ナタリー PowerPush - 私立恵比寿中学
“未確認中学生”は何者だ!? 関根勤×エビ中対談&ツアーレポ
私立恵比寿中学のニューシングル「未確認中学生X」がリリースされた。シングル発売前より全国5都市を回るツアーを行い、「全人類中学生化計画」を実行に移したエビ中。果たして未確認中学生とは何者なのか、そして「全人類中学生化計画」とは何なのか。
ナタリーではこの謎を紐解くべく、2本立ての特集を企画した。前半はタイトル曲「未確認中学生X」のビデオクリップで監督を務めた関根勤とメンバー3名(真山りか、安本彩花、星名美怜)の対談。そして後半にはライブツアー「私立恵比寿中学オータムデフスターCOMECOMEツアー2013 ~デラックス・ジャム・ジャンボリー・ネオ~」の最終公演となった福岡・Zepp Fukuoka公演の模様をフォトレポートでお届けする。
取材・文・ライブ撮影 / 臼杵成晃 インタビュー撮影 / 佐藤類
関根勤×エビ中(真山りか / 安本彩花 / 星名美怜)対談
四万十川のアユ×大家族のお父さん
──「関根さんがエビ中のPVを撮る」と初めに聞いたときは、あまりにも想像が付かなくて驚きました。エビ中の皆さんと関根さんは今回の企画が初対面ですよね?
関根勤 今回の企画があって、僕の番組(チャンネルNECOで放送中の「映画ちゃん」)に出てもらったのが最初ですね。
──関根さんはエビ中にどういう印象を持ちましたか?
関根 やっぱりねえ、みずみずしい! 四万十川のアユのような(笑)。汚れを知らない。自分にもこういう時代があったのかなあって。でもこの歳でちゃんとお仕事してるから、顔つきがしっかりしてるんですよ。普通の中学生と違って。そこが驚きですよね。フレッシュなのに、きちっとした人格形成がなされている。僕らが中学生のときにはいなかった人たちですね。新人類というのかな。
──エビ中の皆さんはこれまでテレビなどを通して関根さんを観ていたと思うんですけど、実際に会ってみて印象は変わりましたか?
星名美怜 やさしいお父さん、大家族のお父さんみたいな感じがして、すごく安心感があります(笑)。
安本彩花 関根さんは家族で仲がよくて、楽しそうだなって。いつもお父さんと「関根さんの親子みたいになれたらいいね」って言ってたんです。実際にお会いしてみたら、カメラが回ってないときもテレビで観ているときと変わらず、いっぱい面白いことを話しかけてくれるんですよ。
星名 そうそう!
真山りか カメラが回ってないときはもっと厳しい方なのかなと思ってたんですよ。PVの撮影でも「そうじゃないんだよ!」とか怒鳴られるかと思ってたんですけど、全然そんなことなくて。ホントにテレビのまんまで、やさしいお父さんみたいだなって。
──やっぱりみんな一様に「やさしいお父さん」の印象なんですね。
関根 僕にとっても麻里(タレントの関根麻里)の一回り下の子たち、って感じですからね。なんか思い出すものがありますよね。
放課後の教室から見下ろしているような気持ちに
──「アイドル楽曲の映像を撮る」というのは、関根さんのキャリアにおいてかなり突飛なオファーだと思うのですが、なぜこの話を引き受けることに?
関根 今年でもう還暦を迎えたんでね、1周したから新人のつもりで行きたいなと(笑)。オファーがあればなんでもやろうって覚悟でいたんですよ。一切のキャリアを捨てて。だからもう、渡りに船ですよ。あるいはリスに栗ですか(笑)。「監督? ええ、やらせていただきますよ」と。
──関根さんは昔からアイドルとの共演は多いですよね。それこそ「カックラキン大放送!!」(1975~86年に日本テレビ系列で放送されたバラエティ番組)では時代を追ってさまざまなアイドルと共演されてますし。
関根 そうですね。古くは花の中三トリオ(森昌子、桜田淳子、山口百恵)とかね。ピンク・レディーやキャンディーズとも共演してましたね、そういえば。
安本 へえー。
──やっぱり昭和のアイドルとエビ中とでは違いますか?
関根 変わってないなと思うところもありますけど、やっぱり昭和と平成の違いはありますね。ファミコンとプレステ3みたいな。あと黒電話とケータイ電話(笑)。やっぱり進化はしてますよ。
──スマホ世代ならではのアイドル。
関根 そうですそうです。進化してるんですよ。時代が進んでるから、まずダンステクニックが違う。学芸会がコンセプトだって聞いたから甘くみてたんだけど、全然! 会う前に「学芸会」って聞いてたからどんなヒドいもんだろうと思ってたんだけど(笑)、一度品川でやったライブを観させてもらったら、ものすごくしっかりしてて。
星名 「自習」のときですね(参照:エビ中セルフプロデュースの新企画「自習」でひなた天龍に)。
真山 最初はヒドかったんですよ、ホントに(笑)。
関根 特にMCがうまくてびっくりしたの。あんなにクロストークできないよ普通は。2階席から観てたらね、ふと放課後の教室から見下ろしているような気持ちになって。あれがすごくよかった。新鮮でした。
エビ中を引き立てるためにあえてB級SFに
──メンバーの皆さんは台本をもらったときどう思いましたか?
星名 エビ中は自分たちで「King of 学芸会」って言ってるんですけど、台本は最初から最後までストーリーがあって、コンセプトにも合うなって。
安本 うん。最後の戦うシーンは体育館のステージで撮ったので、本当の学芸会みたいでした(笑)。
真山 いつもPV撮影では香盤表みたいなものをいただいて、このシーンはこう、ここはこうって指示が書いてあるんですけど、今回はドラマで使うようなしっかりした台本だったんです。だから本当に物語を読んでるような気持ちになりました。
関根 最初はどんな曲が来るかわかんないから心配だったんですよ。スローバラードとか乙女チックなものだったら苦手だなーと思ってたんですよ。まあそれはそれで対処しようという気持ちはあったんですけども、結果ドンピシャのが来ましたからね。アップテンポで、しかも「未確認中学生X」なんて。音の感じもすごくいいし、すぐに「これはSFで行こう」と。撮影する上で過去のPVも観させてもらったんですよ。それで今回は物語の要素が多いのも、ちょっと変わってていいかもねって。それでも最終的に僕らの出演部分はだいぶ削ったんです。早くエビ中に行こうってことで。
エビ中 アハハハハ(笑)。
──SFの中でもあえてB級感を強くした仕上がりなのが、またエビ中にうまくハマッてますよね。
関根 そこは一応予算の都合もありますから(笑)。監督ってのはいい映像を撮ることが第一条件だけど、いかに予算内に収めるかというのも大事なんです。その点、僕には新谷さん(特撮監督・新谷尚之)という素晴らしい知り合いがいて、その人は段ボールと紙粘土でなんでも作れるの。それに、お話の部分をあえてチープに作ることによって、彼女たちのパフォーマンスがよりグレードアップして見えるようにするのも狙いだったんですよ。出てくるのも僕とジョニ男(イワイガワ・岩井ジョニ男)と飯尾(ずん・飯尾和樹)でしょ(笑)。おっさん3人との対比で彼女たちのかわいらしさがまた引き立つという。
──確かに、関根さんの監督作品なのだからもっと全体的にコントの要素が入ったものになるだろうなと予想してたのに、音楽パートではメンバーの魅力をきっちりと引き立てる映像になっていて驚きました。図書室のシーンなんて、ある意味エビ中らしからぬ(笑)、まっとうなアイドルムービーになっているというか。
関根 そこはちゃんと押さえないとね。特に制服を着た図書室のシーンはきれいに、かわいらしく映るように心がけました。
- ニューシングル「未確認中学生X」 / 2013年11月20日発売 / DefSTAR RECORDS
- 初回限定α盤 [CD] / 1200円 / DFCL-2037
- 初回限定β盤 [CD] / 1200円 / DFCL-2038
- サブカル盤(通常盤) [CD] / 1200円 / DFCL-2039
初回限定α盤収録曲
- 未確認中学生X
- U.B.U.
- I'm your MANAGER!!!
- 未確認中学生X(Less Vocal)
- U.B.U.(Less Vocal)
- I'm your MANAGER!!!(Less Vocal)
初回限定β盤収録曲
- 未確認中学生X
- U.B.U.
- 使ってポートフォリオ
- 未確認中学生X(Less Vocal)
- U.B.U.(Less Vocal)
- 使ってポートフォリオ(Less Vocal)
サブカル盤収録曲
- 未確認中学生X
- U.B.U.
- Thanks! Merry Christmas K
- 未確認中学生X(Less Vocal)
- U.B.U.(Less Vocal)
- Thanks! Merry Christmas K(Less Vocal)
- ライブDVD / Blu-ray「エビ中 夏のファミリー遠足 略してファミえん in 河口湖2013」/ 2013年12月4日発売 / DefSTAR RECORDS
- DVD 2枚組 / 5500円 / DFBL-7173~4
- Blu-ray Disc / 6500円 / DFXL-30
私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)
スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年8月4日の結成以降、数人の転校(脱退)と転入(加入)を繰り返し、現在は瑞季、真山りか、杏野なつ、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、鈴木裕乃、松野莉奈、柏木ひなたの9名が所属している。2010年2月14日に初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「チャイム!」「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」を披露した。2011年10月5日には6枚目のシングル「もっと走れっ!!」をリリース。同月8日には東京・Shibuya O-EASTにて初のワンマンライブを行い、大成功に収めた。「King of 学芸会」の異名を持つ個性あふれるパフォーマンスで人気を集め、2012年5月5日にはDefSTAR RECORDSよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たした。2013年7月には初のオリジナルフルアルバム「中人(ちゅうにん)」をリリース。同年11月にはメジャー通算5枚目となるシングル「未確認中学生X」を発表した。
関根勤(せきねつとむ)
1953年8月21日東京都生まれ。TBS系「ぎんざNOW!」の勝ち抜き企画「素人コメディアン道場」で初代チャンピオンになり、これをきっかけに1974年12月に芸能界入り。翌1975年には桂三枝(現・桂文枝)の命名で「ラビット関根」として活動を始める。その後は「カックラキン大放送!!」「欽ちゃんのどこまでやるの!?」などさまざまな番組にレギュラー出演。1982年より本名の関根勤に戻し、テレビ、ラジオ、CM、舞台など幅広い分野で活躍している。シュールかつマニアックなモノマネや人物の特徴を絶妙な言葉で表現する“見立て芸”など、独自のキャラクターは視聴者のみならず多くの著名人に愛されている。娘はタレントの関根麻里。