CHiCO with HoneyWorks「iは自由で、縛れない。」特集|CHiCO単独インタビューで探るチコハニの進化と美学 (2/2)

いちファンとして安心した、加恋とアリサの新たな物語

──6曲目の「ハートの誓い」は、ファン待望のシリーズ楽曲になりますね。

はい。「ハートの主張」(2015年リリースの1stアルバム「世界はiに満ちている」収録)、「乙女どもよ。」(2019年リリースの11thシングル)に続く、加恋とアリサの物語を描いた楽曲の第3弾になります。日々、生活をしていると大なり小なりいろんな後悔があるし、それを一生抱えていくと思い込んでいる人もきっと多いと思うんです。でも、この曲の加恋ちゃんのように、自ら一歩を踏み出すことで後悔を解消することもできるんだよということを感じてもらいたかったので、思いを込めて歌いましたね。

CHiCO with HoneyWorks

──この曲のようにすれ違いから友情が壊れてしまった経験って実際にあります?

あります! 高校時代、友達とすれ違った経験があって。結果としては友達のほうから「ごめんね」と伝えてくれたことで仲直りできて、今も仲良しなんですけど。もし友達からアプローチがなかったら、たぶん関係が途絶えてしまっていたと思います。私は「もうしょうがないか……」とあきらめていた側だったので。実際にそういう経験があったからこそ、加恋ちゃんとアリサちゃんがこの曲でまた友達に戻れたことはものすごくうれしかったですね。いちファンとしても安心しました(笑)。

──レコーディングでは歌にどんな思いを込めましたか?

加恋ちゃんにグッと感情移入して歌っていきました。この曲を作ってくださったshitoさんはニュアンスや感情を大事にしたディレクションが多いんです。ブロックごと、さら言えば1行ごとに違った感情を求められることも多いので、ニュアンスを細かく変えながらのレコーディングでしたね。頭の3行はボソボソと心の中の思いを歌い、次の2行では苦しい感情を声に乗せ、ラストの1行は悲しさと同時にうれしさも込めた温かい声色で、みたいな感じで本当に細かく。

──今回、アルバムの初回生産限定盤には「ハートの誓い」をモチーフにしたライトノベルも付属されるそうですね。

そうなんですよ! ストーリーをより細かく感じることができるライトノベルになっています。チコハニのアルバムにはいつもライトノベルが付属されているのですが、今回のライトノベルもファンの皆さんがものすごく楽しみにしてくれていますね。楽曲と小説、さらにイラストで描かれているMVを通して、加恋ちゃんとアリサちゃんの友情物語をぜひ楽しんでほしいです。私も今回のMVを初めて観たときは、2人の思いが胸に刺さって思わず泣きそうになっちゃいましたから(笑)。

「こういう曲を今のCHiCOに歌ってほしかった」

──10曲目、11曲目には「きっと別れるよ」「あなたは恋をしてない」という新曲が連続で収録されています。どちらもラブソングではありますが、その内容はチコハニ的にかなり斬新なものとなっています。

すごい内容の曲だなと思って、私もびっくりでした(笑)。どちらもちょっと年齢が上の世代の方に響くような、リアリティにあふれるストーリーになっていて。デビューから8年が経ち、年齢を重ねた今の自分だからこそ歌えた楽曲かなと思います。ハニワの皆さんも、「こういう曲を今のCHiCOに歌ってほしかった」と言ってくださいました。チコハニは学生のファンが多いので、「果たしてどう受け取ってもらえるんだろうか」という思いもありましたけど、けっこう共感してくれてる女の子が多かったりもして。「そっか、チコハニとして8年経ったってことは、みんなもその分、年齢を重ねてるんだもんね」って、ちょっと納得もしたんですけど(笑)。

──「きっと別れるよ」は、元カレの動向をSNSで知ってしまい、気持ちが揺れ動く女の子の曲です。

この曲は、以前にチコハニのライブでマニピュレーターをしてくれていたKaoruくんが作ってくれました。彼がマニピュレーターを卒業して、客席でチコハニのライブを観たときに、J-POPらしいシンプルな曲を作ってみたいと思ってくれたらしくて。CHiCOのシンガーとしての力量が見える曲というイメージもあったみたいです。歌詞に関しては、確かに女子に限らずこの曲のようにSNSで相手の動向を調べてしまう人は少なからずいるなと、すごくリアルに感じました。

──この曲は歌い方によっては怖い曲にもなりかねないですよね。

そうですよね(笑)。ニュアンスはハニワの皆さんとコミュニケーションを取りながらいろいろ探っていきました。バシッと言い切るところもあれば、明るい声色で歌うところもあり、ちょっとあざ笑うじゃないけど、そんなニュアンスを出すところもあったり。唯一、主人公の女の子の素が出ているDメロの部分は、ちょっと感情的に歌うようにしましたね。自分は別れた相手に対してこの曲のような感情を抱くことはないので(笑)、自分とは真逆なキャラクターを演じる気持ちでした。

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ピュアさを大事に……“チコハニCHiCO”としてのルールとは

──続く「あなたは恋をしてない」はさらに波紋を呼びそうな(笑)、都合のいい関係に戸惑う女性の歌ですね。

友達以上恋人未満な関係ですよね。これも歌い方はかなり悩みました。全体的に暗い曲ではあるので、低いトーンの声色で歌いつつ、頭の平メロは無機質でボソボソした歌い方を意識して、でもサビはガッと感情豊かに悲しみを表現していくという。そういった抑揚を付けた表現を大事にしていきました。

──この子の気持ちはかなり揺れ動いていますよね。今の状況から脱したいけど、彼との関係を壊したくない気持ちもあるっていう。

そうですね。「帰り道に泣きじゃくった」というフレーズがもう悲しすぎて。ドラマのワンシーンを観てるような感覚にもなったので、そこはボーカル面でもかなり感情的になりましたね。「はあ、全然振り向いてくれないじゃん……」みたいな気持ちで。

──かなり大人っぽい内容ではありますが、歌詞の中には「テスト期間」という学生を想起させるフレーズが出てきたりもしますよね。

それ、私も思ったんです! 私の中にはチコハニが歌う曲としての理想像みたいなのものがあって。だから自分の中でそこがブレないように制作中に相手の男性の設定を確認したんです。結果としては特に具体的な設定はしていなかったようで、そこは受け取る方にお任せして思い描いてもらうという事になりました。私的には大学生の女の子と、仕事をしているお兄さんという設定を頭に思い描いて歌いました。

──チコハニが築いてきた世界観を守ろうとするCHiCOさんの気持ちは素晴らしいですよね。

仮に細かな設定があったとしてもCHiCOのソロであれば等身大の自分として歌えるからいいんですけど、CHiCO with HoneyWorksとして歌うのであれば、やっぱりいい意味でのピュアさは大事にしたいと思っているんです。それは活動を続けていく中で徐々に固まってきた私の中の理想。今までいろんな形で夢を与えてきたのに、ここにきて急にビックリするような現実を見せるのはどうなんでしょう、みたいな。

──なるほど。

もちろん、聴く方がどんな想像をするのかは自由でいいんです。でも私の中ではそこをちゃんと守っていくべきだって、心がけています。今回、そういう部分でハニワとやりとりができたという意味でも、なかなか面白い曲になったなって思います。

──もう1曲の新録は、ハニワがサウンドプロデュースを手がけるアイドルグループ・可憐なアイボリーの「ハンコウ予告」のカバーですね。

「ハンコウ予告」は、「どっちにつくか決めなよ」「どうせ僕のこと好きになるんだし」っていう自信にあふれた強気な歌詞を、とてもかわいらしい少女の雰囲気で歌っているというギャップにやられた曲だったんです。なので、いつか歌ってみたいなとずっと思っていて。今回カバーさせていただくにあたって、最初はカレアイさんの歌い方をなぞっていこうと思っていたんです。ただ、それだと私が歌う意味がないと思ったのでガラッと雰囲気を変えて、ゴリゴリにカッコよく、ちょっとお姉さんっぽい雰囲気を意識してレコーディングに臨みました。等身大のCHiCOが出ているカバー、自分でもすごく気に入ってますね。

──本作を引っさげて来年2月からは大阪、福岡、東京、愛知の4カ所を巡るツアー「CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2023『iは自由で、縛れない。』」が開催されますね。

ライブハウスでのライブは去年3月の「SPRiNG BEAT」ぶりなので、ホールとはまた違うお客さんとの距離感を思い切り楽しみたいですね。今回は1階はオールスタンディングだと思うので、ライブハウスならではのノリが出ると思います。アルバムの新曲たちもライブ用にしっかり仕上げて、ツアーを通して育てて上げていこうと思うので、ぜひ遊びに来てください!

ライブ情報

LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks Zepp tour 2023「iは自由で、縛れない。」

  • 2023年2月18日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2023年2月26日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2023年3月18日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2023年4月8日(土)愛知県 Zepp Nagoya

プロフィール

CHiCO with HoneyWorks(チコウィズハニーワークス)

ソニー・ミュージック主催のオーディション「ウタカツ!オーディション」にて第1回グランプリを受賞したCHiCOと、クリエイターチーム・HoneyWorksとのユニット。2014年8月に1stシングル「世界は恋に落ちている」でメジャーデビュー。2016年1月にCHiCO with HoneyWorksとして初のワンマンライブを東京・WWWで開催。その後も数々の人気アニメ作品とタイアップし、全国のティーンを中心に人気と支持を集める。2018年3月に初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催した。2022年10月に4thアルバム「iは自由で、縛れない。」を発表した。