ナタリー PowerPush - DREAMS COME TRUE カバーアルバム発売記念
中村正人(DREAMS COME TRUE)×水野良樹(いきものがかり)対談
ユーミンの出現が鮮烈すぎて忘れられない
中村 水野くんはいつ頃音楽を始めたの?
水野 僕が音楽を志したのは中学生とか高校生のときですね。
中村 その頃は何を聴いていたの?
水野 一番よく聴いていたのは玉置浩二さんです。
中村 わかる。俺ね、日本の作曲家の中で玉置浩二さんって1位2位を争うくらいの才能の持ち主だと思う。洋楽は?
水野 洋楽はほとんど聴いてないんですよ。一番音楽に接しやすい時期……中学高校の多感な時期がちょうどCDバブルだったんです。だからJ-POPのヒットチャートがふんだんにあって。
中村 あの頃はよかったなあ(笑)。
水野 あはは(笑)。だからたぶん僕らより少し上の世代になるとJ-POP以外の音楽にも触れていると思うんですけど、僕はJ-POPをむさぼるように聴いていました。それをそのまま出してるっていうのがいきものがかりのスタンスですね。
中村 いい意味ですごく納得した。そうか、J-POPなんだね。僕はティン・パン・アレーとか、はっぴいえんど、大瀧詠一さん、山下達郎さん、竹内まりやさん、ユーミン(荒井由実)さんだね。あの世代が見事に1960~70年代の洋楽を取り込んでJ-POPにしてるの。僕はユーミンさんが出てきたときが鮮烈すぎて忘れられない。あの人たちが洋楽のいいところを抽出して、J-POPやJ-ROCKに落としこんでいってたんだよね。僕は9割9分洋楽で育ったんだけど、J-POPに落とし込むやり方っていうのは、あの人たちから学んだな。
海外進出に対する思い
水野 中村さんは日本の音楽シーンの中で自分たちがどうなりたいかっていうことを意識されていたんですか?
中村 いや、申し訳ないけど、まったくなかったね。俺たちは最終的にはアメリカ、イギリスに行きたかった。
水野 実際行かれていますもんね。
中村 うん。行って大変な目に遭ったんだけどさ。やっぱり洋楽が標準だったんだよね。僕らの時代っていうのはフレンチポップスも普通に入ってたし、ボサノバも普通に入ってたし、やっぱり洋楽チャートで1位を取りたかった。だから「WINTER SONG」っていう曲を英語で出して、洋楽流通に乗せて洋楽チャートで1位を取ったりとか。そういう洋楽に対しての憧れがあったね。
水野 グラミー賞とかに対しても?
中村 うん。グラミー賞もいまだに取りたいんだけど。グラミーがどうのこうのっていうよりも、僕が1960年代、70年代、80年代と聴いてきた音楽のオリジナルを生んだ人々に、ドリカムの曲を聴いてほしいっていう気持ちが強かった。水野くんは海外進出への意欲みたいなものはある?
水野 僕はJ-POPしかできないので、その世界観をそのまま英語圏だったり、違う文化圏に持っていけないかなっていうのはぼんやりと思っています。具体的にはまだ考えついていないですけど……。
中村 うん、それでいいと思うな。俺たちの頃はなれないのに洋楽になりたい願望が強かったけど、今はそういう時代じゃないもんね。今のJ-POPやJ-ROCKはそのまま届けるだけでいいと思うよ。亀田(誠治)くんもJ-POPは貴重なカルチャーだって言ってるし、実際きゃりーぱみゅぱみゅはそれで成功しているしね。
エンタテインメント性あふれるライブパフォーマンス
水野 僕ら、何度もドリカムのライブに行かせていただいてるんですね。
中村 おお、すみません(笑)。
水野 いえいえ、何度も観させていただいて。で、中村さんがMCでしゃべる感じだったり、曲中で客を煽る感じだったり、ああいうコミュニケーションって実はJ-POPの世界観の中で生まれた特殊なスタイルなのかなと。それがさらに特化するとAKB48みたいなアイドルや、アニメのライブになるのかなって。お客さんもステージの演出に加わるカルチャーというか。この間The Rolling Stonesとかポール・マッカートニーのライブを観に行ったときに彼らは淡々とライブをやっていて、対比じゃないですけどそう思ったんですよね。
中村 本当だね。勉強になるね。なんかいろいろ気付かされるな。
水野 言い方として正しいのかわからないですけど、ドリカムのライブは非常に親切というか。エンタテインメントとして、道案内がしっかりしていると思うんですよ。それが僕は勉強になったし、どう自分たちのライブに取り入れるかっていうのをそのときすごく思ったので。
中村 なるほどね。僕、プリンスが一番好きなアーティストなんだけど、昔プリンスを観に行ったときにものすごく親切なライブやってたの。常に笑顔を絶やさず、お客さんに語りかけて、本当にエンターテイナー。しかも僕は彼がギタリストとしては世界一だと思ってるくらい上手なんだけど、歌ってもベース弾いても誰よりもうまいんだよね。超難しくて、超高度なマニアックなことをものすごくポピュラーにやってる。
水野 カッコいいですね。
中村 でしょ。なんかそういうのがすごく好きなんだよね。
- V.A.「私とドリカム -DREAMS COME TRUE 25th ANNIVERSARY BEST COVERS-」/ 2014年3月26日発売 / EPICレコードジャパン
- [CD] 3059円 / ESCL-4182
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収録曲 (カッコ内はカバーアーティスト)
- うれしい!たのしい!大好き!(E-girls)
- 未来予想図II(いきものがかり)
- LOVE LOVE LOVE(miwa)
- 決戦は金曜日(HY)
- すき(JUJU)
- ROMANCE(大塚愛)
- 大阪LOVER(SCANDAL)
- 笑顔の行方(水樹奈々)
- WINTER SONG(Ms.OOJA)
- やさしいキスをして(中島美嘉)
- IT'S SO DELICIOUS(倖田來未)
- サンキュ.(BENI)
- 何度でも(Flower)
- DREAMS COME TRUE ニューシングル「AGAIN」/ 2014年3月26日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1680円 / UMCK-9666
- 通常盤 [CD] 1155円 / UMCK-5468
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CD収録曲
- AGAIN
- HAPPY HAPPY BIRTHDAY - 25th Anniv. Mix -
- AGAIN - INSTRUMENTAL -
DVD(※初回限定盤のみ)
- 「AGAIN」ミュージックビデオ
- 「この街で」ミュージックビデオ
DREAMS COME TRUE(どりーむずかむとぅるー)
吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrange, Program)の2人によるポップバンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。デビュー20周年を迎えた2009年3月、アニバーサリーアルバム「DO YOU DREAMS COME TRUE?」を発表。2014年3月26日にデビュー25周年を記念して、さまざまなアーティストがドリカムの楽曲をカバーしたアルバム「私とドリカム –DREAMS COME TRUE 25th ANNIVERSARY BEST COVERS-」と、日本テレビ系「NEWS ZERO」のテーマソングとして現在オンエア中のニューシングル「AGAIN」を同時リリース。8月23日から全国13都市32公演におよぶ全国アリーナツアーを開催する。なお1991年より4年に1回のペースでライブと移動型遊園地を合体させたベストヒットライブ「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」を開催。エンタテインメントを追求した企画内容は、多くのファンを魅了している。
いきものがかり
吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(G)、山下穂尊(G, Harmonica)の3人組ユニット。1999年結成。当初は地元・神奈川での路上ライブを中心に活動し、2003年にインディーズで初CDをリリース。2006年に発売したメジャー1stシングル「SAKURA」がスマッシュヒットを記録し全国区の人気を獲得する。2007年3月には1stフルアルバム「桜咲く街物語」を発表。切なくて温かい等身大のポップチューンが老若男女問わず幅広い層から強い支持を集めている。2010年には初のベストアルバム「いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~」をリリースし、ミリオンセラーを記録した。2012年にはNHKロンドンオリンピック放送のテーマソング「風が吹いている」でグループ史上最長となる7分40秒の大作に挑戦。2013年7月に26thシングル「笑顔」と6thアルバム「I」を発表。9月から12月にかけて全国アリーナツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2013 ~I~」を開催した。