練習した分だけ思い描いた自分に近付ける

──Cyntiaの演奏を聴いていると、楽器の鍛錬にも相当時間を使ってると思うんですがいかがでしょう？

KANOKO（Dr）　そうですね。ドラムに向き合うことが大事だと思っていて、スタジオに入って1日中出てこないこともあります。

AZU　KANAKOは地下のスタジオに入ったら、全然連絡取れなくなります。

AYANO　YUIは食事のときもギターを弾いてたりするんですよ。「こうやって時間を上手く使ってるんだな」って感心しました（笑）。

AZU　それは個々人だけじゃなくて、バンドとしても同じですけどね。

──そうですよね。多くの時間とパワーをバンドに注ぎ込んでいるわけで。

YUI　それを続けていくことで、思い描いた自分たちに近付いていくっていう。その原動力って、Cyntiaの音楽を聴いてくれる人に「明日もあさっても自分らしくがんばっていきたい」って思ってほしいからなんですよね。そのためにはやっぱり、私たちも自分らしくいることが一番なのかなと思っていて。

──ということは、皆さんは音楽の道で幸せにならないと意味がないわけですよね。

SAKI　そうなんです。だから私、メンバー全員を幸せにしたいんですよ。メンバーだけじゃなくて、ウチのバンドに関わってくれた人をみんな幸せにしたい。こうやって取材してもらった方にも「あのときにCyntiaを取材できてよかった」と思ってほしいし、レコード会社の皆さんが「俺、Cyntiaを担当してるんだよ」って自慢しながら女の子をハベらせられるくらいの存在になりたいなって（笑）。目標は花咲かじいさんみたいなバンドですね！

「なにくそこの野郎」の精神

──女性バンドの代表としてがんばりたいという思いもあります？

SAKI　そうですね。ただ、今回「WOMAN」というアルバムを出させてもらいますけど、世間一般には“ガールズバンド”と呼ばれてるという矛盾もあるんですけどね。「Lady Made」のときも同じことを感じてたんですよ、実は。

──“Lady”って言ってるのに“ガールズバンド”って呼ばれるっていう。

SAKI　はい。年齢は公表してないんですが、「もう“ガールズ”じゃないしな」っていう後ろめたさもあったり（笑）。まあ、ほかに呼び方もないんでしょうけど。

──ガールズバンドという呼称自体がイヤというわけではないんですか？ 女性バンドの中には「ガールズバンドという言い方はおかしい。男のバンドをわざわざ“ボーイズバンド”とは呼ばないわけだから」と主張する方もいらっしゃいますが……。

AZU　あ、それはわかるかも。ガールズバンドというだけで舐められることもけっこうあったので。「ちゃんと弾いてるの？」とか「ホントに自分たちで曲を書いてるの？」とか。

SAKI　そうだね。

AZU　バンドって、自分たちで曲を作って、それをライブで演奏するのが当たり前じゃないですか。ガールズバンドというだけで「ホントにやってるの？」って思われるのは悲しいなって。

SAKI　私はそこまでネガティブに捉えてなくて、ジェネリック薬品みたいなものだと思ってるんですけどね。

──呼び方がちょっと違うだけで中身は同じっていうこと？

SAKI　そうそう（笑）。ガールズバンドって書いてあれば「女の子だけのバンドなんだな」ってわかってもらえるし。ただ、“舐められる理論”もすごくわかりますけどね。インディーズの頃なんて、対バンの男性のバンドやライブハウスのPAさんにあからさまに舐められることもあったから。そういうときにYUIが「音で黙らせればいいから」って言ったのが忘れられないんですよね。「カッコいい！ この人についていこう」と思った……というエピソードです（笑）。

YUI　（笑）。

AZU　でも、そうなるよね。

──音楽で証明するしかないですからね。

AZU　けなされた分だけがんばれるっていうのはありますからね。私だけかもしれないけど。

AYANO　それは全員じゃない？

SAKI　「なにくそこの野郎」っていう気持ちはありますよ。