ほのかりん「LOVE ME TENDER」 PR

ほのかりん|傷心から生まれた10曲の愛の歌

昨年9月に配信シングル「メロンソーダ」でシンガーソングライターとしてデビューしたほのかりんが、1stアルバム「LOVE ME TENDER」をリリースした。アルバムタイトルは、これまでのシングル3曲を含む全10曲すべての歌詞に「愛」という言葉が含まれることから付けられたもの。彼女は今作の発売を告知した際に、リスナーと“愛の共有”をしたいとコメントしている(参照:ほのかりん、“好き”が詰まったメジャー1stアルバム「LOVE ME TENDER」)。

今年2月に続き、音楽ナタリーでは2度目のインタビューとなるほのかりん。今回は彼女の音楽がどう生まれてくるかに迫ってみた。

取材・文 / 高岡洋詞

「私、悲しい」より「僕、悲しい」のほうがよくないですか?

──1stアルバム完成おめでとうございます。このアルバムで歌った愛とはどんなものですか?

前回の菅野結以さんとのインタビューでも話したんですけど(参照:「Coming Next Artists」第23回 ほのかりん|インタビュアー:菅野結以)、私にとっては、傷つけられたり別れたあとに残った気持ちが愛なんです。誰かを好きになったときに、自分がちゃんとその人のことを好きか不安になっちゃうので、終わったあとのほうが確かめられる、みたいな。「好きだ」って言ってるときよりも、「好きだった」って言ってるときのほうが愛っぽい。目に見えない、不確かなものだから、アルバムとして目に見える形にしたんです。

──現在進行中の恋を歌ったのは「Envy」と「夏好きの君」くらいで、あとはほぼ終わった恋を振り返っている歌ですよね。

進行中の恋愛って掛け合いじゃないですか。投げかけないと返ってこないというか。それが好きじゃないんですよ。終わって自分の中でぐるぐるしてる感じがすっごい好き。前回、傷つけられたいって話をしましたけど、あの感情がめっちゃくちゃ好きで。3秒で泣けちゃう。傷つきたいわけじゃないんだけど、傷つけられたときに自分の感情の大きさがわかる感じが好き。

──「Envy」「夏好きの君」「ふわふわ」では一人称が“僕”になっていますよね。これは“私”の曲と同様にご自身のことなのか、それとも視点を置き換えているのか、どっちなんでしょうか?

基本的には弱いことを言うときに“僕”を使ってると思います。女である以上、強くいなきゃいけないって観念があって。「私、悲しい」って言うより「僕、悲しい」って言うほうがよくないですか? 「かなちいでちゅかー?」みたいな(笑)。“私”って言うと100%私なんですけど、“僕”って言うと私の中のどこかみたいな感じです。

──ちょっと自分自身からふわっと離れると言うか、“私”だと言いにくいことも言いやすくなるみたいな感じですね。

そうそう、それです。「夏好きの君」は男の子の立場で女の子に歌いかけてる曲なんですけど。

──「メロンソーダ」は平歌の部分で“私”が謝ってサビで“僕”が怒る、対話みたいな作りが面白いですね。

これは立場をくるっと入れ替えてるんです。普通に聴いたら“私”が悪いことをして“僕”が怒ってると思うじゃないですか。わざと女を悪者にした感じですね。男の子が怒ってるほうがきれいだって思うから、実際の私が怒ってることを正当化しようとしたのかな。

──実際には立場が逆かもしれないよ、と。先行配信された「夢裡」は?

これは基本的に寝言の歌なんです。だから「夢の中」にしてもよかったんですけど、“夢裡の人”っていう言葉を本で読んだときに、「すごいきれいな言葉だな」と思ったのを覚えていて、使ってみました。アルバムには終わってしまったことをあとから振り返る曲が多いけど、この曲だけはちょっと違うんです。終わった後の2人の関係というか、別れたのにまた普通に会ったときの話みたいな。職場恋愛をして別れた2人みたいな感じです(笑)。アルバムの特典でショートストーリー集みたいな小冊子をつけるんですけど、10曲にまつわる10個のサイドストーリーをがんばって書いたんですよ。その中の「夢裡」の話を読むとわかりやすいかもしれない。

──じゃあCDで買わないと。「Envy」は“嫉妬”という意味ですけど、あんまりJ-POPの歌詞では見かけない言葉ですよね。

人の名前として使ってます。私がずっと使ってた香水が「Envy」だったんですよ。曲を書いてるときは香水の名前を知らなかったんですけど。で、タイトルを「Envy」にするか「スロースターター」にするかで迷っていたときにそのことを知って、運命的なものを感じたんです。「Envy」の香水を使ってたときに初恋をして、ものすごい惨敗をしたことなんかも重なったのかもしれないな。

「LOVE ME TENDER」って知らなかったんです

──前回のインタビューで「たぶんエンパス(共感力が高い)体質」だとおっしゃっていましたよね。対話調の歌を書いたり、2人の関係を相手の視点からも見たりするのは、そのことと関係があるんでしょうか?

関係ないですね。私、自分に向けられたものじゃない感情を吸い取ってしまうんですよ。例えば誰かが私に怒ってきたら、それに傷つくのは普通じゃないですか。そういうのじゃなくて、誰かがほかの人に怒ってるのを見て傷ついちゃう。

──しんどそうですが、確かに対話調の歌詞は関係ないですね。視点を移動させるのは?

希望かもしれないですね。私がこう言ったときに相手がこう言ってくれたら、みたいな。でも女なら普通そうなんじゃないですかね。「私が好きって言ったら好きって言って!」みたいな感じで。

──「東京」は昔のフォークを思い出すような語りに近い歌詞の乗せ方だし、「愛」はボサノヴァ調だったりして、ちょっと昔っぽい味があります。

そういう曲が好きなんですよね。私、「愛」がアルバムの中で一番好きだもん。サビのメロディがとっても好き。あとダンボールの話(引っ越し荷物に“後悔”や“焦燥”を詰め込まないでね、と歌う)も気に入ってます。

──「LOVE ME TENDER」はエルヴィス・プレスリーの曲名でもあります。

知らなかったんですよ、それ。スタッフに「知ってる?」って言われて「知らない」って答えたら聴かせてくれて、そしたら聴いたことあった(笑)。昔ピアノで習った曲でした。知らなかったからこそ付けられたタイトルで、よかったなって思います。その言葉の大きさを知ってたらタイトルに付けなかったと思うんですよね。

ほのかりん「LOVE ME TENDER」
2018年5月9日発売 / フォーライフミュージックエンタテイメント
ほのかりん「LOVE ME TENDER」

[CD]
2400円 / FLCF-4513

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 愛別れ
  2. メロンソーダ
  3. ピローケース
  4. Envy
  5. 夢裡
  6. 夏好きの君
  7. メトロ
  8. ふわふわ
  9. 東京
ほのかりん
1996年10月4日生まれ。中学生の頃からモデルや女優として活動し、2013年にガールズバンド・コムシコムサにギタリストとして参加。このバンドは2016年に新人アーティストの登竜門的イベント「Coming Next 2016」に出演する。その後バンドを脱退し、ソロデビューに向けての準備を開始。2017年9月にソロデビュー曲「メロンソーダ」を配信リリース。2018年5月に初のフルアルバム「LOVE ME TENDER」を発表した。