メジャーデビューしたのは面白そうだったから

──渋谷界隈のアンダーグラウンドシーンで十分な人気と知名度がある状態で、HanaHさんは2009年にメジャーシーンに出ていくわけですが、そもそもメジャーデビューしたいと思っていたんでしょうか？

私はねえ、親がミュージシャンでしょ？ そのことで、子供のとき周りの子に「なんでお父さんお母さんはミュージシャンなのに『ミュージックステーション』に出ないの？」って言われたことがあって（笑）。

──あはははは（笑）。

「うちのお父さん、『題名のない音楽会』なら出てるよ。マリーンのバックで」って言ったんですよ。そしたら「わかんない」って。

──「題名のない音楽会」だって十分すごいですけどね（笑）。

それを幼心にすごく覚えてるんですよね。有名なテレビ番組に出たり、スポットライトの当たってるものだけが「音楽」じゃないんだぞ、とは子供ながらにずっと思ってたの。でも、私はあえてちゃんと前に出るっていうこと、人前で歌を歌うっていうこともしてみたいなと思っていて。これまでどおりマイペースにライブ活動をやっていても良いんだろうけど、せっかくメジャーデビューのお話が来たんだから、やってみたいなと思ったんです。単純に言うと、メジャーデビューしたのは面白そうだったからですね。人生において、安全牌を選ぶより、ちょっと失敗してもいいから面白いほうを選びたいって決めてるんです。

──その選択は今のところ間違っていない？

そう思います。メジャーに来て、音楽って面白いなとどんどん思うようになった。もしそうじゃない道を選んでたら、こんなにたくさんの人と出会ったり、楽しい瞬間を共にしたりはできなかっただろうし、もっと単調な毎日になっていたかもしれないから。

死ぬ間際まで歌っていたい

──最後に、HanaHさんの今の心境を訊かせていただけますか。

石の上にも3年って言うけど、これまで本当にいろいろなことがあって、今はとても楽しいです。私の持ち味をわかってくれてる、すごく信頼できる人たちと良い人間関係が築けているし。

──今後もメジャーでのリリース活動と、昔からのライブ活動を並行して続けていく？

はい。特に告知はしないけど、友達の店でときどき弾き語りをしたり、チャリティライブをやったり、そういうのはマイペースに自主的にやっていきたいです。

──将来的にHanaHというアーティストはどうなっていくのでしょう？

私は死ぬ間際まで歌っていたいな。それができるように歩いていきたい。これからも刺激を求めていろんな人と演奏したいし、いろんな場所に行きたい。自分を何かの枠にはめることはしたくないですね。例えば自分に“アコースティックソウルシンガー”みたいな肩書きを付けたりもしたくないし、日本だけで活動すると決めるのも嫌です。音楽ってもっと懐の深いものだよなっていうことが、メジャーデビューして本当によくわかったことだから。ジャンルも国境もなく活躍していきたいです。