音楽ナタリー PowerPush - DJ SOULJAH×松田龍平
仲良し2人のゆるふわ対談
“DJ”が作った人を楽しませるためのアルバム
──龍平さんは「BE MY GUEST」を聴いてどう思いましたか?
松田 ゲストがたくさんいて、豪華なアルバムですよね。いろんな人が参加してるんだけど、SOULJAHの持ち味はすごく出てると思いましたね。
──SOULJAHさんの持ち味とは?
松田 SOULJAHには音楽で人を楽しませる力がありますよね。俺が初めてSOULJAHのDJをフィンランドで聴いたときも思ったけど、自分のやりたいこととお客さんを楽しませようというとこのバランスがいいというか。
SOULJAH 僕はDJにしろ作品にしろ、いつも聴く人に楽しんでほしいと思ってるから、その部分が龍平に伝わってるのはすごくうれしい。今回のタイトルである「BE MY GUEST」には“どうぞ”とか“召し上がれ”みたいな意味があって。自分は出自がDJだから、しっかり聴かせる作品というよりは、聴く人がいろんなシーンで楽しめるような内容にしようというのはすごく意識しました。
松田 なんか特別なことをやろうとか奇抜なことを狙ってるわけじゃないんだけど、SOULJAHが持ってる根っこ部分というか、ベースに、それぞれのラッパーの個性とが混じり合って面白いことになってるというか。今回はいろんな人が参加してるけど、どういう基準で声かけたの?
SOULJAH 知ってる人がベースだね。やっぱりビジネス的な付き合いから生まれるものより、友達感覚のような密な関係から生まれるもののほうがお互いにいいものを出しあえると思うからさ。あとその人が普段やらないようなビート、一緒にやらなそうなメンツというのも意識したよ。
──そういうところもDJならではの発想ですね。
SOULJAH うん。そこはすごく意識したアルバムですね。龍平、どの曲が好きだった?
松田 うーん。……ちょっと覚えてないですね(笑)。
SOULJAH マジかよ!? 事前に音源送ったじゃん!(笑)
松田 今聴き込んでるところだから(笑)。
松田龍平を対談相手に選んだ理由
──龍平さんはどんな音楽が好きなんですか?
松田 うーん、なんでも聴きますよ。そんなに詳しいわけじゃないですけど。
SOULJAH でも、龍平って意外な音楽をすごく知ってるよね。ドイツのクラブでも「最近、アガりすぎない感じのテックハウスがいいよねー」とか言ってたし。
松田 いい曲は友達が教えてくれたりするんだよね。
──ではSOULJAHさんにおすすめの曲を聞いたりもするんですか?
SOULJAH そんな会話一度もしたことない(笑)。龍平とのつながりは、いわゆるただの友達でいつもくだらない話ばっかりしてる。もちろん龍平には音楽でつながってる友達もいるんだろうけど、俺とはそういう感じじゃないんだよね。
松田 そうだね。今「SOULJAHにおすすめの音楽を教えてもらう」と聞いて、“その手があったか!”と思ったくらいで(笑)。SOULJAHとは、趣味の話というよりは、それ以外の部分でつながった感があるよね。きっと最初の旅行が強烈すぎたんじゃないかな。
SOULJAH そうだねー。みんなで会っても、音楽がどうとか映画がこうとかそういう話題ないし。なんというか着地点を探さずに会話してるというか。だから、本当に普通の友達なんですよ。
──SOULJAHさんに質問なんですが、なんで今回の対談相手に龍平さんを指名したんですか?
SOULJAH なんかアルバムに参加してもらった人とか、ミュージシャン同士で対談するのってよくあることじゃないですか? こういうプロモーションタイミングではたくさん取材を受けるわけで、それも必然なんですけど……。だったら、ナタリーさんに取材してもらうという場で、あえて龍平と話してみたら何か面白いことになるんじゃないかと思って。
──さっきのアルバムの人選と同じような感覚ですね。
SOULJAH うん、そういうこと。
「いいものを作る」というマインドの重要性
SOULJAH 映画版の「TOKYO TRIBE」観た?
松田 まだ観てない。どんな映画なの?
SOULJAH ラッパーが俳優やっててさ。主役のYOUNG-DAISって子も札幌を拠点に活動してるラッパーなの。僕、日本のラッパーが俳優をやったら面白いと思ってて。昔だったら「ラッパーが俳優なんかやりやがって」みたいな感じになっちゃったかもしれないけど、いまはもうそんなの全然ないと思うし。KOHHなんかも最近ファッション系でも注目されてるじゃないですか。ああいう感じでいろんなスタイルのラッパーが出てきたらいいなって思ってるんだよね。
松田 確かに先人たちが築いてきたスタイルを踏襲することも大事だけど、そういうのを無視して「何これ?」みたいな人が出てきてもいいと思う。俺みたいなヒップホップの素人からすると、どうしても同じに見えてきちゃうところもあるしね。
──アメリカにはコメディアンやってるラッパーもいますしね。
SOULJAH 日本もそれぐらいクロスオーバーしちゃえばいいと思う。そしたら、俺と龍平がこうして対談するのも違和感なくなるでしょ。
松田 結局は純粋に自分にとっていいものを作るというマインドが大事だよね。形に囚われないというか。そういえば、俺、PESくんのアルバムに参加してるんですよ。ちょっと歌わせてもらったんですけど、すごい楽しかったな。
──龍平さんはラッパーが俳優やることについてはどう思われますか?
松田 どんどんやったほうがいいと思いますね。
SOULJAH その人のベースさえしっかりしてれば、ジャンルなんて関係ないよね。
──ではそんなお2人が今後何かでクロスオーバーすることはありそうですか?
SOULJAH 僕、実はいつか龍平にPVを作ってもらいたいんですよね。出演でもいいんだけど。ただ“ザ・バーター”みたいな感じじゃなくて、このアイデアだったら龍平とやるのが面白いかなっていう、純粋な動機があるタイミングでやりたい。龍平とは話題作りのためとかでは嫌なんです。一緒に旅行したとき、2人でゴッホの美術館に行ったんですよ。そのときに龍平がゴッホの絵を観てるのを僕が見て、この感じすげーいいなって感じて。そういうのがハマる曲を僕が作れたら、一緒にやりたいですね。
松田 じゃあ、俺はいつか映画を監督したら、SOULJAHに役者をしてもらおうかな(笑)。
収録曲
- Interlude
- aaight feat. KOHH, Maria (SIMI LAB)
- Liquor & Reefer feat. 遊戯 (韻踏合組合) Jaggla & Cz Tiger (TORNADO)
- CLUBに来た feat. ERA, 鎮座DOPENESS, 環ROY, T.O.P
- Follow Me feat. SALU, Jinmenusagi, Aliya Miharu
- The 6th Sense feat. MYZK Monstaz
- Holdin On feat. J-REXXX, Tarantula (SPONTANIA), Yoshiro
- Transformer 2.0 feat. Def Tech, Simon, SAMI-T from MIGHTY CROWN
- illxxx feat. Chill Cat, BULL, ROCK STAR, Gloria
- 冷たい熱帯Core feat. リトルトーキョー
- The Black One feat. 2WIN, WISE, S-WORD
- Believe That feat. AKLO, ILMARI(RIP SLYME), Yui Mugino
- Believe That Remix feat. Sway (DOBERMAN INFINITY)※iTunes Store限定
- aaight feat. KOHH, Maria (SIMI LAB) (Habanero Posse Remix)※iTunes Store限定
DJ SOULJAH(ディージェイソルジャー)
宮崎県出身のDJ。高校卒業後、単身渡米。ニューヨーク ブルックリンを拠点に活動を行いジェイ-Z、カニエ・ウェストらのプロデューサー、ジャスト・ブレイズをして「最強の日本人DJだ」と言わしめるなど、高い評価を獲得する。国内では2009~10年にミックスCD「THE EXCLUSIVES HIP HOPHITS2」「同3」をスマッシュヒットさせ、プロデュース業も展開。AK-69、PES、さらにはKRS-ワンなど、国内外のアーティストの楽曲を制作。昨今では日本に拠点を構えつつ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ並びに日本全国を縦横無尽に駆け巡り、ヒップホップDJながらEDM系音楽フェス「ULTRA MUSIC FESTIVAL」に出演するなどジャンルレスの活躍を見せている。またファッション系のイベント、セレブのパーティでのDJとしても多数起用され、あらゆる現場を盛り上げるスキルとセンスから「VIB=Very Important Banger(クラブで最も目立つ重要人物)」との異名も持つ。2014年12月、総勢40組以上のアーティストと共演する1stオリジナルアルバム「BE MY GUEST」をリリースした。
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- DJ SOULJAHの記事まとめ
松田龍平(マツダリュウヘイ)
1983年5月9日生まれ。俳優。1999年に映画「御法度」でデビュー。近年では、映画「探偵はBARにいる」シリーズや「まほろ駅前」シリーズに出演したほか、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で印象的な演技を披露した。映画「舟を編む」では、主演男優賞を多数受賞。公開待機作に、映画「ジヌよさらば ~かむろば村へ~」(松尾スズキ監督 / 2015年春)がある。