ナタリー PowerPush - 福原美穂

挑戦、努力、前進の1年半 究極のソウルがここに

才能に努力が重なったらすごいことになる

──素朴な質問ですが、歌において練習って大切なんですか?

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今はそう思います。何かを磨くときに、練習したり、やり続けたりするのってやっぱりすごく大事だと思うけど、今まで私はそんなに意識してこなかったのでダメだったなって。

──そうなんですね。歌手は才能ありきの職業というイメージも少しあったので。

そこに努力が重なったらすごいことになりますよね。今回コラボレーションしたアーティストも、才能と努力を兼ね備えている人たちだと思います。私自身もそんなふうになりたいなって思い描きながら練習していて。練習はダイエットとか筋トレと同じで、やればやるだけ結果が出てくるっていうのが面白いですね。

──そして努力の成果あって、自分なりに壁を越えることができたんですね。

はい。レコーディングしていても「あ、変わったな」って思えるんです。「The Best of Soul Extreme」初回限定盤にはメジャーデビュー前のカバー曲も入ってるんですけど、今聴くと歌い方全然違うなって。きっとこれからもっと変わっていくんだろうなと思いますし、すごい楽しみですね。

その人が心動かされたものがソウル

──ところで福原さんは、ソウルミュージックをどう定義されていますか?

本来はアメリカで生まれたものだと思うんですけど、私はロックも演歌も民謡も、サウンドや使う道具が違うだけで全部ソウルなんじゃないかと思うんです。時代とかも関係なく。つまり、その人が心動かされたものがソウルミュージックだなと。魂を込めて何かを表現したらもうそれはソウルミュージックなんです。もっと言えば音楽だけじゃなく、絵を描く人にも、書道家の人にも、ダンスする人にも通じると思います。

──それを踏まえた上で「The Soul Extreme」=究極のソウルと冠した作品を出すことにプレッシャーは感じませんでした?

ソウルという言葉を入れることに不安はなかったですね。むしろすごくわかりやすい言葉で、これだけで何を歌っているかわかるだろうから、福原美穂とソウルミュージックっていうものがちゃんとコネクトして伝わればいいなあってシンプルに思っていました。

──なるほど。では、自分はソウルな歌声を持っているという自負はありますか?

ソウルな歌声……。どう思われます?

──日本屈指のソウルフルなシンガーだと思います。

自分の中では、ソウルシンガーという意識はあんまりないかなあ。さっきの話と同じように、その人が直球で投げてきたものがソウルだなと思うので、私にとってはミック・ジャガーもソウルシンガーですもん(笑)。ただ、私自身いつも直球を心がけて歌ってますし、1回1回歌い終えたら死ぬつもりでやっているので、そう言われることはものすごくうれしいです。

「私は道具いらないんだから」

──先程「どう思われます?」と訊かれましたが、本当は私、福原さんってジャンルを超越して歌そのものに賭ける本気度がとてもすごいと思っていて。

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あはは(笑)。違うんですよ。歌しかできなかったんですね、今まで本当に。もしいろんなことが器用にできていたら、今ここにいないだろうなって思います。

──そのせいなのか、あちこちに足を突っ込むことはせず、歌のみを極めるというストイックな姿勢が伝わってくるというか。

本当ですか。ありがとうございます。確かに、歌って私だけそこにいればできるじゃないですか。それが歌のすごく強いところだなって思いますし、楽器やってる人に「私は道具いらないんだから」っていつも自慢するんですよね(笑)。

──デビュー以降、自分の歌がたくさんの人に届いているという手応えは感じますか?

はい。個人的な思いで作った曲こそ、みんなの心に刺さったり、ひとり歩きしていったりするので、音楽って本当に不思議だなあと思います。それから、聴いてくれる人がいるのは、私が音楽を続ける理由にもなってるのかなと思うんです。その人たちだけは幸せにしたいなって思うことが、次に新しいものを作る原動力になるので。

──好循環ですねえ。

本当は「この仕事、合ってるのかな」とか「このまま歌い続けるのは私にとって良いことなのかな」と何度も思うんですけど、そんな気持ちもずーっとありながら、でもやっぱりやめられない自分がいます。きっとそういう迷ってる気持ちより、音楽が好きだっていう思いのほうがいつも勝ってるからでしょうね。リスナーとしても音楽が本当に好きで、音楽を聴いてるときが一番幸せだなって思いますから。

──では最後に、このアルバムで「The Soul Extreme」シリーズにいったん区切りを付けて、福原美穂は今後どうなっていくんでしょうか。

私、目先のことしか考えられない人なんで全然わからないです(笑)。きっと1つ上のハードルを越えて、そしてまた1つ上って、その繰り返しなんだろうな。今、挑戦したり、そこで学んだり、毎日クリアしなきゃならない課題があるのがすごい面白いんですよね。同時に、すごく幸せだなって思います。

ニューアルバム「The Best of Soul Extreme」2012年6月13日発売 Sony Music Records

  • 初回限定盤[2CD+DVD] 4600円(税込)SRCL-8021~3 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] 3059円(税込)SRCL-8024 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. O2 featuring AI
  2. Get Up! feat. AKIKO WADA
  3. Open Eyes
  4. Dream On feat. 三浦大知
  5. STARLIGHT
  6. Regrets of Love
  7. DON'T TAKE IT AWAY
  8. Kiss! Kiss! Kiss! feat. Chara
  9. Cinnamon Dreams
  10. You
  11. Save Me feat. レオナ・ルイス
  12. Black Star
  13. You Are My Reason feat. AI
初回限定盤 DISC2収録曲
  1. SIR DUKE
  2. ENGLISHMAN IN NEWYORK
  3. Natural Woman
  4. I Wish I Was A Punk Rocker(With Flowers In My Hair)
  5. BEN
  6. Virtual Insanity
  7. One Day
  8. 恋人たちのクリスマス Live ver.(from「Live in Music Vol.3」2011年)
初回限定盤 DVD収録内容
  1. O2 feat.AI
  2. Get up! feat. AKIKO WADA
  3. Dream On feat. 三浦大知
  4. STARLIGHT
  5. Regrets of Love
  6. THANK YOU
  7. Appologies feat. sleepy.ab
福原美穂(ふくはらみほ)

1987年生まれ、北海道出身の女性シンガー。15歳のとき、地元のテレビ番組に出演したことがきっかけで北海道限定ミニアルバムを2作発表し、1万枚を超えるヒットを記録。2008年2月には、日本人として初めてLAの黒人教会にてパフォーマンスを披露。「奇跡の子」と称され、黒人教会220年の歴史を変えたと賞賛を受ける。同年4月にはシングル「CHANGE」でメジャーデビュー。その後数々のシングル、アルバムを発表し、2011年5月に初のミニアルバム「The Soul Extreme EP」、10月に第2弾「The Soul Extreme EP 2」をリリース。2012年6月には「The Soul Extreme」シリーズの集大成となるアルバム「The Best of Soul Extreme」を発表した。