。

──彼女の歌声の魅力はどういったところだと思いますか?

YUKI いかにも「歌がうまいですよ」っていう歌い方じゃなくて、ナチュラルに出た声がその曲のためにあるような声になっているんですよ。歌わされている感じが全然なくて。

MAKOTO あと、リズム感と安定感が抜群だなと思います。歌詞がめっちゃ難しいから、リズム感がよくないとハメきれない。

YOHEI ダークさもあるけど、女の子らしいキュートな部分もある。いろんな表情の声を持っていると思います。

僕らの音楽作りに新しい風が吹いた

──では1人の女の子としての「出雲咲乃」には、どういった印象を持ちましたか?

左からYOHEI(Dr)、DAISUKE(Sax)、MAKOTO(Tp)。

YUKI 言葉数が少なくて、たまに発言すると九州なまりなので、そこはチャームポイントやなって思ってました(笑)。

YOHEI 一見何を考えているのかわからないから近寄り難いんですけど、いざ会話してみると「やっぱり10代の女の子やな」っていうところもあるしね。

MAKOTO ニヤっとニヒルに笑うのが印象的でしたね。

──出雲さんと共作してみて、JABBERLOOPの皆さんにとっての発見はあったでしょうか。

YUKI もう発見しかなかったです。

MAKOTO 今までも、ほかのアーティストさんのアレンジやリミックスを手がけることはけっこうあったんですけど、これまではクラブシーン向けに楽曲を仕上げることが多かったので、今回のようにJ-POPのシーンをしっかりと意識して投げかけるっていうことは新しい試みだったんです。僕らの音楽作りに新しい風が吹いたような感じがしましたね。

新人にして大物

──最後に、JABBERLOOPの皆さんが感じた出雲咲乃の魅力を教えてください。

JABBERLOOP

MAKOTO 新人にして大物、という感じですかね。音楽シーンにずっと残っていける人って、デビューの頃からすでに完成されているじゃないですか。彼女はそういう香りがぷんぷんしました。

YOHEI これからもブレずに進んでいくだろうね。

YUKI こういう人のことを天才って言うんやろうなって感じですよ。

MAKOTO 誰とでも対等に接するしね。いい意味で遠慮がない。

YOHEI 最初に曲を聴いたとき、「本当に全部1人で作ったの?」って疑うくらいに完成されていたんですよ。曲数も、すでにすごくあるんですけど、似たような曲はなくて。だけど彼女の世界観は一貫している。

YUKI どの曲にもチャレンジ要素と安定性が備わっていましたね。これからあの楽曲群を彼女がどう表現していくんやろう?って想像すると、ワクワクしますよ。

デビューシングル「当流女」 / 2016年4月6日発売 / 1296円 / SDR / ZXRC-1069
「当流女」
ヴィレッジヴァンガード下北沢店限定発売
収録曲
  1. 当流女
  2. キャット・ストリート
  3. 少女の如く、女の如く。

-おまけ♡- 三津子の女優革命

出雲咲乃(イズモサキノ)
出雲咲乃

福岡県北九州市出身のシンガーソングライター。16歳のときにギターを購入し、楽曲制作を開始。その半年後にスターダストプロモーション主催の「第1回 SDRオーディション」に参加し、合格者となる。2016年4月にデビューシングル「当流女」をヴィレッジヴァンガード下北沢店限定でリリース。表題曲はBS朝日のスペシャルドラマ「女優堕ち」の主題歌に選ばれる。自室での楽曲制作を中心に活動中で、BS11「ミュージック☆ロード」に準レギュラーとして出演している。

JABBERLOOP(ジャバループ)
JABBERLOOP

DAISUKE(Sax)、MAKOTO(Tp)、MELTEN(Key)、YUKI(B)、YOHEI(Dr)の5人で構成されたクラブジャズバンド。オリジナリティのある音楽性を持ち、海外、野外フェス、ジャズクラブなどでライブ活動を行っている。2007年「and infinite jazz...」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2009年に2ndアルバム「CHECK THIS OUT!!」をリリースし、同年、アルバム「REVENGE OF THE SPACE MONSTER」で全米デビューする。 2010年には台湾のラッパー・SOFTLIPAとの共作アルバム「経典!」を発表。同作は台湾の音楽賞「第22届金曲奨」にて年間ベストアルバムにノミネートされる。2012年には自身の主宰するレーベルINFINITE RECORDSを始動させ、デビュー5周年記念盤となる4thアルバム「5」リリースした。2015年4月、初のボーカル作品集となる「feat.」を発表。同年8月には、バンドの東京進出10周年を記念し、自らの企画・ブッキング・プロモーションにて、バンドの地元である滋賀県の琵琶湖にて「MOTHER LAKE JAZZ FESTIVAL in 浜大津サマーフェスタ2015」を開催した。2016年3月、東京・原宿クエストホールにて「マザレフェス2016」を実施。6月には音楽を担当した別所哲也主演の映画「マザーレイク」が公開される。7月30日には第2回となる「MOTHER LAKE JAZZ FESTIVAL 2016」を滋賀・大津港特設ステージにて開催する。