音楽ナタリー Power Push - Equal

RYOTA×164 過去との決別と2人の野望

片足突っ込んだような活動はできない

──ニコニコ動画とは今後どう付き合っていくんですか?

RYOTA たぶんニコニコ動画にEqual関連のものをアップロードすることはないと思う。

164 「SCAPE」のミュージックビデオもYouTubeだけやし。

RYOTA

RYOTA 「名前を変えてユニットでやっていきます」って言っても、ここから数年は「元歌い手」というイメージが付いてくると思っているんです。「あんだけ大きいこと言って飛び立ったのに、また戻って来たんだ」みたいに絶対思われたくないから、片足を突っ込んだような中途半端な活動はできない。もちろんお世話になったシーンで感謝してるからこそ、Equalが活躍することでこれからニコニコ動画というシーンに触れる人に「いいところなんだ」「アツいヤツらもいるんだ」って思ってもらいたいですね。

──164さんはどうですか? ボカロPとしての顔も持ってるわけですから、これから先のニコニコ動画との付き合い方は少し複雑ですよね。

164 今、僕の活動の中で一番大事なのがEqualなんです。で、ファンの方には「ボカロ曲の公開はやめないよ」って言ったんですけど、もしかしたらもう公開しないかもしれないなあ。

RYOTA (動画を)上げりゃあいいじゃん。

レーベルスタッフ 上げてよ。

164 やっぱり上げようと思います(笑)。

RYOTA 俺は大将が新しい動画を上げられないぐらいEqualを忙しくしなきゃいけないなって思ってます。

164 今のところ動画のほうに手が回ってないんですよね。Equalでの作業はもちろん、曲の依頼とかもあって……。わざわざ「もう動画を上げません」って宣言したりはしないけど、次にボカロ曲を公開するときはもっと気持ちに余裕ができたときというか。

一番信用できるボーカリスト

──デビューシングル「SCAPE」の収録曲は、すべてクレジットが「作詞・作曲:Equal」となっています。今回はお2人が共同で曲作りに取り組んだんですか?

RYOTA 俺、もっとちゃんとやらなきゃって超思ってます(笑)。今回は大将に頼りっきりだったので。今回俺は作詞を一部担当したくらいでした。

──164さんはこれまで“りょーくん”へ何度も楽曲を提供してきましたが、これまでとEqualとで曲を書くときに意識的に変えたことってありますか?

164

164 いや、基本的には前と同じですね。以前からRYOTAのボーカルを僕はずっと信頼しているので。例えば僕がじゃがいも、にんじん、玉ねぎを鍋に入れて「カレーを作って」って言って渡しても、シチューを作っちゃうような、歌を聴いて「なんでこうなっちゃうんだろう」と思うボーカリストって、世の中にいっぱいいると思うんです。RYOTAはカレーの材料を渡したら、ちゃんと洋食屋さんで作るような本格的なビーフカレーを返してくれる、そういうボーカリストなので。だから基本的なスタンスは変わってないですね。

RYOTA 材料を用意してもらったら、120%の力で返さないと書いてくれた人に失礼だと思うから。

164 なので今回も安心して材料を渡しただけですね。

RYOTA 今までと同じスタンスではあるんですけど、曲の中で課題を与えられてるなっていうのは常に感じていて。どの曲にも壁が用意されてて、それを1つずつ乗り越えてきたレコーディングだった気がします。

164 例えばこの「I'm here」なんですけど、“りょーくん”だったら適正キーが半音下だったよね?

RYOTA うん。

164 なので僕が半音上で作ったんです。この曲を録ってるとき、途中でRYOTAがいきなり絶好調になって。

RYOTA まさに壁を乗り越えた瞬間があったんです。レコーディングの中で進化するという経験をしたことがなかったから、自分でも驚いて。俺って案外用意周到なところがあるから、ちゃんと自分が成長してから現場に向かうことが多いんですよ。だからこれまではリハの段階で自分の進化なり成長なりに気付くことがよくあったんですけど、今はその進化の瞬間が現場にあるんです。それがすごく新鮮で気持ちいいですね。

164 以前からレコーディングのディレクションは僕がやってるんですけど、録ってるときの感じはちょっと変わったかな。

RYOTA けっこう俺が丸投げするようになりました(笑)。テイクを選ぶのとか、今まではお互いにいいと思ったものを話し合って決めていたんですけど、お互いの感性はもうわかっているから。まるっと任せたりもしています。

左からRYOTA、164。

164 基本的に僕は、ほかの声優さんやアーティストさんのディレクションのときは敷いたレールに乗せて歌ってもらおうっていうタイプなんです。でも、RYOTAのときだけは違って。以前からそうなんですけど、例えば彼が何か変えたり足したりしてもそれが正解だと思えるから。

RYOTA うれしいですね。

164 歌わない僕が評論っぽいことを言うのもおこがましいんですけど、ボーカリストって理論派と感覚派がいると思うんです。でもRYOTAは両方持ってる。理論的なものを把握した上で、感覚に任せて歌えるボーカリストだと思っているので、一番信頼できるんですよね。

RYOTA 取材のときにちゃんとほめてくれるから、そのたびに体がかゆくなってます(笑)。

ニューシングル「SCAPE」2015年8月5日発売 / EXIT TUNES
限定盤 [CD+DVD] 1728円 / QWCE-00475
通常盤 [CD] 1296円 / QWCE-00483
CD収録曲
  1. SCAPE
  2. mask
  3. Introduction(限定盤のみ)
  1. I'm here(通常盤のみ)
限定盤DVD収録内容
  1. SCAPE
  2. Documentary of SCAPE
  3. Documentary of Equal
ライブ情報
Equal「デビュー記念 Free Live "SCAPE" at STUDIO COAST」
  • 2015年8月8日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
    OPEN 15:00 / START 16:00
Equal「Equal LIVE TOUR 2015 -Introduction-」
  • 2015年11月4日(水)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
    <出演者>
    Equal / and more
  • 2015年11月5日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
    <出演者>
    Equal / and more
  • 2015年11月15日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
    <出演者>
    Equal / and more
Equal(イコール)
Equal

ボーカリスト・RYOTAと、VOCALOIDプロデューサーとしても名高いギタリスト・164の2人からなるユニット。RYOTAがりょーくん名義で2015年4月に開催したライブツアー「LAST LIVE TOUR 2015 -Re:set-」の東京公演にて、Equalの結成を発表した。8月にデビューシングル「SCAPE」をリリースし、東京・新木場STUDIO COASTにてフリーライブを実施。また11月には東名阪を回る対バンライブツアー「Equal LIVE TOUR 2015 -Introduction-」を開催する。