GLAY「G4・V-Democracy 2019-」特集|鬼龍院翔はどう聴いた?“GLAYみ”凝縮のシングル解説

なぜ25年目の今、TERUさんの作曲能力が爆発するんだ!

──2曲目の「はじまりのうた」はどう聴かれましたか?

TERUさん作詞作曲の曲はあまり数はないと思うんですが、どれも“GLAYみ”を感じずにいられないんです。これは語弊があるかもしれないんですけど、TERUさんが書いた曲もTAKUROさんの曲っぽさを感じるというか。「はじまりのうた」もクレジットを見ないで聴いたらTAKUROさんの曲だと思ってしまったかもしれません。

──長年TAKUROさんの作られた曲を歌ってきたことで、TERUさんの体に“GLAYらしい曲”が染み込んでいるんでしょうか。

そうかもしれないですね。本当にメンバー皆さんの仲がいいので、アレンジ面で意見を出し合っているんでしょうね。だから作詞作曲が違うメンバーでも、“GLAYみ”をもって完成されるんじゃないかな。ファンの勝手な想像ですけどTERUさんが作詞作曲を手がけているからといって、TERUさんがすべてのアレンジを作るようなことはしないと思うんです。4人でじっくり話し合いながら作ってるんじゃないかと。それによってどのメンバーが作ってもGLAYらしい曲になる……という妄想です(笑)。

鬼龍院翔

──GLAYは「DEMOCRACY」を標榜していますから、鬼龍院さんの妄想ではないかもしれません。TERUさんの歌についてはいかがですか?

思春期のときは悩みごとが多いじゃないですか。そういうときに聴くTERUさんの歌声は、悩みを抱えてるようにも聞こえるし、寄り添ってくれるようでもあるし、聴いていて勇気付けられるんです。そういった雰囲気が「はじまりのうた」の歌声にもありますね。歌詞にも青春の匂いがあるし、思春期の人に向けて贈りたくなるような曲です。

──青春感のある「はじまりのうた」から一転して、3曲目に収録されている「COLORS」は父と子の関係性を描いた曲です。

正直、今回のシングルの中で一番メロディがいい曲だと感じました。最初は「なんでこんなにいいメロディをTAKUROさんは作れるんだろう」と痺れながらこの曲を聴いていたんです。でも、クレジットを確認したらTERUさんが作曲してて。「なぜ25年目の今、TERUさんの作曲能力がうなぎのぼりに爆発するんだ!」という驚きがありました。それと「COLORS」は歌詞のハメ方も絶妙なんです。たくさん曲を作ってきた人じゃないと作れないような歌詞だと思うんです。とにかくTERUさん作曲能力の上がり方は恐ろしい(笑)。でも、技術的なことを抜きにしても素直にいい曲! 歌詞の内容もいいし。僕はまだ家族を持っていないから「いい曲だな」くらいで済んでますけど、自分が父親になって聴いたら泣くだろうなあ。僕は自分が家族を持ったら平和な曲しか書けないかもしれないという気がしていたんですけど、こんなふうに家族のことを素敵に表現できるんだと思って。僕も10年後にそうなりたいと思わせてくれた曲です。

鬼龍院翔

GLAYの存在は自動車

──そう言えば、先日、ブログでGLAYのライブについて書かれていましたね(参照:ゴールデンボンバー 鬼龍院翔オフィシャルブログ「キリショー☆ブログ」Powered by Ameba)。

GLAYさんのライブに行くと、愛と夢しかないんです。ファンの方が幸せそうなんですよね。家族とでも彼氏彼女とでも応援できる、一緒にライブに行けるようなバンドというのはなかなかいない。ウチのライブは尻を出して、食べ物を汚く食い散らかすだけですから(笑)。

──そうしたアイデアは鬼龍院さんが中心になって考えられているのだとお聞きしましたが。

はい。最初にメンバーにけしかけたのは僕です(笑)。そう言えば、4月にGLAYさんと対バンさせていただいたときに、TAKUROさんがどういった意味なのかわからないですけど「勉強になりました」と言ってくださったんです! 「こんな人たちもいるんだ」くらいな、別ジャンルを知れたという感想だと僕は信じてるんですけど……決して僕たちみたいなエキスは入れないでほしいです。

──(笑)。GLAYのライブを観て発見したことはありますか?

6年前に初めてライブを観に行かせていただいたんですが、金テープが飛んだあと、誰もいないところに落ちた金テープを警備員の方が集めてお客さんに渡してたんです。それを見たときにマネージャーに「すごいシステムですね」と言ったら、それはメンバー発信だと教えてもらって目から鱗が落ちたというか。それまで僕はそういうことはメンバーではどうにもできないところだからとあきらめてたんです。警備員さんに専門外のことをやってもらうのはどうなのかと。でも、やるとお客さんが喜んでくれるんですよね。それに限らず、GLAYさんは僕がなんとなく思ってたことをしっかり形にしてるし、行動が早いし、音楽以外の面でも本当に勉強になるんです。何度も繰り返してしまうんですが、GLAYさんのファンは幸せそうなんですよ。そういう姿を見て、僕らも「ゴールデンボンバーのファンは幸せそうだな」と思ってもらえる環境を作りたいなと思うようになって。僕がファンに対してやってることは、GLAYさんから学んだことなんです。

──GLAYとゴールデンボンバーの共通点を挙げるとしたら何がありますか?

基本はロック寄りのアンサンブルなんだけど、ポップスとしてメロディが際立った曲が多いと自負しております。それとコード進行かな。ドラマチックにメロディを聴かせるコード進行がGLAYさんの曲には多いんですけど、僕もそれを真似して曲を作ってます。例えば「誘惑」は短3度転調を使ってるんですけど、それを僕は「酔わせてモヒート」という曲で取り入れさせてもらいました。もちろんGLAYさんには追いつけないんですけど、追いつけるように自分なりにいい曲を作ろうとがんばってます。

──いろんな点で影響を受けているんですね。

鬼龍院翔

昔、GLAYさんがYOSHIKIさんにスカウトされたときに「どんなものを目指してるのか」と聞かれて確か「世界一美しいメロディを作りたいです」と答えたらしいんです。そのときにYOSHIKIさんが「Xも同じだ」と答えたらしくて。僕もまさにそうなんです。美しいメロディに感動して、それに取り憑かれて音楽を作るようになったので。

──鬼龍院さんにとってGLAYの存在とはどんなものですか?

うーん、あえて例えるなら……自動車くらい身近な存在ですね。なくても死にはしないけど、生活していくうえで絶対あってほしい、そんな存在です。GLAYさんって嫌われないじゃないですか。でも、ちゃんと毒があるんです。「JUST FINE」なんて“いい子”じゃないですからね。毒の部分も含めて受け入れられている。僕もそうありたいです。

──GLAYは今年デビュー25周年、結成30周年なのですが、なんでこんなにも長く活動が続いていると思いますか?

メンバーの皆さんがひたすら真面目だからだと思います。ツアー先でもホテルの1室に集まって曲作りをしてるというエピソードを聞いたんです。なんでそんなことをして嫌になって爆発するメンバーがいないのか不思議で。そんなに真面目にやってたら続かないよというレベルなんです。もはや普通の人たちの感覚じゃないと思います。それに仲がよすぎるし、優しすぎる。作る曲の毒と平和さのバランスのよさも計算ではなくて素なのだと思いますし、1周回って変わった人たちだと思うんです。本当にすごいバンドですよね。あと、音楽に対していつもまっすぐだから、安心してファンでいられるところも素晴らしいですよね。例えば26周年を迎えても、絶対にこの人たちは真面目に音楽をやってくれるという安心感がある。音楽に対する情熱が衰えていないんです。

──今後のGLAYに期待することは?

25年もやってると、誰かの青春に寄り添ってると思うんです。

──ええ。

“懐古厨”と言われてしまうかもしれないんですけど、思春期に聴いていた曲を今でもライブでやってくれる存在って大事なんですよね。昔の曲をやってほしいとリクエストされることは、本人にとってはイヤなところもあると思うんです。でもGLAYさんはファンの青春に寄り添って、昔の曲もライブでやってくれる。僕らもそういう存在でありたい思うんです。だからこれからのGLAYさんに求めることは、歌い続けてほしいということですね。

──最後にGLAYの皆さんにメッセージをお願いします。

ファンであると共に、いつも見習わせてもらってます。ゴールデンボンバーも25周年になるときは、4曲入りでメンバーそれぞれが作詞作曲したシングルを出せたらいいな思ってます。25周年おめでとうございます。