- パーソナリティ
- ピエール中野
「Coming Next Artists」第28回に登場するのは、昨年YouTubeで公開された「たばこ」のミュージックビデオが860万再生を突破しているコレサワ。彼女は先日“CD付きぬいぐるみ”という異色のアイテムを新作としてリリースし、そのCDに収録された「君とぬいぐるみ」も大きな反響を呼んでいる。今回は凛として時雨のピエール中野が聞き手を務め、クマのぬいぐるみの奥に秘められた彼女の素顔に迫った。
取材 / ピエール中野(凛として時雨) 文 / 橋本尚平 撮影 / 小坂茂雄
- コレサワ
- 大阪出身の女性シンガーソングライター。日常の風景を独自の視点で切り取ったポップなナンバーを得意としている。またメディアに顔出しをせず、「れ子ちゃん」と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当する。2015年4月に、初の全国流通盤であるミニアルバム「君のバンド」を発表。8月にテレビ東京「廃墟の休日」エンディングテーマに使用された「シュシュ」を配信リリースした。12月には2ndミニアルバム「女子、ジョーキョー。」を発表。2016年9月に3rdミニアルバム「ジエイポップ」をリリースする。2017年2月のワンマンライブで日本クラウンからのメジャーデビューを発表し、8月にメジャー1stアルバム「コレカラー」をリリースした。2018年4月には、マスコットキャラクター「れ子ちゃん」と人気キャラクター「コントロールベア」のコラボによる“CD付きぬいぐるみ”を新作として発売。5月には、テレビ朝日マスコットキャラクター・ゴーちゃん。の長編アニメ「ゴーちゃん。~モコと氷の上の約束~」のエンディングテーマとして書き下ろされた「友達だからかな」を配信リリースする。
ゆっくり着実に階段を登って行きたい
──はじめましてなんですけど、「VIVA LA ROCK 2018」の出演日が凛として時雨と同じ日なんですよね。
そうなんですよね。ああいうメジャーなロックバンドがライブをするようなフェスに出るのは初めてなんです。だから「バンドの音楽を聴いてる人たちに私の音楽は聴いてもらえるのかな?」とか「どう聞こえるのかな?」っていうのがけっこう心配で。
──心配ないと思いますよ。僕はコレサワさんを知って「ミュージシャンとしての実力とプロモーションがこんなに合致してる人が存在するんだ」ってすごく感動したんです。すごいうまくいってるじゃないですか、いろんなことが。今の時代にそのバランスでやれてるミュージシャンってホントに少ないと思いますよ。
いやいや、そんなに売れてるわけじゃないので(笑)。好きなことはやらせてもらってるんですけど、前に進むスピードは遅いと思ってますね。ライブハウスのキャパがポンポン大きくなってるわけでもなく、ちょっとずつ地味にやってるし。
──言い換えれば、丁寧なやり方をしてるってことですよね。
そうとも言えますかね。「日本武道館に立ちたい」とか、絶対にやりたい箱はいっぱいあるんですけど、そこには着実に階段を登って行きたいんです。無理に向かって行ってコケちゃわないように、「ゆっくり着実に成長していきたい」っていうのは、私だけでなくスタッフも考えてくれてると思います。
このご時世、アーティストがわがままを言わないと何も進まない
──今回は新作としてぬいぐるみをリリースしたとのことで。
はい。もともと「コントロールベア」がずっと好きで、ぬいぐるみとかファイルとかグッズを集めたんです。それで「れ子ちゃん(コレサワのマスコットキャラクター)でいつかこれをやりたい」って言ってたら、「コントロールベア」を作ってるところにスタッフさんが掛け合ってくれて。
──Design Tshirts Store graniphが作ってるんでしたっけ?
そうです。このご時世、大人に「こういうのどう?」って考えてもらうんじゃなくて、アーティストがやりたいことをわがままに言わないと何も進まないと思うんです。だからたぶん、私にやりたいことがなくなったら終わると思う。やりたいことは常に持っておこうと心がけてます。
──このぬいぐるみ、作るの大変そうなわりに、値段安いですね。おそらく粗利はほとんどないのでは。
「2980円にしてください」って言ったらスタッフが頭を抱えてました。私は何も大変じゃないんですけど、大人の人はバタバタしてます(笑)。
──でもこういうアイテムってファンサービス的な意味合いもあるわけじゃないですか。
そうですね。もともとツアーグッズとして販売しようと思ってたんですけど、「新作としてぬいぐるみをリリース」って今まで誰もやってなさそうだし、どうせだったら面白いことをしたいなって。
──確かにぬいぐるみが本体でCDがおまけっていうのは聞いたことないですね。
ちっちゃいおもちゃにラムネが5粒くらい付いてるやつ、スーパーのお菓子売り場にあるじゃないですか。あの感覚ですね(笑)。
私の曲にはカップルが2人で聴けるものがあんまりないので
──その「君とぬいぐるみ」を聴いたんですが、今回は“リア充ソング”なんですか?
リア充の曲ですね。私は元カレに向けて歌ったり、失恋をテーマにしたりすることが多いって思われがちなんですけど。
──確かに「たばこ」のイメージでそう思われてるかもですね。
はい。ライブにカップルで来てくれるお客さんが徐々に増えてきたんですけど、私の曲にはカップルが2人で聴けるものがあんまりないので、そういう曲を作りたいなと思って。ちょうどそのタイミングでぬいぐるみを作ることが決まったので、ぬいぐるみをテーマに曲を書くことにしたんです。この曲はたぶん、聴く人の経験や状況によって、男の子と女の子の関係が違って聞こえると思います。解釈を聴き手に任せる曲です。
──受け手に委ねる要素があるっていうのはいいですよね。
でも自分はもともと、その隙間を作る作業はあんまり重要視してなかったんですよ。「たばこ」も自分の中ではこんなに聴いてもらえる曲になるとは思ってなかったし。
──あ、意外だったんですか。
はい、めっちゃ意外でした。私の中では「お気に入りの自分の曲ランキング」で真ん中くらいに入ってる曲なので(笑)、それをいいって言ってみんなが聴いてくれてるのを見ると、「なんでこの曲ができたんや」って自分でも不思議で。
──「たばこ」はいろんな方が絶賛してますよね。(川谷)絵音(ゲスの極み乙女。、indigo la End)くんのカバーがすごくよくて。
はい、歌ってくれたんですよね。
──その動画がアップされてるYouTubeのコメント欄がめちゃめちゃ面白かったです(笑)。
そうなんですか?
──コメント欄を見ると、「すごく好きな歌を、大嫌いな人がすごくうまく歌ってる」ってことにみんなが葛藤してるんです(笑)。「どうしたらいいんだ……」みたいなことを書いてて、もう好きだって認めちゃえばいいのにっていう(笑)。
なるほど。
──YouTubeのコメント欄って、すごい面白いっすよ。Twitterも好きなんですけど、最近はYouTubeのコメント欄が面白い。ぜひこれをネタにした曲を書いてほしいです。
考えてみます(笑)。
次のページ »
嫉妬や怒りは脳を活性化させるらしい
- コレサワ「君とぬいぐるみ」
- 2018年4月4日配信開始
- 収録曲
-
- 君とぬいぐるみ
- コレサワ「友達だからかな」
- 2018年5月2日配信開始
-
- 収録曲
-
- 友達だからかな
※長編アニメ「ゴーちゃん。~モコと氷の上の約束~」エンディングテーマ曲
- 友達だからかな