堀江由衣「文学少女の歌集II -月とカエルと文学少女-」インタビュー|未練と憧れを形にした“文学少女”の世界 (3/3)

生演奏ライブで「放課後リピート」

──新しい一面が随所に見られる1枚になりましたが、アルバムタイトルには「月とカエルと文学少女」というサブタイトルが冠されています。やはりヨシダさんとの出会いから生まれた「月とカエル」がこれまでにない一面を引き出せた楽曲として重要な位置にあるのでしょうか。

サブタイは絶対に付けたいなと思っていたんです。続編で「II」だとよく「~◯○○○~」ってサブタイが入るじゃないですか。「文学少女の逆襲」とか「文学少女リターンズ」とか(笑)、事前にいろいろ考えたんですけど、それはアルバムができあがって最後に付ければいいかと。ですが、「月とカエル」ができあがったときに、「月とカエル……と文学少女? なんかいいかもしれないな」って。「月とカエル」は表題曲にもぴったりなキャッチーさがあったので、これに決めました。

──そしてアルバム発売後のツアーのほうも、2019年のツアータイトルを引き継ぐ形で「文学少女倶楽部II ~放課後リピート~」というタイトルになっています。

どうも私「II」とか好きみたいで(笑)。

──確かに、「堀江由衣をめぐる冒険」シリーズはVまでありました。

前のものを踏襲したパロディとか、ついやりたくなっちゃうんですよね。

堀江由衣

──「放課後リピート」というサブタイトルは何かのヒントになっているんですか?

ヒントですかねー?(笑) 細かいところはこれから決まりますし、詳しいことは言えないですけど。基本的には前回の世界観を踏襲したフォーマットになると思います。前回のツアーは、10数年ぶりにバンドさんとのライブだったんですよ。そのときに、今さらですけど「生演奏って素敵だな」と思って。バンドの方たちが、レコーディングされた音源の雰囲気を生かしつつ、ライブならではのアレンジを加えてくださった演奏を聴くと、昔の曲もなんだかより素敵に聞こえるんですよね。

──「文学少女の歌集II」からの楽曲を軸にしながら、バンドアレンジで映えそうな過去曲を組み込んでいく?

そうなる……と思います。前回は選曲をあえて自分でせずに、ディレクターさんとキングレコードの偉い人、三嶋さん(キング・アミューズメント・クリエイティブ本部長。堀江をはじめ水樹奈々、宮野真守らの作品でプロデュースを手がける)に考えてもらったんですよ。三嶋さんは水樹奈々さんのライブも手がけているし、生バンドならではのよさもよく知ってらっしゃるから、今回もまたお二人にお願いしていて。だから今はまだ、私はどの曲をやるのか知らないんです。演出については、まだネタバレはできないですけど、今いろいろと仕込んでいます。

──演出を考えるのは楽しいですか?

そうですね。私の唯一いいところって、ちょっとミーハーなところだと思うんですよ。いい作品を観たあとに「あ、これやりたいな」と自分のライブに生かせそうなところはミーハーに取り込んじゃうんです。それを考えるのはけっこう好きですね。

「フレー!フレー!ほっちゃん!」コールのないライブ

──前回のツアーは2019年の12月だから、ぎりぎりコロナ禍前ですよね。今はいろんなアーティストが歓声のないライブに苦戦していますけど、そのあたりはいかがですか?

去年の9月に開催したファンクラブイベントでは、人魚姫の薬を飲ませて声が出せないという設定にしました(笑)。あと、今は声が出るペンライトもあるので、それを作って売ってみようと思っています(笑)。

──歓声が聞こえないライブ空間は寂しいですね。「フレー!フレー!ほっちゃん!」の大合唱もないのかと思うと。

確かに。「CHILDISH♡LOVE♡WORLD」はどうなっちゃうんでしょうね。

──これを機に、バラードをじっくり聴かせるライブをやるのもよいかもしれませんが。

「CHILDISH♡LOVE♡WORLD」をアコースティックバージョンで(笑)。うーん、世の中がもうちょっと落ち着いてくれたらいいんですけどね。このご時世なので、ぜひ来てくださいとも言いにくいですし……皆さん無理せずで。ただ、今のところ配信も予定していないし、パッケージ化の予定もないので、観てもらえるとうれしいです。

堀江由衣

ほっちゃんのマイブーム

今は文具にハマってます。去年の年末に「文具女子博」というイベントがあったんですよ。いろんな文具が一堂に会していて、好きなだけ文房具を買える!みたいな。ノートとかスタンプとかシールとか……万年筆も流行ってますね。「インク沼」というイベントも開かれるくらいで。もちろん使うのは使うんですけど、もったいなくて使えない、という気持ちが働いちゃって「使う用」と「保存用」を買ったり。とにかく文房具を集めてますね。

ライブ情報

堀江由衣 LIVE TOUR 2022 文学少女倶楽部II~放課後リピート~

  • 2022年4月29日(金・祝)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
  • 2022年4月30日(土)大阪府 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
  • 2022年5月7日(土)東京都 立川ステージガーデン
  • 2022年5月8日(日)東京都 立川ステージガーデン

プロフィール

堀江由衣(ホリエユイ)

東京都出身の声優アーティスト。1997年に声優としてのキャリアをスタートさせたあと、1998年に歌手デビュー。「ほっちゃん」の愛称で親しまれ、永遠の少女然とした自身のキャラクターと重なるオリジナル音楽作品をコンスタントに発表している。2019年7月に通算10枚目となるオリジナルアルバム「文学少女の歌集」をリリース。2022年3月にはその続編となるアルバム「文学少女の歌集II -月とカエルと文学少女-」を発表した。このアルバムを携え、4月から5月にかけてライブツアー「堀江由衣 LIVE TOUR 2022 文学少女倶楽部II~放課後リピート~」を行う。