Dizzy Sunfist×難波章浩(Hi-STANDARD、NAMBA69)|難波章浩が感じたディジーのメロディックパンク愛

あやぺたの声が伸びやかになった

──アルバムを聴いてみて、ほかにも難波さんがグッときたところがあれば教えてください。

難波 収録時間が短いのもよかった。コンパクトに作ったのは意図するところがあったの?

moAi(Dizzy Sunfist)(Photo by JON...)

moAi 昔からやりたいことがありすぎて足し算ばかりしてしまって、曲のおいしい部分が見えてこないことが多かったけど、最近は引き算を覚えました。曲作りをしていても「ここを際立たせるためにこれを抜いてみようか」ということが増えてきて、そのおかげでおいしいところが際立ってきたのかもしれない。

難波 確かにそうかも! 今までだったらもう1回サビに行っていたようなところを引いたりしてるよね。そうすることでリスナーとしてはまた聴きたくなるもんな。

moAi これまでは濃い口で大盛りだったけど、おいしいところをちゃんと味わってもらえるように味付けも量も調整したというか。

難波 だから1曲ずつちゃんと印象に残るんだ。あと、あやぺたは声が伸びやかになった気がするんだよね。そこは何かあったの?

あやぺた 英語の歌い方を研究したんです。英語って日本語と発音が全然違うじゃないですか。なので、発音の先生を見つけてオンラインで授業を受けたりしました。

難波 それはネイティブの先生?

あやぺた 発音に特化した日本人の先生です。レコーディングには毎回ネイティブの方が来てくれるんですけど、これまでは英語の発音を優先して自分の歌がずっと歌えなかったというか、歌がいいと思ったテイクを使ってもらえなくて。そのせいでレコーディングがほんまに嫌やったんです。だから、ネイティブの先生から何も言われないように発音を完璧にしてやろうと思って、今回それが初めてできたんです。

難波 だから伸びやかに聞こえるんだ!

あやぺた かもしれないです。

難波 アルバムを通して聴いて、サウンドももちろんだけど、ボーカルが素晴らしいなと思ったんだよね。

あやぺた 今回、やっと自分の歌が歌えたなと思いました。

難波 それは大きいね。英語の発音に関しては俺にもエピソードがあって、「Growing Up」(1995年11月にリリースされたHi-STANDARDのアルバム)がFAT WRECKから出るまで、俺は発音なんて気にしないで英語の歌詞を歌ってたわけ。でも、サンフランシスコで「GROWING UP」のレコーディングをやったとき、ファット・マイクから「もう一度歌え」と何回も言われて、俺、本当に嫌になっちゃって、部屋に閉じこもるぐらい落ち込んでさ。いい声が出てればいいという考え方でこれまでやってきたのにそれじゃダメなんだって。それで、「GROWING UP」の次のアルバム「ANGRY FIST」(1997年5月リリース)のときもファット・マイクが「俺がプロデュースしようか?」と言ってくれたんだけど、ボーカルのレコーディングが嫌だったというのもあって断ったのよ。そうしたら今度はエンジニアのライアン・グリーンが、「今のはOKテイクだろ?」と思うところもファット・マイクと同じように「発音がダメだからやり直し」って言うわけ! 「Sが聞こえない」とかなんとか言って。

あやぺた ああ、S! ありますね(笑)。

難波章浩(Hi-STANDARD、NAMBA69)(撮影:半田“H.and.A”安政)

難波 俺の中では発音のせいでいいテイクが採用されないなんてありえなかったの。それで自分なりにがんばって、発音のアドバイザーを置かないで日本で録ったのが「MAKING THE ROAD」(1999年6月にリリースされたHi-STANDARDのアルバム)だったんだよ。もちろん、メンバーそれぞれ考えていたことがあっての決断だけど、俺としてはボーカル録りのことも日本でレコーディングした理由のひとつだったんだよ。それで自分が歌いたい歌を歌った結果、一番みんなに聴かれる作品になったんだよね。

──それは初めて聞くエピソードですね。

難波 俺もそのときは伸び伸びと歌えたし、今回あやぺたの歌が伸びやかなのもそういうことなのかなと。そういう意味でも大事な作品だね。

あやぺた 発音のことはずっと気になっていたので、今の話が聞けてうれしいです。ネイティブの先生がレコーディングに来てくれるようになってから、うちもちゃんとした英語で歌うのか、日本語英語で歌うのか葛藤した時期があって。先生を呼ばないという手もあったんですけど、時間が経つにつれて「海外でライブしたい」という気持ちが高まったし、自分の場合は発音をちゃんとしたほうが歌いやすいということに気付きました。

英語で歌っている自分が一番カッコいい

難波 今、どのバンドも英語がうまいじゃない?

あやぺた そうなんですよ!

難波 俺らの頃は今みたいにたくさんの日本人が英語を流暢に話せる状況じゃなかったからごまかしが効いたけど、今はごまかせない。

あやぺた 親に対して「なんで英語習わせてくれへんかったん?」とめっちゃ思ってます(笑)。

難波 でも、話せるのと歌えるのは少し違うと思っていて、英語が話せなくても歌えればいいと俺は思う。歌は表現だしアートだから、自分が納得できるものになっていればいいんだよね。俺が大事にしているのはサビの言葉をいかにシンプルにするかで、例えば、サビの歌詞が「DEAR MY FRIEND」だとして、英語の発音がうまくない人がそれを歌ったとしてもこんなにわかりやすいフレーズをネイティブが聞き取れないはずないんだよね。

moAi ああー、確かに。

難波 だから、俺はハイスタで「DEAR MY FRIEND」をレコーディングしたとき、「これでも俺の英語をバカにするならそれでいいです」と思ってた。でも、俺はあやぺたがそこまで英語に自信を持っているなら、逆に日本語の曲を歌ってもいいのかなと思ったんだよね。

あやぺた 実は今回トライしてみたんですよ。でも、英語よりカッコよくできなくて。日本語だと1音に乗るのは1文字だけだし、英語のほうがカッコよく歌えることに気付いてしまって。

2011年9月に神奈川・横浜スタジアムで行われた「AIR JAM 2011」でのHi-STANDARDのパフォーマンスの様子。(Photo by Terumi Fukano)

難波 そうだよね。俺も洋楽で育ったし、結局、自分にとってカッコいいかどうかなんだよね。

あやぺた 実は「Little More」、最初は日本語で作ってみたんです。でも、聴いていてしっくりこなくて「うちがやりたいことはこれなのかな?」と思ったし、英語で歌っている自分が一番カッコいいと思ったので、日本語はごめんなさいしました。

難波 じゃあ、これからも英語でいこう!

あやぺたmoAi あはは!

難波 この議論、面白いな。今まであまりしたことない。

ツアーはバンドを成長させる

──話は変わりますが、NAMBA69はコロナ禍になって初のツアー「FRIENDS & CELEBRATION TOUR 2021」を実施中です。ひさしぶりのツアーはどうですか?

難波 ライブができるのはこんなに幸せなんだということを感じているし、日々の充実度が全然違うと思ってる。やっぱり、「自分、いい感じじゃん!」という喜びを得られるのはライブのほかにないんだよね。しかも、ツアーだと1本1本のライブが点と点としてつながっていく喜びもあって、バンドとして成長できるから、それがうれしい。

あやぺた ツアーはバンドを成長させるって本当にそうだと思うので、自分にも欠かせないものやと思います。

難波 この前ライブをして思ったんだけど、コロナ禍でのルールを守ってライブをやろうと決めたバンドは絶対強くなると思った。だって、フロアで暴れられないぶん、一挙手一投足、頭からつま先までみんなに見られちゃうわけじゃん。こんな状態ってなかなかないと思うし、すごく鍛えられるよ。

あやぺた 丸裸ですもんね。

難波 丸裸だよ。ケツの穴を見られているようなもんだからね。

あやぺた あはは! そういえばコロナ禍で初めてやるライブが難波さんと一緒やったじゃないですか。

難波 そうだね。

あやぺた あのときのNAMBA69はお客さんをその場で飛び跳ねさせたり、今できることで盛り上げる技術がすごいなと思いました。

難波 あやぺたは俺たちのことをリハからめっちゃ見てくれるんだよね。

あやぺた めちゃ見ます(笑)。いろいろ研究……というわけではないんですけど、「何がどうなってんのやろ!?」って。音作りもめちゃ細かいし。

──NAMBA69を見ていて気付いたことはありますか?

あやぺた 周りにはわからないような呼吸の合わせ方がすごいと思いました。「そこまで詰めるんや!」って。だからこそ重なって出てくる音の爆発力が違うんやなと思いました。

難波 それは3ピースと4ピースの違いかもしれない。ギターが2人いるから、とことんやらないとすぐにバラバラになっちゃうんだよね。ディジーはベースが変わったけど、今度のツアーはどうするの?(参照:Dizzy Sunfistいやまがバンド卒業を発表、笑顔で送り出す東名阪クアトロツアー開催

あやぺた サポートメンバーを公募してやっと決まりました。ツアーで長い時間を過ごしてから正式メンバーとしてお願いするかどうか決めたいと思います。

難波 そうだね。ポジティブに考えるとこれは新しい出会いだし、メンバーが変わることで新しいライブにもなるだろうから楽しむしかないよね。

あやぺた そうですね。

難波 すげえ試練だと思うけど、乗り越えて新しいものを築き上げてもらいたいな。

あやぺたmoAi はい、ありがとうございます!

ツアー情報

Dizzy Sunfist "Welcome to DIZZYLAND" TOUR 2021-22
  • 2021年10月28日(木) 茨城県 mito LIGHT HOUSE
    <ゲスト> 39degrees
  • 2021年10月30日(土) 青森県 LIVE HOUSE FOR ME
    <ゲスト> TOTALFAT
  • 2021年10月31日(日) 秋田県 Club SWINDLE
    <ゲスト> TOTALFAT
  • 2021年11月3日(水・祝) 神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
    <ゲスト> KUZIRA
  • 2021年11月6日(土) 千葉県 千葉LOOK
    <ゲスト> LOW IQ 01 & RHYTHM MAKERS
  • 2021年11月12日(金) 岐阜県 yanagase ants
    <ゲスト> Northern19
  • 2021年11月13日(土) 石川県 金沢EIGHT HALL
    <ゲスト> G-FREAK FACTORY
  • 2021年11月19日(金) 栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2021年11月20日(土) 山形県 山形ミュージック昭和Session
  • 2021年11月27日(土) 鳥取県 LIVE HOUSE 米子 AZTiC laughs
    <ゲスト> GOOD4NOTHING
  • 2021年11月28日(日) 島根県 アポロ
    <ゲスト> GOOD4NOTHING
  • 2021年12月4日(土) 滋賀県 滋賀U★STONE
  • 2021年12月5日(日) 和歌山県 和歌山CLUB GATE
  • 2021年12月9日(木) 福岡県 小倉FUSE
  • 2021年12月11日(土) 香川県 高松MONSTER
  • 2021年12月12日(日) 広島県 広島ALMIGHTY
  • 2021年12月15日(水) 北海道 BESSIE HALL
  • 2021年12月16日(木) 北海道 函館club COCOA
  • 2021年12月24日(金) 愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2022年1月8日(土) 大阪府 FANDANGO
  • 2022年1月9日(日) 三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
  • 2022年1月15日(土) 岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
  • 2022年1月16日(日) 宮城県 石巻BLUE RESISTANCE
  • 2022年1月22日(土) 熊本県 熊本B.9 V2
  • 2022年1月23日(日) 鹿児島県 SR HALL
  • 2022年1月29日(土) 高知県 X-pt.
  • 2022年1月30日(日) 愛媛県 WStudioRED
  • 2022年2月3日(木) 埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
  • 2022年2月5日(土) 山梨県 KAZOO HALL
  • 2022年2月6日(日) 長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2022年2月12日(土) 長崎県 DRUM Be-7
  • 2022年2月13日(日) 大分県 DRUM Be-0
  • 2022年2月19日(土) 群馬県 高崎clubFLEEZ
  • 2022年2月20日(日) 静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2022年2月23日(水) 京都府 KYOTO MUSE
  • 2022年2月24日(木) 兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2022年2月26日(土) 岡山県 IMAGE
  • 2022年2月27日(日) 山口県 周南RISING HALL

Final Series

  • 2022年3月12日(土) 宮城県 SENDAI GIGS
  • 2022 年3月19日(土) 広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2022年3月26日(土) 北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2022年4月3日(日) 新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2022年4月13日(水) 東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2022年4月21日(木) 愛知県 Zepp Nagoya
  • 2022年4月23日(土) 福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2022年4月29日(金・祝) 大阪府 Zepp Osaka Bayside
Dizzy Sunfist(ディジーサンフィスト)
Dizzy Sunfist
2009年に大阪にて結成されたスリーピースバンド。メンバーチェンジを経て、現在はあやぺた(Vo, G)、moAi(Dr, Cho)の2人にサポートベーシストを迎えて活動している。2013年にCAFFEINE BOMB RECORDSより1stミニアルバム「FIST BUMP」を発売。2014年に「京都大作戦2014 ~束になってかかってきな祭!~」に出演し、一気に知名度を上げた。2016年3月に1stフルアルバム「Dizzy Beats」をリリースする。2017年4月に1stシングル「THE DREAM IS NOT DEAD」と2ndDVD「Dizzy Beats DX」を同時発売。2019年にあやぺた(Vo, G)が入籍と妊娠を発表し、2020年7月にバンドの“第2章”の開幕を告げる作品として「EPISODE II」を発表。2021年10月15日にオリジナルメンバーであるいやま(Vo, B)がバンドを“卒業”。同月27日にアルバム「DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-」をリリースした。
難波章浩(ナンバアキヒロ)
NAMBA69
1970年6月9日生まれ、東京都出身。1991年に結成されたパンクロックバンドHi-STANDARDおよび2013年に結成されたバンドNAMBA69のボーカリスト / ベーシスト。Hi-STANDARDは2017年10月に18年ぶりとなるアルバム「THE GIFT」を発表。2018年9月にZOZOマリンスタジアムで「AIR JAM 2018」を開催した。NAMBA69は3rdシングル「CELEBRATION」を2021年9月1日にリリースし、現在はツアー「FRIENDS & CELEBRATION TOUR 2021」を実施中。