EGO-WRAPPIN'「サイコアナルシス / The Hunter」発売記念対談 森雅樹(EGO-WRAPPIN')×オダギリジョー 唯一無比の表現に宿る“外しの美学”

EGO-WRAPPIN'が9月22日に7inchアナログ「サイコアナルシス / The Hunter」をリリースした。

収録曲の「サイコアナルシス」と「The Hunter」はそれぞれ、オダギリジョーが脚本と演出を担当するNHK連続ドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」のオープニングテーマ / エンディングテーマとして使用されており、特に新曲「The Hunter」は、オダギリの熱烈なオファーによって書き下ろされたという。

音楽ナタリーでは本作の発売に合わせてEGO-WRAPPIN'の森雅樹(G)とオダギリの対談を実施。かねてから交流があるという2人に、新曲の制作秘話や影響を受けたアーティスト、表現活動に向き合う姿勢などについて語り合ってもらった。

取材・文 / 望月哲撮影 / 相澤心也

台本執筆の段階で曲のイメージが固まっていた

──EGO-WRAPPIN'の新曲「The Hunter」は、オダギリさんが脚本と演出を担当するNHK連続ドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」のエンディングテーマとして使用されています。今回はオダギリさんたっての希望でEGO-WRAPPIN'が楽曲を書き下ろすことになったそうですね。

オダギリジョー 森雅樹(EGO-WRAPPIN')

オダギリジョー 脚本を書いているときから、エゴさんにテーマ曲をお願いしたいなと思っていたんです。その時点で、すでに「オープニングテーマはEGO-WRAPPIN'のテンポの速い曲」と脚本に書いてしまったぐらいで。早い段階で自分の中ではイメージが固まっていました。……そういえば僕、森さんに直接メールでお願いしたんでしたっけ?

森雅樹 いや、ちゃんとした流れでお話をいただきました(笑)。

オダギリ きちんとプロデューサーを通して話が行っていたんですね。よかった(笑)。

──直接オファーするぐらいの勢いだったわけですね(笑)。

オダギリ はい。昔からエゴさんの曲は好きでしたし、すごく映像に合うサウンドだという印象があって。なので、いつか自分が映像作品を作ることになったら、曲を付けてほしいなと思っていたんです。今回やっとそれがいい形で実現できそうだなと思ったのでオファーさせていただきました。

 とても光栄に思いました。オダギリさんが主演したドラマ(2014年放送のテレビ東京系ドラマ「リバースエッジ 大川端探偵社」)のオープニングとエンディングテーマを担当させてもらったり、タワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE.」の撮影でご一緒したり。ライブにもご家族で来てくれてますし。そういえば僕らが年末にやってる東京キネマ倶楽部のライブにオープニングDJで出演してくれたこともありましたね。

オダギリ お声をかけていただいて。あれも楽しかったですね。

 そんな感じでオダギリさんには勝手に親近感を持っていました。テレビをつけて、オダギリさんが出てたら、やっぱりチャンネルを変えずにそのまま観ちゃいますから(笑)。

オダギリ ありがとうございます(笑)。

 でも、表現とかモノ作りに関しては、すごく鋭い目を持っているイメージがあるから、そういう方に誘っていただいたというのはやっぱり光栄ですよね。やりがいがありますし、プロフェッショナルなスタッフのもと、とてもいい経験をさせてもらいました。

渋さの中にある駄菓子っぽいテイスト

──曲作りはどんな感じで進めていったんですか?

 オダギリさんにイメージがあるか先に尋ねたらエゴの楽曲を数曲挙げてくれました。中でも「サイコアナルシス」が震えると。最初からテンションある感じというか、キラーな感じというか。そんなに考え込まずにストレートに挑もうと思いました。

──歌詞に関しては、中納(良恵 / Vo)さんとどんなやりとりを?

 普段は歌詞について僕からは何も言わないんですけど、今回は警察犬が出てくるドラマだということを最初に伝えて、台本を渡しました。あとはいつも通り、よっちゃんのイメージに任せて歌詞の世界をふくらませてもらって。

──できあがった曲を聴いてオダギリさんはどんな印象を持ちましたか?

オダギリ すごくカッコいい曲だなと思いました。あと楽曲制作の途中で、犬の鳴き声や拳銃の音の素材が欲しいという連絡が森さんから制作サイドに入って、何か面白いことをしてくれそうだなという期待があったんです(笑)。それで実際に上がってきた曲を聴かせていただいたら、いろんな効果音が楽曲の随所でいい感じに使われていて。渋さの中に駄菓子っぽいテイストが入っているというか(笑)。不思議なバランス感ですごく面白かったです。

 異国の地の荒野を颯爽と走る犬、孤独にたくましく生きる様をイメージして、あとキラースカにみられるガンショットとか。あの雰囲気も曲に入れたかったんですよね。オダギリさんは駄菓子っぽいって言ってくれたけど、ホンマそうなんですよ。ちびっこカウボーイ感というか、あえてオモチャっぽい感じの音を選びましたし。

左からオダギリジョー、森雅樹(EGO-WRAPPIN')。

──「The Hunter」のサウンドには、ジャマイカンミュージックとも相通じる、ルーディな雰囲気がありますよね。

 哀愁感が共通かもです。ルーディな雰囲気、オダギリさん似合いますもんね。それにオダギリさん特有のハードボイルドなところと、ちょっとトボけたところが入り混じってる感じで。カッコよすぎてもカッコ悪いやん、みたいな。

オダギリ 初めて聴いたとき、本当に絶妙なバランス感だなと思いました。