ナタリー PowerPush - カラーボトル

僕らにあるのは雑草魂 震災を経て「COLOR BOTTLE」完成

レコーディングは“スタジオ作り”から

──演奏面では、今回新たな挑戦などありましたか?

渡辺 挑戦は……まずはスタジオから作ったところですね(笑)。

──え!?

大川 今回は大きく前半後半に分けてレコーディングしたんですけど、前半が群馬のスタジオで、後半は自分たちでスタジオから作っていったんです。

竹森 前作「情熱のうた」から一緒にやっているプロデューサーの赤堀さんという方がいるんですが、その方とチームでやっているエンジニアさんのスタジオがちょうど移転するというタイミングで。新たに建てるということで、それを僕らも手伝ったんです。

渡辺 最初はただの空間しかなくて、まず柱を建てて、壁を貼るところから始めました。

──職人みたいなことをしてたんですね(笑)。

インタビュー風景

大川 いろいろ教えてもらいながらやってたら結構詳しくなって、「これができたら家建てられるよ!」って言われました(笑)。

渡辺 でもその過程から手伝わせてもらったことで、こうすると音がこう響くとか、いろいろ学べたことはありましたね。たまに実験みたいなこともやらせてもらったし。例えばスピーカーから出た音を拾うマイクの種類や位置をあれこれ試したり、もっと緻密なところだと電源ケーブルまでこだわったり。

──それはとてもレアな経験でしたね。大川さんは?

大川 先程話に出たエンジニアの方が、元々ドラマーなんですよ。なので、わりと2人で作っていく感じでした。実際の作業としては、まず僕がどういう感じでやるのか1回演奏して、それを対するアドバイスをもらいながら。だからレッスンをしながらレコーディングをするみたいな、いつもとは違う面白い形で取り組めました。

竹森 ボーカルに関しても、今回は声にすごくこだわったんです。プロデューサーと楽器屋さんへ行って、試してみたいマイクを選ぶところから始めて。「これは声をダイレクトにそのまま出すから竹森くんの声に合ってるかもね」とか意見を聞きながら。あと、レコーディングのときによくマネージャーに聴いてもらって、それこそ口角の上がり具合ひとつにしても細かく相談したり。ここまで1曲1曲に対して声にこだわれたのは初めてなので、それも含めて、すごい自信作ができたなって思ってます。

他のバンドに負けないのは雑草魂

──ここまでのお話を聞いていると、今回の制作を通して改めて“カラーボトルの音楽”について考えたことも多かったのではないでしょうか。

竹森 そうですね。今回は“愛と希望と勇気”を届けたいという思いでアルバム作りがスタートして……それってすごく大きなことだし、くさい言葉だけど、それをまっすぐ投げていくのがカラーボトルだなと再認識しました。だからそこはもう、照れず、迷わずに届けていきたい。2012年以降、カラーボトルは暑苦しくいきますよ(笑)。

──過去の話で恐縮ですが、実は以前、方向性に迷っていた時期もあるとか……。

竹森 はい。ディレクターが変わって曲の作り方が変わったり、何を目指せばいいのか僕自身も迷ってしまったりで、ゴールがわからずにバンドの方向性自体がブレてしまっていた時期はありましたね。

──あけすけな話、売上やビジネスとの葛藤もあったり?

竹森 うん、その時期は「これで売れないのが最悪だよね」ってメンバーとも話してました。でも、それはそれで当時のベストを尽くしてたし、今までいろいろな失恋ソングを歌ってきたからこそさっきの「残心」のような曲に行き着いたのもあると思ってて。カラーボトルは……本当に紆余曲折をいっぱい経た、山あり谷ありのバンドなんですよ。それはこの1枚を聴いてもらえればわかると思う。

──ええ。本当にそうだと思います。

竹森 それに僕は、そうやって迷ったことが逆に良かったなとも今は思ってて。だからこそ雑草魂というか、もう1回自分たちの情熱を燃やして作るんだって思ってこのアルバムを作り上げたからこそ、同じ地元の人たちに勇気を届けられるものになったのかなと思うし。僕たちがほかのバンドに負けないものっていったら、その雑草魂なんじゃないかと思うんです。

渡辺 そうだね。僕もそういうことが見えて、より方向性がシンプルになっていったなって今は感じてて。ストレートに、あとはド直球を磨いていくだけなのかなって気はしてます。

一緒に熱くなろうぜ!

──ところで、今回アルバムタイトルを初のバンド名にしたのも、そうして自分たちの音楽がよりクリアになったという自信から?

竹森 そうですね。本当に自分たちがやりたい音楽、これは自分たちが届けなくてはいけないメッセージだっていうものが込められたと思います。これを聴いてもらえれば、3人体制になったカラーボトルが、また新たに突き進んでいく姿を感じてもらえるんじゃいかな。

──皆さんの表情や言葉から、今のカラーボトルがバンドとしてかなりいい状態だということが伝わってきます! ということは、3月10日から始まるワンマンライブツアーにも期待できそうですね。

竹森 ツアータイトルの「トライアゲイン ~何度でも熱くなれ!~」っていうのは、アルバムの中の1曲から取ったんですが、この曲は行動することや挑戦することの大切さを歌っていて。1本1本のライブも、そういう思いが伝わるような、一緒に熱くなろうぜ!っていうステージにしたいですね。

大川 東京公演の会場は、今回で4度目になるLIQUIDROOM ebisuなんですけど、今年はそこを超えていきたいなと思っていて。より多くの人に聴いてもらいたいという思いは常にあるので、どんどん次のステップに行けるように、自分たちとしても挑戦し続けていきたいですね。

渡辺 僕は毎回毎回、そこでしかないライブをやりたいと思ってて。あっちの公演にも行っておけば良かった!ってお客さんが後悔しちゃうくらいのいいライブを、全力でやっていきたいです。

インタビュー風景

ニューアルバム「COLOR BOTTLE」 / 2011年2月8日発売 / 2800円(税込) / Dreamusic / MUCD-1259

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CD収録曲
  1. SHOW
  2. アゲハ蝶
  3. トライアゲイン~何度でも熱くなれ~
  4. オリオン
  5. ルララ
  6. 愛こそが全て
  7. 残心
  8. もう一度、君に会いたい
  9. 雪の日に
  10. 18才
  11. ひまわり
  12. 旅に出よう
カラーボトル

2004年1月、仙台にて結成。同年12月にバンドオーディション全国大会に北海道・東北代表として出場し、準グランプリを獲得する。2007年6月に「彩色メモリー」でメジャーデビュー。2011年2月、自らのレーベル「SUPER SOUL COMPANY」を発足し、ミニアルバム「情熱のうた」をリリース。表題曲である「情熱のうた」はbjリーグ復興支援ゲームのテーマソングに。同アルバムの収録曲「走る人」は味の素(R)TV-CFソングに現在も使用されている。ボーカル竹森マサユキの絞り出すような歌声が、多くのロックファンの支持を受けている。2012年2月にはセルフタイトルアルバム「COLOR BOTTLE」を発表。東日本大震災を経て得た経験と、音楽への思いが詰まった作品に仕上がっている。