ナタリー PowerPush - GOATBED
80'sエレクトロの本命が再始動!? “ほぼ”ニューアルバム「V/A」リリース
気持ち的にはニューアルバム
——このアルバム「V/A(Vanishing Alive)」は未発表音源集ですが、GOATBEDの活動においてどういう位置付けの作品になるんでしょうか?
うーん、自分の中でも今回のアルバムがどういうものなのかっていうところは若干疑問もあるんですが(笑)。でも気持ち的にはニューアルバムということでいいと思います。
——アルバムタイトルは“消えゆく活動”といった意味になるんでしょうか。自分の活動を皮肉っているようにも聞こえますが?
それもありますね。「やってるんだけどやってない」「やってるんだかやってないんだかわからない」っていう。でも自分の気持ちとしては前向きなんですよ。
——じゃあ今後もGOATBEDの活動は続くと……。
いやあ、よくあるパターンなんですけど、これを出したことによって自分の中で踏ん切りがついちゃって、音源は出すけど二度とライブはやらないとかっていう可能性も(笑)、かなり高いかもしれない。
——前向きなのか後ろ向きなのかわからないですね。
だってメンバーみんな辞めちゃって俺1人ですから。ライブやっても寂しいじゃないですか。もう、どうすればいいですかね?
——でも新しい可能性が出てくるかもしれませんよ。パソコンを使って1人でライブをやることもできるでしょうし。
1人きりっていうのはちょっとないですね。ミキサーのツマミいじってるだけじゃつまらないですから。
——やっぱり生のバンドサウンドでやっていきたい?
うん、自分にとってバンドがいちばんいい表現方法なのかなって思うんです。その場で演奏して直接伝えられるし、嘘はつけないし。それに1人ではなく、ギター、ベース、ドラム、ボーカルっていうメンバーがいることで、バンドは視覚的にもかっこよく見える。バンド形態でライブをするっていうのは俺にとっては大事な部分なんです。
——じゃあメンバーを募集してもう一度バンドスタイルで再始動という可能性は?
まあ、今んとこはないですね。とりあえずはこのままの形でいこうと思ってます。
アーティスト写真だけをどんどん更新
——では現時点で次回作の予定はあるんでしょうか?
しばらくしたらまた音源を出そうとは思っています。今後はもっと健全な形で、締め切りに追われるのではなくて、自分が納得するいい曲ができてそれがたまったらアルバムを出す、という形でやっていきたいんです。専業ミュージシャンじゃないからこそ、そういうこともできるんじゃないかと思うし。
——楽しみにしています。
でも、あるとしてもまだ先ですよ。なのでいろいろ動き出すまでは、ホームページでアーティスト写真だけをどんどん更新するっていうことを活動の中心にしていこうと思ってます(笑)。
——あはは(笑)、今後はどんな楽曲を作っていくんですか?
まあ、音楽的には行き当たりばったりな部分があるのでなんとも言えないですね。だけど「ずっとこのままでいきたい」っていう気持ちはあります。今は低予算の中、打ち込みで苦労しながら作ってますけど、だからといってレコード会社がお金を出してくれても、ガラッと作風が変わるわけでもないし。できるものは同じですから、自分としてはこのままのクオリティを保っていたいんです。クオリティを上げればいいってわけじゃなくて、ちょうどいいクオリティのものを作りたいというか。聴いてきちんと楽しめるレベルで、ものすごくよくもないけどそんなに悪くもない、ほどよい感じがいいんです。天の邪鬼かもしれないけど、そういうものが好きなんですよね。
——制作活動は休止していないわけですし、今後もコンスタントに作品をリリースしてもらえると嬉しいですね。
やる気はそれなりにあるんです。でもそんなに期待しないほうがいいですよ(笑)。GOATBEDの存在をみんなが忘れた頃に何かリリースするくらいがちょうどいいんじゃないですかね。次のアルバムを待てるんだったら待っててほしいけど、でも「GOATBEDなんてもういいや」って思ったら、待たずにほっぽり出していただいてかまいません。そういう密着しすぎてないリスナーとの関係のほうが俺には合ってると思うし、そのほうが俺的にものびのび活動できるんですよね(笑)。
CD収録曲
- JAKE
- YOUNG VANING
- DECORATIBO
- YOUR GRANDPA IS THE MOST ABNORMAL
- BUDDY BEAT
- BY PHERO MONDE
- VOGUE MAN
- GOODLUCK DELETE
GOATBED(ごーとべっど)
奇才・石井秀仁のパーソナルユニット。2003年6月に活動を開始。
2004年にアルバム「テクニコントラストロン01」「テクニコントラストロン02」を2カ月連続でリリース。ニューウェイブとエレクトロポップを独特の感性で再構築したサウンドで多くのリスナーを惹きつける。
その後は完全限定シングル「モニカ」(現在完売)、アルバム「ワーキングウォークマン」「GOATBED」など精力的なリリースを続けるも、2008年5月新宿LOFTのライブ「GOODLUCK DELETE」を最後に活動中止。2009年は休止中にもかかわらず、未発表音源を含む8曲を再レコーディングし、3月にアルバム「V/A」として発表。