DJ Mass MAD Izm*とミラッキ大村が語る、色褪せないドリカム楽曲の魅力 (2/2)

歌詞の「ナビゲーター」実際はなんと歌っている?

──トラックの詳細についても聞かせてください。まずは「ドリカムディスコ」の福岡公演で披露された「ドリカムディスコ FUKUOKA MIX 【7月生まれ編】」。「LOVE LOVE LOVE」「さぁ鐘を鳴らせ」「YES AND NO」などが収録されていますが、「7月生まれ」というのは……?

ミラッキ大村 どれも7月に発売された曲ですね。そんなくくり方、普通はしないと思うんですけど(笑)、ラジオではこういう企画もあり得るし、楽しみながら選んでいるんですよ。曲をいくつかかけて、「共通点は7月発売の曲でした!」「わかるかい!」という(笑)。

DJ Mass MAD Izm* (笑)。選んでもらった曲はかなりテンポが違っていて。リズムをキープしつつ、しっかりグルーヴを作ることを意識しました。その中に「MADE OF GOLD -featuring DABADA-」のイントロ(「ネスカフェ ゴールドブレンド」CMソング「目覚め」のメロディ)のような印象的なフレーズがあったり、ミックスしがいがありましたね。

DJ Mass MAD Izm*

DJ Mass MAD Izm*

──2つ目のトラック「ドリカムディスコ SAPPORO MIX【よしだみワード編】」は、「晴れたらいいね」「あなたとトゥラッタッタ♪」などがミックスされています。

ミラッキ大村 「よしだみワード編」ということで、歌詞カードを読みたくなるような回にしたいなと思って。個人的な思い出も入ってるんですよ、実は。小学校を卒業した頃に「クイズ王決定戦!」(フジテレビのクイズバラエティ番組)に参加したんですけど、受付に並んでいたら、後ろにいた大学生が問題を出し合っていたんです。そのやりとりで「ドリカムの『晴れたらいいね』には『かなり たよれるナビゲーターになるよ』という歌詞がありますが、『ナビゲーター』の部分は実際にはなんと歌っているでしょう?」という問題があって、心の中で「ナビ」って答えたっていう(笑)。「晴れたらいいね」と同じように、読み方を変えていたり、面白い言葉の使い方をしている歌詞がけっこうあって。それを集めたのが「よしだみワード編」ですね。

DJ Mass MAD Izm* 「SAPPORO MIX」は自分としてもいい流れになったと思っていて。「モンキーガール 豪華客船の旅」「DA DIDDLY DEET DEE」はDJになる前から好きだった曲だし、最後の「SAYONARA」「Eyes to me」のつなぎも気に入ってますね。

ミラッキ大村 2人の思い入れが入ったミックスですね(笑)。

──「ドリカムディスコ NAGOYA MIX【天空編】」は「あの夏の花火」「琥珀の月」など、空を見上げる姿、月や太陽が歌詞に登場するナンバーで構成されています。

ミラッキ大村 これは「9の音粋」でもしゃべったんですが、北海道生まれの美和さんだからこそ、キレイな空や海が歌詞の中に出てくるんじゃないかなと。僕が生まれ育った埼玉では、そういう光景を見ることがないですからね(笑)。このミックスはドリカムだから、美和さんだから成立していると思います。

ミラッキ大村

ミラッキ大村

DJ Mass MAD Izm* 「NAGOYA MIX」はゆったり流れるようなミックスになってます。落ち着いて聴けるトラックなのかなと。

ミラッキ大村 そうですね。「CARNAVAL ~ すべての戦う人たちへ ~」で盛り上がったあとは、「太陽が見てる」「時間旅行」で無重力状態みたいになって。

DJ Mass MAD Izm* 最後の「星空が映る海」でエモい感じも加わって。

ミラッキ大村 ぜひ歌詞カードを読みながら聴いてみてほしいです。僕も小学生の頃から、歌詞を読みながらお風呂に入ってたんですよ。おばあちゃんに「早く出なさい」と言われながら(笑)。

たまらない! うなるベース編

──「ドリカムディスコ TOKYO MIX【ナンバー編】」は「24/7 -TWENTY FOUR/SEVEN-」「7月7日、晴れ」など曲名に数字が入った曲が並んでいます。

ミラッキ大村 これが一番のムチャぶりだったかも(笑)。「7月生まれ編」だったら季節感がありそうだし、「天空編」はそれぞれの思い出と重ねて聴いてもらえるかもしれない。でも、「ナンバー編」にはそういうものがないので。「九州をどこまでも」の“九”もそうですけど、数字の使い方を楽しんでもらえたらなと。

DJ Mass MAD Izm* 「TOKYO MIX」はジワジワと盛り上がって、最後にブチ上がる構成ですね。「また『つらい』が1UP」「THE ONE」は南米音楽のテイストを加えているんですが、そのきっかけは「DOSCO prime」の「決戦は金曜日」だったんです。レゲトン風味のアレンジだったんですが、それは美和さんの提案だったみたいで。美和さんは最新の音楽を聴き続けているし、それを取り入れることもある。「決戦は金曜日」とエグみのあるレゲトンの組み合わせはまさにそうですよね。「また『つらい』が1UP」「THE ONE」も同様に、原曲の構造がしっかりしているから、思い切ったミックスをしても本来のよさがなくならないんですよ。

DJ Mass MAD Izm*

DJ Mass MAD Izm*

──そして「ドリカムディスコ SENDAI MIX【うなるベース編】」も「DREAM CATCHER 4」の聴きどころだと思います。めちゃくちゃカッコいいミックスですね。

ミラッキ大村 カッコいいですよね! これが一番つなぎやすかったんじゃないですか?

DJ Mass MAD Izm* そうですね(笑)。

ミラッキ大村 去年の春、「9の音粋」にマサさんにゲストとして来ていただいたときに、「このベースがすごい特集」をやったんですよ。そのときも「SENDAI MIX」にある「SWEET REVENGE」をかけて、「ESCAPE」の話をして。歌いたくなるようなベースラインというか。「DREAM CATCHER 4」からシングルカットするとしたら、このミックスかもしれないですね。

──歌とベースがどちらも際立っています。ドリカムはボーカルとベーシストのバンドですからね。

ミラッキ大村 仙台公演でも体が自然に動いて「たまらない!」という感じでした。

DJ Mass MAD Izm* 確かに「SENDAI MIX」は「DREAM CATCHER 4」のピークかもしれないですね。1曲目の「APPROACH」は、去年のツアーで聴いたときもすごくいいなと思って。仙台公演ではシティポップの流れを意識したんですけど、うまくハマったと思います。昨今のシティポップブームもあるし、今の若いリスナーにも聴いてもらいたいと改めて感じました。

ミラッキ大村 時代が巡っていく中で、1stアルバム(1989年発売の「DREAMS COME TRUE」)がすごく新しい音楽に聞こえることもあるんですよね。

ミラッキ大村

ミラッキ大村

ドリカムをきっかけに日本のR&Bシーンが盛り上がる

──最後に収められている「ドリカムディスコ OSAKA MIX【のりもの編】」は、「Ring! Ring! Ring!」「未来予想図II ~VERSION'07~」など、いろんな乗りものが登場する曲がミックスされています。

ミラッキ大村 自転車、バイク、車もそうですけど、乗りものの出し方が面白いし、街の風景とも重なるのもいいんですよね。このミックスには入ってないんですけど、「いろんな気持ち」という曲に槍ヶ崎という地名が出てきて、「どこだろう?」と気になったり。余談ですけど、当時好きだった人と一緒に行ったことがあります。全女(全日本女子プロレス)の試合を見たあとに(笑)。

DJ Mass MAD Izm* (笑)。「OSAKA MIX」はドリカムの魅力をおさらいできるようなミックスじゃないかなと思ってます。「朝がまた来る」で始まり、3曲目に「未来予想図II」が入っていて……すべてが名曲だし、ドリカムのよさを改めて感じてもらえるはずです。最後の「うれしはずかし朝帰り」は90年代、クラブDJとしてもときどきかけてたんですよ。

ミラッキ大村 え、そうなんですか?

DJ Mass MAD Izm* はい。朝5時くらいになって、クラブをクローズする間際、「もう1曲」みたいなときに。「クラブから朝帰りするときに聴いたな」という人もいると思います(笑)。

──4年に一度のペースで開催されてきた「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」が今年7月から9月にかけて開催されます。今年はドリカムに改めてスポットが当たる1年になると思いますが、お二人にとってのドリカムのすごさ、魅力を改めて教えてもらえますか?

ミラッキ大村 ドリカムは例えるなら“円形劇場”だと思うんですよ。「ここが正面だ」と思っていても、実はそうじゃなくて。反対側も正面だし、どの角度から見ても面白くて、入り口がたくさんある。1枚のアルバムを聴くだけでも、歌詞、メロディ、アレンジを含めて、「これもドリカムなのか!」という発見があると思うんですよね。

DJ Mass MAD Izm* 「DREAM CATCHER 4」では過去の楽曲にフォーカスを当てましたけど、ドリカムのお二人はずっと未来を見ていて、今も進化を続けている。だからこそドリカムの曲は色褪せないし、ずっと新しく感じるんだと思います。「DREAM CATCHER 4」「WONDERLAND」もそうですけど、今年はさらにドリカムの再評価が進むだろうなと。それと同時に、日本の音楽、日本のミュージシャンがやってきたことが世界に伝わっていくといいなと思っていて。ドリカムのいろいろなアクションの中で、日本のR&Bシーンがもっと盛り上がるといいなと1人のDJとして願ってますね。

左からDJ Mass MAD Izm*、ミラッキ大村。

左からDJ Mass MAD Izm*、ミラッキ大村。

DREAMS COME TRUE ライブ情報

史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023

  • 2023年7月1日(土)北海道 札幌ドーム
  • 2023年7月15日(土)愛知県 バンテリンドーム ナゴヤ
  • 2023年7月16日(日)愛知県 バンテリンドーム ナゴヤ
  • 2023年7月22日(土)大阪府 京セラドーム大阪
  • 2023年7月23日(日)大阪府 京セラドーム大阪
  • 2023年8月25日(金)福岡県 福岡PayPayドーム
  • 2023年8月26日(土)福岡県 福岡PayPayドーム
  • 2023年9月1日(金)東京都 東京ドーム
  • 2023年9月2日(土)東京都 東京ドーム

※各会場にて「DREAM CATCHER 4 -ドリカムディスコ MIX CD-」の販売あり。


史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023 ミニ

  • 2023年9月30日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2023年10月1日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
  • 2023年10月14日(土)沖縄県 沖縄アリーナ
  • 2023年10月15日(日)沖縄県 沖縄アリーナ

※各会場にて「DREAM CATCHER 4 -ドリカムディスコ MIX CD-」の販売あり。

プロフィール

DJ Mass MAD Izm*(ディージェーマスマッドイズム)

神奈川県出身のDJでHSMS、ViViD Neon*、LEONAIRのメンバー。AIや藍井エイル、三浦大知、西野カナ、PUFFYなどさまざまなアーティストの楽曲制作に携わる。2020年10月にリリースされたDREAMS COME TRUEのコンピレーションアルバム「DOSCO prime」にトラック制作で参加し、2022年7月と8月にはドリカムの中村正人(B, Arrangement, Programming / DREAMS COME TRUE)がホストのディスコイベント「ドリカムディスコ2022 -Road to DWL2023-」でDJを担当。2023年3月リリースのドリカムのミックスCD「DREAM CATCHER 4 -ドリカムディスコ MIX CD-」ではミックスを手がけた。

ミラッキ大村(ミラッキオオムラ)

DREAMS COME TRUEのファンで知られる、埼玉県出身の構成作家・大村綾人の別名義。bayfm「9の音粋」で毎週月曜日にDJを担当している。2023年1月にドリカムの楽曲を楽しむファン参加型イベント「ドリカムディスコ」に出演。3月にリリースされたドリカムのミックスCD「DREAM CATCHER 4 -ドリカムディスコ MIX CD-」の選曲を担当し、ライナーノーツを執筆した。

DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)

ベーシストでコンポーザー、アレンジャーの中村正人と、ボーカリストでコンポーザー、パフォーマーの吉田美和からなるユニット。時代に合わせて楽曲をクリエイトし、吉田が生み出す歌詞は世代を超えて多くの人に愛されている。2022年12月リリースの最新シングル「スピリラ」では世界的に活躍するYKBXとコラボレーション。2023年夏にはグレイテストヒッツライブ「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023」を開催する。また近年は、ドリカムのバーチャルキャラクター「MASADO and MIWASCO」が「VTuber Fes Japan 2021」にてデビュー。