ちゃんとやらないと自分が許せない
──ここなつのお二人がライブに出演したのは、2017年11月に東京・チームスマイル・豊洲PITで行われたライブイベント「EDP×SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM 2017 私立ボルテ学園 アルティメットガクエンサイ!」が最初ですよね?(参照:EDP×ボルテのアルティメット学園祭にビートまりお、ここなつら登場)
小澤亜李 はい。最初に「ここなつでライブをやってみませんか?」というお話をいただいたときは、正直前向きではなかったんです。というのも、ここなつはすでにキャラクターとして完成されているものだと思っていたし、私自身が前に出てコンテンツを盛り上げるのはちょっと違うのかなって。でもいろいろお話を伺っているうちに、ここなつと関係が深いゲーム「SOUND VOLTEX」のイベントであることとか、ライブをきっかけにここなつを知ってくれる人がいるかもしれないとか、いろいろ考えて、やってみてもいいかもって思うようになったんです。
日南結里 ここなつは“パーフェクトなアイドルユニット”というキャラクター設定だから、私たちの力量が及ばないんじゃないかっていうのがまず心配で(笑)。もし「EDP」でうまくいかなかったらTOMOSUKE(Web連動型音楽配信企画「ひなビタ♪」の企画、原案、音楽監修を担当するクリエイター)さんからワンマンライブの許可が下りなかったと思うんです。
──イベント出演で手応えがあったからこそ、ワンマンライブの開催が決まったんだと思います。
小澤 でもワンマンライブのお話を聞いて、最初は全然想像ができなかったんです。イベント出演で5曲しか披露したことがない2人が、いきなり15曲以上歌うなんて。しかも昼夜2公演(笑)。
日南 ね。最初に当日の流れを資料としていただいたとき、衣装チェンジとかステージ転換とかがいろいろありすぎて追い切れなかったもん。「今、どこの話してるんだろう」ってなってた(笑)。
──パフォーマンス面での心配はありましたか? レコーディングですでに歌ったことがある曲とはいえ、振り付けはライブに向けて初めて作られたわけですよね。
小澤 私はすごく苦労したんですけど、ゆりちゃんは余裕な感じで踊ってて。
日南 え、そんなことないよ!
小澤 すんなり踊ってる感じがして、すごかった。
日南 家にいるときはずっとここなつのことを考えて、振り付けの練習してたんです。特に最初の3曲で一気に盛り上げるセットリストだったから、「ポメグラネイト」「Finally Dive」「さよならトリップ」の振り付けは苦労しました。
小澤 私は、いろんなライブの出演時期と重なっておりまして……。
日南 亜李ちゃんは大変だったよね。
小澤 もちろんどのライブも大事なんですけど、とにかくちゃんとやらないと自分が許せなくて。普段だったら1つのライブに集中して、同時進行で振り付けの練習をしないようにしてるんですけど、ここなつの練習だけはいろんなものと並行して取り組んだんです。どれだけ体になじませられるかが勝負だと思ってました。
一体感が増した夜公演
──ワンマンライブをするに当たって「ひなビタ♪」プロジェクトを監修しているTOMOSUKEさんとはどんなお話をしたんですか?
日南 最初は「ワンマンやれる?」っていう意思確認からでした。もちろん私たちの覚悟を聞くための質問だったと思うんですけど、私はその言葉にTOMOSUKEさん自身の覚悟も感じていて、「できません」とは言えないなと。
小澤 でも「やる」と決まってからは、わりとこちらからいろんなお願いをした感じなんです。「カッコいいパート、かわいいパートで分けたい」とか、「こういう衣装を増やしてほしい」とか、リクエストさせていただいた内容がしっかり反映されてまして。TOMOSUKEさんにはわがままを聞いてもらいました。
──実際にライブを観させていただいて、なによりお客さんがここなつのワンマンを待ち望んでいたことを感じました。
日南 私たちも驚きました。すさまじい盛り上がりでしたよね。
小澤 それに夜公演になったらお客さんのコールとかが進化してたんですよ!みんなで一斉にコールをしてくれたり、一緒に歌ってくれたり。昼公演の盛り上がりもすごかったけど、夜公演は一体感が増してたよね。
「命令をしなさい。命令を」
──ライブのMCではお二人が夏陽と心菜として話すタイミングと、“中の人”として話すタイミングがありました。お二人はどういう意識でステージに立っていたんでしょうか?
小澤 歌っている時間は常にここなつでいたいなって思ってました。自分の体を使ってはいるんですけど、なるべくここなつの2人を皆さんに生で感じてもらうことが、ここなつのワンマンライブとしての正解だと思っていたので。
日南 TOMOSUKEさんとも「声優のライブにはしたくない」と話していたんです。基本的には夏陽としてステージに立ちたかったんですけど、やっぱり自分の話もちゃんとみんなに聞いてもらいたかった。だからMCは2人で構成をけっこう考えたんです。キャラクターのセリフなどは全部自分たちで考えてるんですよ。
──ここなつのキャラクター性に関する部分は、お二人に任されているんですね。
小澤 そうなんです。でもMCはワンマンライブができたことの喜びを伝えて、みんなの表情を見て話せばいいのでそこまで難しくなくて。
日南 1つ苦労したのはお客さんを煽るときに「夏陽だったらもっとドSな感じだよね」って、亜李ちゃんやTOMOSUKEさんに言われて……。私の性格的なところにドSの要素があまりないこともあって、いろんなライブ映像とかを見て勉強しました。役者としてドSを演じることはできるんですけど、歌っているときは役を演じるのとはまたちょっと違うんですよね。
小澤 だって、最初の頃は敬語で煽ってたんですよ。
日南 やめて、恥ずかしい(笑)。
小澤 「命令をしなさい。命令を」ってアドバイスしてました。
日南 やっぱりライブにはレコーディングとは違う難しさがありました。
小澤 研究の結果はBlu-rayで確認できるのでぜひ注目してください。いろんな言葉で煽ってくれてるので。