ヒステリックパニック×a crowd of rebellion|戦い続ける2組が見据える未来

最後まで踊りきれるダンスチューンを初めて作った

──歌を3本録るというのは、制作当初からの構想だったんですか?

ヒステリックパニック

Tack朗 エンジニアの方が「今回は3本でいってみる?」と提案してくれたんです。初期からずっと担当してくれてる方のアイデアだし、僕らにとってもいいハードルになるかなと。ただ、渾身の歌を録れた!と思ったあと、それと同じフレーズを同じニュアンスで歌わなきゃいけないっていうのはけっこう大変でした。

宮田 3本はキツいね。でも仕上がりがいいからまたやらないとね(笑)。

とも これから定例化するかも(笑)。バンドマンはみんなそうだと思うけど、やりきっても毎回制作の最後のほうでコツをつかんできて「あそこはこうすればよかった」って思うこともあって。それを次に持ち越すから、チャレンジに終わりはないですよね。試した結果、逆効果になることもあるだろうけど、それを繰り返していくだけというか。今回の作品だって反省点はあるから。

──以前ヒスパニは制作において、互いのパートにまったく干渉しないと話されてましたが、それは現在も継続してるんですか?

Tack朗 以前はそうだったんですけど、「Shut up」(2017年11月配信リリース)から、ともがどんな方向性の曲を作るのかのイニシアチブを握るようになったんですよ。

とも 俺は音楽理論とかまったくわからないから、感覚で「こういうことをやりたい!」ってメンバーに伝えて、みんながそれを紐解いて噛み砕いてくれるという(笑)。制作に入っても前は作曲者が広げていく感じだったけど、「Shut up」からはやりたいことをみんなで持ち寄っていて。今のところいい感じですね。

──制作面においても、新たなチャレンジをされたんですね。

Tack朗 あと、今までの俺らのダンスチューンってBメロでシャウトが入ってるとか、どこか絶対に崩していて。でも今回の「Love it!」はあえて崩さず、最後まで踊りきれるようなシンプルな作りにしたんです。ほかのバンドだと当たり前にやってることだけど、それが俺らにとっては初めてのチャレンジだったりします。

とも 壊したくなるよね、曲構成。

丸山 うん!

一同 あはははは(笑)。

持ち味と聴きやすさのバランスで戦ってる2バンド

──リベリオンはどういった流れで制作をしてますか?

a crowd of rebellion

宮田 うちの場合は、漠が持ってきたものに対して、ほかのメンバーのフィルターをかけてますね。例えば「ここはストレートなほうがいい」とか、俺もファン目線になってけっこう言うし。で、漠が「うーん……直してくる」っていう流れ。

$EIGO 直してあの構成っていうことですよね?

宮田 そう(笑)。

丸山 最近は「ここぐらいまでならOKかな?」っていうのもわかってきたけどね(笑)。

とも その鬱憤をアルバムやカップリングで発散してる感じがする(笑)。「The Crow」の「A Malice Of Rider」とか、フラメンコみたいなフレーズがあったり、メタルっぽかったりして超好きですけど。

丸山 やりたくなるんだよね、ああいう曲も。

宮田 俺らの音楽ってシャウトもしてるし、声も甲高いし、一般の人には聴きなじみがないと思う。それに加えて構成までグチャグチャしてたら、手を伸ばしてくれてもサビまで聴かないで止めちゃうだろうし。多くの人に聴いてもらうことを考えたら、いろんなことをやってるけど、なぜだか聴きやすいのがポイントで。スムーズに聴けるっていうのを俺らは意識してるな。

とも お互い、これまで聴いていたヤツが崩しがちな音楽だったしね。FACTとか。

丸山 ホントにとんでもなかったなー。

とも うちは俺がけっこう壊したがるけど、Tack朗はそういうのも聴きつつ、青春パンクとかも根底にあったりするんで、わりとストレートなヤツを作りたがるんです。ただ、最近は俺の感じが伝染してきて、Tack朗も壊しがちになってるけど(笑)。

Tack朗 で、逆にともが王道を意識したり(笑)。

とも ひと癖あるヤツを聴いてきた世代だからか、どうしても普通じゃ面白くないって思っちゃうんですよね。聴きやすいかもしれないけど、やってる側としてつまらないと感じてしまって、変にこじらせたくなったり。

──そのあたりのバランスは難しいですよね。間口を意識しすぎると当たり障りのないモノになってしまうから。

宮田 まさにそうなんですよね。自分らの持ち味と聴きやすさのバランス、そこの戦いをしてる2バンドだと思います。ヒスパニとは、たぶん悩むポイントも一緒なのかなと。話してると「やっぱり、そうなんだな」って共感することが多い。ともくんも言ってたけど、ラウドバンドは共感し合うことが少ないから(笑)、そういうのが積み重なってどんどん仲良くなったんだろうし。

一生、ここで生きていきたい

──この10年ほどでラウドロックが市民権を得てきたところで、次に誰が飛び抜けてくるのかを期待してるリスナーも多いかと思います。その中でまさに未来を見据えてる2バンドですが、これからもっと仕掛けていきたいといった意識はありますか?

ヒステリックパニックとa crowd of rebellion。

宮田 うん、ありますね。俺らは今年4月から結成11年目に入ったこともあり、10年やってきたことを踏まえて、11年目からどう変わっていくのかを模索してるんです。やっぱり、「10年やったからもういいや」とはならないし、衰えていきたくもない。これから何ができるのかをしっかり見据えて、殻を破ろうとしてる段階。どう変わっていこうか、どう変わっていくといいのか、どう変わればいろんな人に受け入れてもらえるのか。自分たち自身としてすごく楽しみなところもあるし、一生、ここで生きていきたいんですよ。そのために先の先の先まで考えてるところです。

とも それこそ、こういう座談会ができるのも、出会ってから5年、めちゃくちゃいろんなバンドが淘汰されていった中、ギリギリ生き残ってきたヤツらだからだと思うし。リベリオンはメンバーの年齢がバラバラなんで、先輩だし、後輩だし、同期だし、ファンだしみたいなよくわからない関係性ですけど(笑)、止まったりせずにお互い続けてるというところで、ずっと意識し合っていくんだろうし。でも大雑把に言ってしまえば、ラウドシーンがどうこうとはあんまり思ってなくて。

宮田 そうだね。別にそんな小さい殻の中にいる気もないし。

とも ラウドって便利な言葉じゃないですか。ジャンルでもないだろうし。それにラウドという言葉自体、ちょっと死語になりつつあるんじゃないかと思うぐらい。

宮田 ヒスパニはJ-POPバンドって言ってるよね?

Tack朗 エクストリームなJ-POPです(笑)。

とも ラウドって言うと「ヒスパニはラウドじゃねえ」って言いたがる人もいるんで、「だったらJ-POPでいいよ」みたいな(笑)。ラウドどうこう関係なしに、大作さんが言った「ずっとここで生きていきたい」というのは俺らも一緒。ただ自分たちの戦い方はブレたくないし、そのままでどこまで行けるのか、っていうところかなと。

宮田 手を取り合いながらやっていくことも大事なんだろうけど、まずは己をこの音楽業界でどう輝かせていくのかがあっての話だと思う。戦っていって、生き残ったヤツらが何かを変えていくんだろうしね。

ヒステリックパニックとa crowd of rebellion。
ヒステリックパニック
「666(TRIPLE SICK'S)」
2018年5月2日発売 / Black Sheep Records
ヒステリックパニック「666(TRIPLE SICK'S)」初回限定盤

[CD]
1728円 / VICL-64994

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収録曲
  1. Love it!
  2. Suicide Squad
  3. メリーバッドエンド
  4. かえるのうた(Bonus Track)

ツアー情報

BLACK SHEEP RECORDS presents
「We are here!」
  • 2018年6月15日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST
  • 2018年6月17日(日)大阪府 OSAKA MUSE
  • 2018年6月29日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

出演者
ヒステリックパニック / BACK LIFT / Rhythmic Toy World

a crowd of rebellion「Gingerol」
2017年8月16日発売 / Warner Music Japan
a crowd of rebellion「Gingerol」通常盤

通常盤 [CD]
2700円 / WPCL-12698

Amazon.co.jp

収録曲
  1. C17H26O4
  2. HOPE
  3. Nex:us
  4. NIACIN FLUSH
  5. Devil Scars
  6. polyrhythm
  7. if...
  8. 294.38g/mol
  9. MATSURI WWWeapon
  10. Gorilla Gorilla Gorilla
  11. リビルド
  12. karma_葬
ヒステリックパニック
ヒステリックパニック
2012年に名古屋で結成されたバンド。現在はとも(Vo)、Tack朗(G, Vo)、$EIGO(G, Cho)、おかっち(B)、やっち(Dr)の5人で活動している。2013年7月にタワーレコード限定でリリースした4曲入りCD「4U」がヒット。ANGRY FROG REBIRTH、HER NAME IN BLOODといったバンドのツアーにゲスト出演し、各地で知名度を上げる。2015年4月にシングル「うそつき。」でメジャーデビュー。7月にフルアルバム「オトナとオモチャ」、2016年4月にシングル「シンデレラ・シンドローム」、7月に2ndフルアルバム「ノイジー・マイノリティー」をリリースし、2017年6月にアルバム「LIVE A LIVE」を発表した。2018年5月には新作CD「666(TRIPLE SICK'S)」を発売した。
a crowd of rebellion(アクラウドオブリベリオン)
a crowd of rebellion
2007年春に新潟県新潟市で結成されたスクリーモバンド。メンバーは高井佑典(B)、近藤岳(Dr)、小林亮輔(Vo, G)、宮田大作(Vo)、丸山漠(G)の5人。対照的なツインボーカルと変幻自在に展開を見せるアレンジが印象的な楽曲で唯一無二の世界観を描き出し、扇動的かつエモーショナルなライブパフォーマンスを武器に全国に活躍の場を広げている。2015年3月にシングル「The Crow」でメジャーデビュー。2018年7月11日に3rdフルアルバム「Ill」(イル)をリリースする。