ecosystemをやってる間に心の壁が取っ払われた

──他人との距離の取り方が近いというか、いきなり踏み込んでしまうようなところは昔からあります？

壺坂　ありますねえ。付き合わんでいいから1回ヤらしてくれ！っていうタイプなんで（笑）。

──さっき、マイブラがすごく好きだという話を聞きましたけど、シューゲイザーが好きな人って、心に壁を作るタイプの人も多いですよね。そういう感じではないと。

壺坂　なんか、ecosystemをやってる間にその壁が取っ払われた感じですね。元々は根暗やなって思うことも多かったけど、いろいろなことがあって「明日死ぬかもしれへんやったら、今美味しいもの食べよう」みたいな性格になってきました。

──じゃあ、自分の中には二面性がある、と。

壺坂　ありますね。めっちゃあります。二重人格やなあって、お母さんにも言われてきた。自分としては情に厚いと思ってるんですけど、興味ないものには完全に冷たくて。興味を持つものに関しては全部知りたい。そういう性格です。

──この曲にも、壺坂さんの人をどんどん巻き込んでいくような性格がよく表れていると思うんですけれども。

壺坂　それ、最近よく言われます。でも、友達は多いほうだと思うんですけれど、それも興味を持つ人にガッツリ行くだけなんですよ。人を巻き込むというより、私がその人の全てを知りたい。夜、寝る前に何をするのかとか、どういうふうに育ってきたのか、とか。そういう話をしていると自ずと仲良くなってしまうんですよね。

曲を聴けばウチの人間性はまるわかり

──この曲は、ビデオクリップでも「したい」という言葉をひたすら半紙に書いてますね。できあがった映像を見たときの感触は？

壺坂　「やった！」って感じですね。さっきも言いましたけど、「したい」という言葉に恥ずかしさが全然ないんですよ。「ずっと好きやったんです……」ってモジモジ言われるより「したいねん！」って言われたほうが気持ちいいでしょ？（笑） そういうポップさがあると思う。だから、「おっしゃー！」って感じですね（笑）。

──こういうことをできるバンドはなかなかいないですからね。

壺坂　そうなんです。ちょっとはいるけど、なかなかいない（笑）。ウチらは、やっていい部分が広くて、こういうのさえもポップに見せられるところが武器やと思ってます。実際「月夜のnet」でいきなり中身を見せてしまったような感じはありますね。今から出てくるものを聴いてもらえると、ウチの人間性はまるわかりだと思います。

──いない間に壺坂さんの人間性はいろいろ聞きましたよ。

壺坂　なんて言うてました？

──「大阪のおばちゃん」って（笑）。

壺坂　うわー、どつき回したんねん（笑）。

──あともう一つ、ステージと普段の態度がかなり違うと聞きましたけれど。そこについてはどう思います？ 分かれてる感じ？

壺坂　そうでもないです。つながってますね。「俺的にはOKだけど矢沢がどう言うかな？」みたいなところはないです（笑）。でも、強いて言うたら、ステージに立ってる間は、お客さんが期待している以上に強いものを発しなければと思ってます。それくらいですね。

国民的なバンドになりたい

──ecosystemを結成してから、最初は内向きだった音楽性がメジャーを目指すようになって変わったという話も聞きましたけれど。それはどういうタイミングだったんでしょう？

壺坂　私、18歳くらいからスカバンドをやってたんですよ。パートはトランペットやったんですけど。で、そのバンドを辞める1年前くらいに始めたのがecosystemなんです。最初はコピーも交えて軽いノリでライブをやってたんですけど、元々あったバンドのほうのメジャーデビューが決まって。音楽性も自分のやりたいことと正反対やったし、そこに金魚のフンみたいについていってもしょうがないと思ったんです。そこから、今やってるecosystemを本気でやろうと決めたんですね。いろいろ難しいこともあったけど、ちゃんと道は進んでるなと思います。

──この先、ecosystemではどういう音楽を目指していきたいと思ってます？

壺坂　4人が鳴らしてウチが歌ってecosystemってわかればいいなって思ってるから、ジャンルにはとらわれたくないですね。それと、ちゃんと国民的なバンドになりたいと思ってます。90年代のJ-POPにあったような、イエモンやったり、ユニコーンやったり、ジュディマリやったり、誰もが知ってるようなロックバンドになっていきたいです。

──今はデビューアルバムを作っているところだと思いますが、どういう1枚になりそうですか？

壺坂　今はなんでもやりたいから、アルバムに統一性はないかもしれないですね。でも、まずは歌とかメロディを好きになってもらえるような曲で、でも何度も聴くと「ここのギター、ええなあ！」とか、いろんなところに気付くような曲が多いかな。そういう、聴いていて面白さが続くアルバムにしたいと思ってます。

ecosystem　『月夜のnet』