ステージにいるときだけは強くなれる
──はのんまゆさんも、INUWASIの攻撃的な曲と自分のキャラクターでマッチするところを感じますか?
はのんまゆ 自分はもともとアイドルにまったく興味がなくて、以前バンドをやっていたこともあって激しい音には慣れていたんです。むしろ、キャラ的にも違うし、アイドルなんて人生で絶対やらないだろうなと思っていました。そんな中、前のグループのプロデューサーさんに「嫌だろうけど、試しにやってみない?」と言われてアイドルをやってみたら、案外楽しくて。ほかの演者さんを見て、歌って踊ってキラキラしてる女の子たちっていいなと思うようになっていきました。ただ、曲はカッコいいほうになじみがあったから、今の事務所から話が来て曲を聴かせてもらったときは、「私が求めているのはこっちだわ」と即決しました。
──楽曲が求めているものとマッチしていたんですね。
はのんまゆ そうですね。私、声がかわいくないんですよ。メンバーみんな苦笑いしてますけど、ネタにされるぐらいかわいくなくて(笑)。
がるむ かわいいと思うよ(笑)。
はのんまゆ 作れば女の子っぽい声も出せるんですけど、バンドでも男性ボーカルの曲をやっていたし、その経験を生かせるのはカッコいい楽曲かなと思っていたので、INUWASIがよかったんです。
──ライカさんは、INUWASIの方向性についてどう感じていましたか?
ライカ 私はもともとハロー!プロジェクトとか、キラキラしたアイドルさんが好きで。INUWASIの曲の歌詞には怒りの感情が含まれてたりするんですけど、自分は人生の中で心の底からバーッと沸き上がるような怒りを感じたことがなかったんです。でも、INUWASIの活動でいろいろと経験していくうちに、自分が体験した悔しいことを歌にぶつけられるようになって。INUWASIでアイドルをやれて、今すごく幸せです。
──音楽によって自分が知らない自分みたいなものが見えてきたと。
ライカ そうですね。ステージにいるときだけは強くなれている気がします。
がるむ ライブ中の表情がよくなったよね。
ライカ メンバーから褒められてうれしいです(笑)。
がるむ INUWASIは基本的にライブ中撮影可能なので、カメコさんが写真を撮ってくれるんですけど、面白い写真があったらメンバーにLINEで送りつけているんです(笑)。
はのんまゆ たまにカリヲリさんが写真をコラージュしていて。いわゆるクソコラを作ってLINEのトップ画にしているんです。そこで才能を発揮しないでくれっていう(笑)。
がるむ 写真を見て、ライカちゃんってライブ中にこんなに笑っているんだと驚いたんです。私はライブ中にあまりメンバーの顔を見ないタイプだったんですが、最近ちょっとずつ見るようになって。INUWASIには今までアイドルっぽい振りがなかった中、今回のアルバムに入っている「ネバーエンディング」は背中を合わせたり、見つめ合ったりする部分があるんです。ライブで披露するときは、わりとメンバー同士顔を合わせて笑っています。
幅広い面を知ってもらってもっと大きくなる
──アルバムはその「ネバーエンディング」で始まる構成になっていて、全体的に“新しいINUWASIの始まり“という印象を受けました。14曲入りと盛りだくさんな作品ですけど、皆さんとしてはどんなアルバムになったと思いますか?
はのんまゆ アルバムタイトルの「DUTY」は直訳すると「義務」という意味なんです。応援してくれる方や携わってくださる方のためにも、私たちはもっとたくさんの人に知ってもらって有名にならなきゃいけない。今まではハードコアに特化していたけど、今回はカッコいい曲もありつつ、新しく挑戦するジャンルの曲もあって、「もっと私たちの幅広い面を知ってもらって大きくなる」という意味が込められています。
──アルバムの核になっている曲を挙げるとするとどれでしょう?
はのんまゆ 1曲目の「ネバーエンディング」と2曲目の「Lapse」はミュージックビデオを作っているし、アルバムの核となっている曲だと思います。「ネバーエンディング」と「Lapse」は一番ポップでアイドル寄りと言えばアイドル寄りで、まさにINUWASIが今までに歌ったことのない曲ですね。
すずめ アルバムを出させていただくたびに、どんどん振り幅が広がっていって。この14曲は本当に最強で、世界に見つかるべきアルバムなんです!
はのんまゆ 3曲目の「Axenxion」では今までのカッコよさもちゃんと出しつつ、お客さんと一緒に楽しめることを追求しています。
すずめ 14曲目の「Mothe Earth」もいいよね。歌詞に「何度目のまた辿り着いた結末を塗り替える事できないまま Lonely heart」というフレーズがあって。この部分に限らずですけど、今までの自分の気持ちと重なるものがあるんです。
──ほかにも思い入れのある曲があったら教えてください。
イヴ 「ネバーエンディング」のMV撮影ではいろいろなところに行ったんですよ。1人ひとり個別に撮影もしたし、INUWASIとしての思い出がたくさん詰まっていて、個人的に大切にしていきたい曲です。
カリヲリ 5曲目の「Darkness」も、自分を鏡に映したみたいに共感できるところがあります。私は曲がったやり方でしか自分に正直に生きられないタイプなんですけど、この曲は遠回しな言い方が共感できるうえに、急にまっすぐな言葉で伝えてくるから、背中を押されている気持ちになる。自分でもよく聴く曲です。
がるむ 私は曲をいただいたとき、まず歌詞に注目するんです。共感できる歌詞に惹かれるから、わりと暗めな曲ばかり好きになっちゃうんですけど、さっき話に出た「Mothe Earth」はやっぱり歌詞がいいですね。自分自身と重なるから、感情を入れて心から歌える。「Darkness」や4曲目の「setsuna」も歌詞が好きです。攻撃的な性格だから、自分の憎しみ、悔しい思いが力になるんですよ。まるで中指を立てているような内容の歌詞が好きで、実際ライブ中も中指立てちゃいます。明るい曲に関して言うと、8曲目の「Israfil」は振りもポップな感じで、お客さんと一緒に盛り上がろうみたいな曲で、INUWASIの方向性が変わったことがよくわかると思います。
ライカ 私としては全曲聴いてほしいんですけど、「Darkness」には「悪者でもいいさ 真実を伝えるから」という、がるむさんが歌うフレーズがあって。世の中って嘘であふれてるじゃないですか。「Darkness」はそういう世界でも抗って、立ち向かって生きていくみたいな、暗い雰囲気の中でも強さを持っている曲だと思うんです。ちょっと落ち込んじゃったときにこの曲をリピートして聴くと、もっとがんばろうって思えます。あと、「Hello Anonymous」はカリヲリが振りを考えてくれたんです。今までは振付師さんが立ち位置や振りを考えてくれていたので、メンバーだけで最初から作ったという意味で思い入れがあります。
この先も変わり続けていきたい
──これまではコロナの影響で思うように活動できなかったかもしれませんが、1stフルアルバムが完成し、いよいよINUWASIが本領発揮して突き進んでいく準備が整ったと思います。この先、INUWASIをどんなグループにしてきたいですか?
カリヲリ 今、INUWASIはすごく変化している段階なんです。ただ、変化することによって喜んでくれる方もいれば、悲しむ人もいて。それは仕方ないことなんですけど、目的に向かって突き進んでいる姿から、光るものを感じ取ってもらいたいんです。上を目指すということは変わり続けなきゃいけないし、その都度進化しなきゃいけない。この先も変わり続けていきたいし、カメレオンみたいにいろいろな色に変化できるグループでありたいです。
イヴ たくさんの人の心を動かせるグループになりたいです。すごくありきたりな言葉に聞こえるかもしれませんが、人の心を動かすのって簡単なことじゃないし、本当に素敵なことだと思うんです。
すずめ 激しい曲ばかりやっていたときは、私たちが未熟だったのもあり、グループに対する批判的な声を聞くこともあって。そういう中でも、スタッフさんたちは本気で私たちのために曲を作ってくれているので、もっと大きなグループになって、周りの人たちを見返せるような圧倒的な存在になりたいです。ファンの人たちもすごく熱く応援してくださっていて。私たちに本気でぶつかってくれている人たちに、恩を何倍にもして返したい。感謝の気持ちを忘れず、温かさも強さもある、そういうグループになりたいです。
ライカ 私は、どこに行っても注目されるグループになりたいです。今は東京を拠点に活動していますが、名古屋や大阪、全国各地に「INUWASIっていいらしいよ」という言葉が広がっていって、常に注目されているグループであれたらなって。あと、やっぱり感謝の気持ちはすごく大事だと思うので、それを忘れないグループでいたいです。
がるむ みんなと同じ意見なんですけど、INUWASIで活動するうえで、次があるとは思っていなくて。次があるからいいやとか、中途半端な気持ちでやっていると行きたいところには行けないので、覚悟を決めて進んでいきたい。これまで「そんなんじゃ売れないっしょ」みたいなことを面と向かって言われてきたんですよ。そういう人たちがもう何も言えないくらい、私たちのことを誰でも知っているくらいに知名度を上げたいです。メンバーも含め、INUWASIに携わってくれているすべての人が報われてほしい。私がいつも心に浮かべているのは、初心忘るべからずという言葉なんです。初心を忘れたら人間は終わりなので、挨拶とか基本的な礼儀も忘れない。ライブはもちろん、人柄や“グループ柄“もいいねと言われるような存在になりたいです。
はのんまゆ 簡潔に言うと、唯一無二のグループでありたいですね。INUWASIは同じ事務所のほかのグループと比べられることが多くて。私はそれが嫌というか、私たちは私たちなので、INUWASIという唯一無二の存在を好きになってもらいたい。アイドルが好きな人は当然のこととして、アイドルに全然興味ない人にも知ってもらえているグループになりたいです。今回いろんな曲をやらせてもらって、グループとしてどんどん変化してきているので、このアルバムを通していろいろな人たちに知ってもらえたらうれしいです。
ライブ情報
- INUWASI Live Tour “JUSTIZ”
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- 2021年11月13日(土) 大阪府 ROCKTOWN
- 2021年11月14日(日) 愛知県 SPADE BOX
- 2021年11月28日(日) 東京都 下北沢シャングリラ
- INUWASI(イヌワシ)
- 犬と鷲の融合“ハイブリッドラプター“をイメージした6人組アイドルユニット。芸能プロダクション・MAPLE INC.に所属し、2020年2月にデビューを果たした。黒い衣装を身にまとい、ハードコアの楽曲を歌うというスタイルで活動をスタートさせ、同年11月に1stミニアルバム「Aquler」、2021年3月に2ndミニアルバム「Thanatos」を発表。4月に東京・Veats Shibuyaで1stワンマンライブを開催し、11月に1stフルアルバム「DUTY」をリリースした。