DAOKO×米津玄師|奇跡の邂逅が産んだ、この夏を彩る「打上花火」

夏の切なさみたいなものを凝縮できるような曲にしたい(米津)

──曲を作るにあたっては、まずどういうところから出発したんでしょうか。

米津 最初に曲だけの依頼を受けて、どういうものをするかを自分なりに考えてはいたんですけれど、その後に川村さんとDAOKOちゃんを含めて話をして。そこからですね。川村さんが思い描いていたものと自分がイメージしていたものが、そんなに違わなかったんです。バラードであって、エモーショナルな、そのうえで自分としては、夏の切なさみたいなものを凝縮できるような曲にしたい。そういう話になったんですけど。まあでも、すごい大変でした。

──なるほど。単に米津さんが曲を作ってDAOKOさんが歌ったというだけじゃなくて、曲作りの最初の段階から、お二人と川村さんがいた。

DAOKO そうですね。

──DAOKOさんはそのときのことは覚えていますか?

DAOKO

DAOKO 覚えてますね。私も川村さんのイメージを聞いて「なるほど」と思ったんです。でも、それを受けて米津さんの曲がどういうふうになるのかすごく未知数と言うか。確か、いろんなリファレンスの曲があったんですよ。それを受けて米津さんがどんな曲を作るのか、楽しみにしておりました。

──米津さん、大変だったと言われてましたけど、それはどんなところが?

米津 実際、Vocaloidを抜きにすると、自分が人に歌ってもらうための曲を作ること自体あまりやったことがないので。今まではただひたすら自分のために音楽を作っていればそれでよかったので、すごく楽だったんです。でも今回は、自分とは違う声や視点を持った人間が自分の曲を歌うわけで。そこにどう折り合いを付ければいいのか、まずはそれを探していくのがすごく難しかったです。当然声の高さも違うから、自分の気持ちいいキーで曲を作ってもいけないし。声質も違うから、ああいう声に映えるためには一体どうしたらいいのかとか、ぐるぐる考えて。

今回の曲は「ナツい! 入道雲!」(DAOKO)

──曲のテーマのようなところではどうでしょう?

米津 映画の主題歌は映画館でたくさんの人に聴かれるもので、そのためにはそのための強度を持った音楽にする必要がある。だから独りよがりなもの、限定的なものにはしたくなかったんです。そこから「普遍的なものってなんだろう?」「夏の切なさの正体って一体なんだろう?」と考えて。DAOKOちゃんの曲を何度も聴いたりしながら、いろんな要素がある中の一番奥はどこなんだろうって考えて。「なんか違う」ってスクラップにするのを何回も繰り返しながら、ようやく辿り着いた感じですね。めちゃくちゃ時間かかりました。

──DAOKOさんは、米津さんが作った楽曲を最初に聴いたときの印象はどうでしたか?

DAOKO いろんなリファレンスがあったけど、ちゃんと米津さんの曲になってるし、かつ、どの曲よりもいいなと思いました。あとは「ナツい!」って(笑)。

──夏の感じはすごくありますよね。

DAOKO

DAOKO すごい夏ですよね!(笑) 「入道雲!」って感じ。

米津 夏ですよね。ポップなものになったと思います。

──DAOKOさんはどんなことを心がけて歌いましたか?

DAOKO 私は作品に寄り添おうと思って。(劇中の登場人物の)なずなさんの気持ちになって、なずなさんが見てる情景を思い浮かべながら歌いました。今回、“歌”という要素で自分を伝えるので、曲をどう伝えるかとかは逆に考えないほうが作品にとっていいと思ったんです。

米津 それがすごくよかったと思いますね。いい意味でまっさらな声が乗っかることによって、より切ない感じになった。青春って、中にいる人が気付かないから青春だと思うんですよね。傍から見るとキラキラしてるけど、中にいる人たちは自分たちがキラキラしてるなんて思ってない。だから、この曲が作られた意図とかを100%理解して歌うより、そういうのを全然考えずに歌ったほうが切ないものになる。叙情的じゃないほうが叙情的になるというか。そういう感じがある曲だなと思っていて、それを説明したらちゃんとやってくれたな、と。

DAOKO 私もデモ段階ではわりと情緒的に歌ってたんですけど、「淡々と歌ったほうがいいんじゃないか」ということになって。その中にも押し寄せる波みたいなものを表現しなきゃいけないので、そこは難しかったんですけど。歌い上げるというより、淡々とした凪みたいな感じで歌ったことによって、すごく切ない曲になったんじゃないかなと思います。

DAOKO「打上花火」
2017年8月16日発売 / TOY'S FACTORY
DAOKO「打上花火」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / TFCC-89631

Amazon.co.jp

©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
DAOKO「打上花火」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / TFCC-89632

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iTunes

CD収録曲
  1. 打上花火 / DAOKO×米津玄師
  2. Forever Friends / DAOKO
  3. Cinderella step / DAOKO ※通常盤のみ収録
初回限定盤DVD収録内容
  • DAOKO 2016 “青色主義” TOUR at 赤坂BLITZ 2016.09.22 ライブ映像
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
2017年8月18日(金) 全国東宝系ロードショー
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」
ストーリー

夏休み、とある海辺の町。 クラスのアイドル的存在・なずなに花火大会に誘われる典道。 なずなは母親の再婚のために2学期から転校しなければならなかった。

「かけおち、しよ」 なずなは典道を誘い、町から逃げ出そうとするのだが、母親に連れ戻されてしまう。それを見ているだけで助けられなかった典道。

「もしも、あのとき俺が……」

なずなを救えなかった典道は、もどかしさからなずなが海で拾った不思議な玉を投げつける。 すると、いつのまにか、連れ戻される前まで時間が巻き戻されていた……。 何度も繰り返される一日の果てに、なずなと典道がたどり着く運命は?

スタッフ

原作:岩井俊二
脚本:大根仁
総監督:新房昭之
監督:武内宣之
キャラクターデザイン:渡辺明夫
音楽:神前暁
主題歌:「打上花火」DAOKO×米津玄師(TOY’S FACTORY)
アニメーション制作:シャフト
配給:東宝

キャスト

広瀬すず / 菅田将暉 / 宮野真守 / 浅沼晋太郎 / 豊永利行 / 梶裕貴 / 三木眞一郎 / 花澤香菜 / 櫻井孝宏 / 根谷美智子 / 飛田展男 / 宮本充 / 立木文彦 / 松たか子

©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
DAOKO(ダヲコ)
1997年生まれ、東京出身の女性ラップシンガー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月にはTOY'S FACTORYよりアルバム「DAOKO」にて高校生にしてメジャーデビュー。それまで顔を隠して活動していたが、10月にシングル「ShibuyaK / さみしいかみさま」発売のタイミングで顔を公開した。2016年4月にTeddyLoidとのタッグで学校法人・専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)の2016年度テレビCMソングを担当。同曲も収めたトリプルA面シングル「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」を9月にリリースした。2017年2月より初の対バンツアー「“青色時代” TOUR」を開催。8月に映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の主題歌を含むニューシングル「打上花火」をリリースする。
米津玄師(ヨネヅケンシ)
男性シンガーソングライター。2009年より「ハチ」という名義でニコニコ動画にVocaloid楽曲を投稿し、総合2位の「マトリョシカ」をはじめ数々のヒット曲を連作。2012年5月に本名の米津玄師として初のアルバム「diorama」を発表した。2013年5月、シングル「サンタマリア」でメジャーデビュー。2014年4月に米津玄師名義としては2枚目のアルバム「YANKEE」を発表し、6月には初ライブのワンマン公演を東京・UNITで開催した。2015年8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」で野外フェス初出演を果たす。2016年にはルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」の公式イメージソングとして、新曲「ナンバーナイン」を書き下ろし、同年9月に両A面シングルとして「LOSER / ナンバーナイン」をリリース。10月には中田ヤスタカとタッグを組み、映画「何者」の主題歌「NANIMONO (feat. 米津玄師)」を発表。2017年6月にはテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」オープニングテーマを表題曲とする「ピースサイン」を発表した。DAOKOのニューシングル「打上花火」で表題曲の作詞作曲とプロデュースを手がけたほか、初音ミク「マジカルミライ2017」テーマソングとしてハチ名義の新曲「砂の惑星」を発表。11月からは全国各地を回るワンマンツアー「米津玄師 2017 TOUR / Fogbound」を開催する。