音楽ナタリー PowerPush - DAOKO×☆Taku Takahashi(m-flo)

若い才能をフックアップしたメジャーシーンの先輩と対談

2013年、16歳のときにm-floのフィーチャリングゲストに起用され、映画「鷹の爪GO~美しきエリエール消臭プラス~」の主題歌「IRONY」を彼らと共に制作したDAOKO。それを機に女子高生ラッパーとしてさらなる注目を浴びた彼女が、この春、ついにメジャーデビューを果たした。今回はそんなターニングポイントでコラボしたm-floの☆Taku Takahashiとの対談をセッティング。☆Takuが感じるDAOKOの魅力やメジャーデビューアルバム「DAOKO」の制作秘話、さらに実験性の高い作品を作り続ける2人が考えるJ-POPのあり方まで、たっぷり語ってもらった。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 佐藤類

 
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即座に断られると思っていたコラボ

──☆TakuさんがDAOKOさんの存在を知ったキッカケから教えてください。

左からDAOKO、☆Taku Takahashi。

☆Taku Takahashi 佐藤大さんに教えてもらいました。佐藤さんとはblock.fmの番組(「don't_blink」)をやってるんですが、「今、DAOKO(当時は小文字のdaoko)ちゃんがすごく面白くて」と言ってて。

──実際に会ったのは「IRONY」の制作のときですか?

☆Taku そうです。「鷹の爪」の主題歌をm-floで作ってほしいと頼まれたときに、FROGMANさんから「気持ちいい感じがありつつもちょっと毒気が欲しい」と言われて。「僕、すごくいいボーカリストを知ってるんです。DAOKOちゃんっていうんですけど」って曲を聴かせたらFROGMANさんも「ドンピシャですね」って。で、オファーしたら、やりますよって言ってくれて。完全に詞の世界とかイッちゃってるから最初は即座に断られるかなと思ってたんだけど(笑)。

DAOKO 当時は映画とかそんな大きな案件をやったことがなかったし、ましてや初めてのコラボがm-floさんということで、ネルさん(Paranel / LOW HIGH WHO?主宰者)とキャッキャしてたのを覚えてますね。「これ、ヤバイよー」みたいな(笑)。

──DAOKOさんを起用した具体的な決め手は?

☆Taku 今もそうなんだけど、日本のクリエイターの中で特殊な存在というか、気持ちよく気持ち悪いものを出してる人ってあまりいなかったから。DAOKOちゃんの曲って油断して聴いてると、人間のとんがった部分っていうか、いきなりグサッと刺さるようなフレーズが入ってたりするから、そういうところがいいなと。

──「IRONY」の制作はスムーズに進んだんですか?

☆Taku 確かそのタイミングで学校の試験があったんだよね?

DAOKO あったかも。「IRONY」の制作期間に入る前。1回目のミーティングのときはバタバタしてた気がします。試験期間の2週間前とかはなるべくライブも入れないようにしたり、音楽をやらないようにしていて。

☆Taku だから、試験が終わってから作業に入ってもらったんだよね。で、書いてくれた曲を聴いたら「バッチリじゃん」と思って。

DAOKO 最初にもらったトラックはビートが入ってなくて。初めはリズムに乗れなくて、すごい泣きそうになったのを覚えてます。

☆Taku え、泣きそうになったの?

DAOKO 泣きそうになったというか泣きました。で、これだと乗りにくいのでちょっとアレンジしてもらえると、ってお願いして作り直してもらったらすごく乗れて。だから、正直に言ってみるもんだなって(笑)。

☆Taku あはは。言われればなんでもやりますよ(笑)。

僕には全然できない世界

──「IRONY」はDAOKOさんにとって初のメジャーリリース作品になりましたが、作っていてインディーズとメジャーの違いみたいなものも感じましたか?

DAOKO ずっと宅録でやっていたので、ちゃんとしたスタジオで録音するのは初めてで。緊張でドキドキしてた記憶があるし、できあがったものの音質を(宅録作品と)聴き比べたときはすごい感動しました。5.1chで聴くなんて初めてだったし。

☆Taku 気持ちよかったよね、5.1ch。

DAOKO

DAOKO はい。スタジオでちゃんとしたスピーカーで聴かせてもらって、「やっぱり違うんだなあ」と思って。そこからちゃんとした環境で音楽制作をやりたいって思うようになったんですよね。家だとそんな高い機材を使ってるわけじゃないし、録れるレンジとかに限界があるから、より自分の声を生かせる環境で録って、ちゃんと音楽したいなって。

──☆Takuさんが感じているDAOKOさんの歌声やラップの魅力は?

☆Taku ラップと歌の両方ともすごく独特で、それが曲の中で混ざっていても気持ちいいっていうところ。声質や唱法は簡単に言っちゃうとウィスパーなんだけど、ウィスパーのひと言で片付けられないんだよね。感情がないようでいて、グッと入ることもあるし、そのときドキッとさせられる。逆の言い方をすると、生々しいことを言ってもすらっと聞ける。すごくミステリアスな部分もあるし、当時僕の好きなクリエイターたちはみんな「DAOKOちゃん、DAOKOちゃん」って言ってて、誰が最初にDAOKOちゃんと仕事をするか、みたいなことになってたんですよ。

──☆Takuさんの「DAOKO」を聴いた感想は?

☆Taku すごくいいアルバムだし、カバー(tofubeats「水星」)もいいポイントを突いてるなって。カバーと言いながら自分のリリックに変えて、リメイクなんじゃないかっていうくらい自分色に染めているところもよかったし。

──アルバムの中で特に耳が留まった曲は?

☆Taku やっぱりトーフ(tofubeats)くんの曲。「水星」のカバーはいろんなものが出てるけど、DAOKOちゃんのはすごくしっくりきました。あとは4曲目の「ゆめうつつ」。その2曲はiPhoneでよく聴いてる。

──「ゆめうつつ」はかなり展開が激しい曲ですが、例えば自分には作れない世界だなと思ったりします?

☆Taku もう全然できないできない。僕にはムリムリ。

DAOKO 私はけっこうああいう感じのトラックが好きなんですよ。あれはきくおさんのトラックで、もともと私はきくおさんのファンだったんです。私がニコニコ動画を見てた頃にハマってたボカロPがきくおさんだったから、それだけでテンションが上がっていて。リリックもけっこう実体験にもとづいたものだから、私の世界観はよく出てると思ってるんです。

DAOKO メジャー1stアルバム「DAOKO」2015年3月25日発売 / TOY'S FACTORY
初回限定盤 [CD2枚組] 2500円 / TFCC-86507 / Amazon.co.jp
通常盤 [CD] 2000円 / TFCC-86508 / Amazon.co.jp
収録曲
  1. 水星
  2. かけてあげる
  3. 一番星
  4. ゆめうつつ
  5. 流星都市
  6. ぼく
  7. きみ
  8. ミュージック
  9. JK
  10. ないものねだり
  11. 高い壁には幾千のドア
初回限定盤 INDIES BEST盤 収録曲
  1. ME!ME!ME! feat. daoko_pt.1 / TeddyLoid
  2. BOY
  3. キラキラ
  4. Fog(new mix)
  5. 試験一週間前
  6. 脳内 DISCO
  7. Mind Surf feat. daoko / ★ STAR GUiTAR
  8. 戯言スピーカーRap.ver
  9. 放課後校庭にて feat. daoko / COASARU
  10. 夕暮れパラレリズムfeat. daoko / ESNO
  11. IRONY / m-flo + daoko
  12. そつぎょう
DAOKO(ダヲコ)

DAOKO1997年生まれ、東京出身の女性ラッパー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年にLOW HIGH WHO? PRODUCTIONから1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年2月にはインディーズ最後と銘打ったアルバム「Dimension」を発表し、同年3月にTOY'S FACTORYからメジャーデビューアルバム「DAOKO」をリリースした。

☆Taku Takahashi(タクタカハシ)

☆Taku TakahashiDJ、プロデューサー。1998年にVERBALとm-floを結成。ソロとしても国内外アーティストのプロデュースやリミックス制作を行う。「Incoming... TAKU Remix」でbeatportの音楽賞「beatport MUSIC AWARDS 2011 TOP TRACKS」を日本人として初めて獲得し、その実力を証明。2010年にはアニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」のサウンドトラックも監修する。国内外のDJが最先端の音と情報を発信するインターネットラジオ「block.fm」を2011年に設立。2014年12月にはフジテレビ系ドラマ「信長協奏曲」の音楽を手がけ、オリジナルサウンドトラックもプロデュースした。