「Coming Next Artists」#4 Bentham|“らしさ”詰め込んだ初のフルアルバム

須賀健太

パーソナリティ
須賀健太

「Coming Next Artists」第4回に登場するのは、7月26日に初のフルアルバム「Re: Wonder」をリリースしたBentham。4月にポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たし、9月から赤坂BLITZ公演をファイナルとした全国ツアーを行う彼らは、ロックバンドとして一歩ずつ成長を遂げている。今回のインタビュー企画では、ロック好きとして知られる俳優の須賀健太がパーソナリティを担当。全員が作曲を手がけ、年間100本以上のライブをこなすという4人に、アルバムへ込めた思いを聞いた。

取材 / 須賀健太 文 / 近藤隼人 撮影 / 西槇太一

Coming Next Artists #4

Bentham(ベンサム)
Bentham
2010年に結成された、小関竜矢(Vo, G) 、須田原生(G, Cho) 、辻怜次(B) 、鈴木敬(Dr, Cho)からなるロックバンド。2014年にKEYTALKのツアーのオープニングアクトに抜擢され注目を集めた。これまでにTGMX(FRONTIER BACKYARD)をプロデューサーに迎えて4枚のミニアルバムをリリースしており、2016年7月には全国10カ所を回る初のワンマンツアーを開催。ファイナル公演を東京・LIQUIDROOMで成功させた。2017年4月にポニーキャニオンよりシングル「激しい雨 / ファンファーレ」でメジャーデビュー。同年7月26日に初のフルアルバム「Re: Wonder」をリリースした。9月からは「Re: Wonder」を携えて全国ツアー「Re: Wonder TOUR 2017」を行う。

培ってきたものがまとまった、気合いの入った1枚

──1stフルアルバム「Re: Wonder」を聴かせていただいたんですけど、すごくライブを観に行きたくなりました。

Bentham ありがとうございます!

──キャッチーな曲が多くて、1曲目から引き込まれる感じがありました。今回どんな思いを込めてアルバムを作ったんですか?

Benthamと須賀健太。

小関竜矢(Vo, G) 初のフルアルバムということで、今作で僕らのことを知ってくれる人もいるだろうなと思って、特にテーマは決めずに今まで僕らがやってきたキャッチーな感じとか、「とにかくBenthamらしく」ということを意識しました。僕ら全員作曲するんですけど、今まで培ってきたものがいい感じにまとまった、気合いの入った1枚になりましたね。

──全メンバーが作曲をされるということですが、プロデューサーにあるとき突然「20曲書いてこい」と言われたことがあるとか。

須田原生(G, Cho) 僕らが初めて全国流通盤を出したとき、まだ曲を作るペースが遅かったんです。事務所の社長の古閑(裕)さんに「お前ら、1週間で20曲作ってこい!」ってかなりケツを叩かれました。最近は何曲作れとは言われないけど、古閑さんには作曲のペースを上げてもらいました。

──どの曲も皆さんで話し合って作るんですか?

小関 それぞれが曲を持ち寄ったら、誰の曲が多いとかは気にせずにみんなでいい曲を選んで、作品に入れる曲を決めます。そこから各パートにアレンジを任せていって。

──今回のアルバムだと、「今さら」と「Sunny」が須田さんの作曲ですね。

須田 今回も各々が曲出しをして、僕の曲だけでもフルアルバムを1枚作れるぐらい精力的に曲作りに取り組みました。そのあとみんなが出した曲を照らし合わせて、アルバムにどんなキャラクターの曲が必要かというのを考えて。

小関 今回フルアルバムということで気合いが入りすぎちゃって、「アルバムだからこういう曲も必要だよね」とかいろいろ考えちゃったんです。「うちららしいアルバムにしようね」と話してたのに変わり種の曲ばっかり集まっちゃって。でも、最後はいい感じにまとまりました。

みんな飽きてしまえ!

──全体的にシングルっぽい曲が多いなという印象を受けました。皆さんそれぞれお気に入りの曲はどれですか?

小関 僕ら、車とかで自分たちの曲をめっちゃ聴くんですよ。今よく聴いてるのは「エスケープ」と「Heartbreaker」です。

──「エスケープ」めっちゃ好きです。

小関 「エスケープ」は、下北沢の駅からライブハウスに向かう人たちのことをイメージして書いた曲なんです。僕はMCでよく「ライブハウスを逃げ場所にするな」と言うんですけど、この曲でライブハウスに逃げていく人の気持ちを歌詞で表現しました。ギターを後日録り直すということを初めてやって、音にもこだわりました。

小関竜矢(Vo, G)

須田 僕は「クラクション・ラヴ」と「透明シミュレーション」にすごく思い入れがあります。「クラクション・ラヴ」は最後まで苦戦した曲で、なかなかギターのフレーズが決まらなくて。いい曲だから、いいギターソロを入れないと自分としてもバンドとしても納得いかないし、最後まで戦って渾身のギターを弾くことができました。「透明シミュレーション」には最初コーラスが入ってなかったんですが、ずっとお世話になってるプロデューサーやエンジニアの方に「あれ、須田いつもこういうところにコーラス入れてね?」みたいに言われて。試しにコーラスを入れてみたらすごくハマって、自分を見てくれてる人に「いつもだったらこうするよね」と言われたことがうれしかったです。

──辻さん、鈴木さんはどうですか?

辻怜次(B) 10曲目の「survive」に対する思い入れが強いです。僕は基本的にピック弾きで、ベースを始めた頃からオルタネイトピッキングにこだわりを持っていて。でも、今回のアルバムでそれを1回崩してみようと思って、「survive」ではスラップでベースを弾いてみたんですよ。ディレクターの田中(秀基)さんがYKZというバンドでベースを弾いていた人なんですが、レコーディング中にけっこう熱が入っちゃって(笑)。「辻くん! もう1テイクいこうよ! もっと強くいこう!」とアドバイスをいただいたり、ベースを貸していただいたりして、二人三脚でレコーディングしました。

鈴木敬(Dr, Cho) 僕は3曲目の「White」ですね。これ、テレビアニメ「潔癖男子!青山くん」のオープニング主題歌なんですよ。すでにある曲が使われたのではなく、アニメ側の意向を組んで曲を制作したんですけど、そういうやり取りをしたのは今回が初めてで。13曲の中で最後にできあがった曲で、制作にはかなり苦戦しましたが、昨日アニメのオンエアを観てやっと自分の中で日の目を見ました。

──アニメで自分たちの曲が流れてくるのは、どうですか?

小関 びっくりしたし、超うれしかった。

須田 しかも、挿入歌やCMでも使われていて。

小関 「このCM流れすぎだよ、飽きるわ」と思うことがよくあるけど、その現象が起こった(笑)。「これか! みんな飽きてしまえ!」って。

聴く人の気持ちの捌け口になればいい

──アルバムはどの曲もメロディがポップなんだけど、歌詞は必ずしも前向きではないですよね。ライブで聴いたら盛り上がれるし、家で聴いてるときは歌詞の世界観を味わえる、2つの楽しみ方ができるアルバムだと思いました。

小関 今まではわりと抽象的な歌詞を大事にしてきたんですけど、メジャーで活動するにあたって、街中やテレビで流れたときに聴く人に引っかかるようなワードを入れたり、ちゃんと内容に意味を持たせないなと思って。僕はあまり物語がある歌詞は書かないんですが、今回はストーリー性を取り入れてみたり。伝わる人にだけ伝わればいいという思いもありつつ、聴く人の気持ちの捌け口になる曲にしたいと思って書きました。

──新曲ではないですが、僕はメジャーデビューシングルの「激しい雨」と「ファンファーレ」も好きで。アルバムに入るとだいぶ印象が変わりますね。

小関 「アルバムにシングル曲は入れたくないな」とも思ったんですけど、全13曲のうち11曲も新曲があると、ちょっと前に作った「激しい雨」と「ファンファーレ」がこれまでとは違う意味を持つようになりました。

須田 「こういう曲だったんだ」という新しい発見がありました。アレンジを変えているわけでもないのに、聴こえ方が全然違って。ほかの曲と聴き比べたときに、シングル曲のキャラクターがより際立つようになりましたね。

須田原生(G, Cho)

──収録曲順はどのようにして決めたんですか?

小関 毎回メンバーそれぞれが自分の思う曲順を持ち寄るんですけど、みんな1曲目が「Chicago」だったんですよ。それで1曲目は「Chicago」に決めたんですけど、そのあとの12曲がなかなか決まらなくて。次に最後の曲は「クラクション・ラヴ」という意見で一致したので、そこから間の曲順を決めていきました。

──僕は1~3曲目の流れがすごく好きで、キャッチーな感じがバンドを象徴している気がします。また、アルバム全体を通して聴くと、1つの物語を追っているような心地よい感覚になります。

 曲名を書いた紙を使って曲順を決めるんですよ。みんなで話し合って決めるには、この方法がやりやすくて(笑)。

──めっちゃアナログなんですね(笑)。

小関 僕ら、基本パソコン広げないんです。

 アルバムの曲順を決める感覚は、ライブのセットリストを決める感覚に似ています。最初で上げて、ここでちょっと変化を持たせて、とか。

Bentham「Re: Wonder 」
2017年7月26日発売 / ポニーキャニオン
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CD収録曲
  1. Chicago
  2. 透明シミュレーション
  3. White(Album Ver.)
  4. 今さら
  5. Sunny
  6. 戸惑いは週末の朝に
  7. ファンファーレ
  1. エスケープ
  2. Heartbreaker
  3. survive
  4. センチメンタル
  5. 激しい雨
  6. クラクション・ラヴ
DVD収録内容
  • 恵比寿LIQUID ROOMワンマンライブ後編11曲(2016.10.27) 
  • レギュラーラジオの映像版「ベンプレTV」

2017年8月24日更新