音楽ナタリー Power Push - Charisma.com×おかざき真里

元OLマンガ家と現役OLアーティストによる“最上級のOL談義”

会社が逃げ道になることもあるんです

おかざき真里

おかざき お2人に1つ伺いたいことがあって。会社で仕事をしていると、そこには大勢の人がいるわけだから、自分の意見がすべて通ることはもちろんないじゃないですか。

いつか そうですね、はい。

おかざき それって音楽に関しても同じですよね? お2人の意見が大前提だとしても、お2人だけで作れるものではないというか。お仕事も音楽も、両方とも自分たちだけで完結できないものをやっているのは大変なんじゃないかなって思うんですよね。

──おかざき先生はOL時代、仕事の“逃げ道”としてマンガを描かれていたそうですよね。

おかざき そうそう。会社というのは自分の欲求を100%叶えてくれる場所ではないから、自分の思うがままにできることを逃げ道として持っておいたほうがいいよって、OL時代の先輩に言われたんですよ。マンガではね、担当者さんと話し合ったりはしますけど、最終的には私に任せてもらえますから。

Charisma.com

いつか 確かに音楽を始めた当初は、自由に好きなようにやってただけだったからすごく伸び伸びしてたと思うんです。でも今は、それこそメジャーデビューすることにもなってスタッフも増えたので、いろいろ考えることは増えましたよね。結果を出さなきゃいけないとか、そういうこともあるので気持ち的なバランスは難しいかもしれないです。ただ、音楽のほうでモヤモヤしたときに、会社が逃げ道になることもあるんですよ。

おかざき ああ、両方があることでバランスが保てる部分もあるんだ。

いつか はい。会社では無心でパソコンを打ち続けていればいい日もありますからね。それがある意味、息抜きになることもあるし。

おかざき 私もそうだったかもしれないです。会社で出張とかがあると「わあ、新幹線に乗れるー! なんだか楽しい!」みたいな(笑)。

──ゴンチさんはそういう逃げ道みたいなものも必要ない?

ゴンチ そうですね。会社にも音楽のほうにも不満はないので。いい感じにできてる……とか言いつつ会社には迷惑かけてますけど(笑)。

怖い顔をしないのも女の仕事

──異なる2つのフィールドで活動することの利点ってほかにもありますかね?

ゴンチ(DJ)

ゴンチ んー、どうだろう。何かあるかな。

おかざき 私の場合、OL時代にすごくプロフェッショナルな方々とお仕事させていただける機会が多かったんですね。そこでクオリティの上げ方みたいなものを学ぶことができたので、それはマンガを描く上でも生かせているような気がします。「会社、ありがとう」っていう感じですね(笑)。

いつか 私の場合は音楽で悪口ばっか言っちゃってるので、会社には打撃しか与えてないかも(笑)。仕事の内容自体、事務ですからね、音楽とはあまりリンクしないんですよ。音楽のほうで電話を取るタイミングを意識しなきゃいけないことってないですから(笑)。2コール鳴ったら取る、みたいなことがなんの役に立つんだろうっていう。

ゴンチ あははは(笑)、確かに。

おかざき でもそういう歌詞を書かれるのも面白そうですよね。事務職をされている女性の方ってすごく多いと思うので、共感を得られるんじゃないですか。電話を取る心構えだけで1曲作るとか(笑)。

いつか そうやって言っていただけると希望が持てますね(笑)。電話の曲が書けたら先生に一番に聴いてもらいます!

おかざき 私も、今はちょっと寄り道して違うマンガを描いてるんですけど、またOLのマンガも描き始めたいなと思っていて。「サプリ」はちょっと特殊な職種でしたけど、今度は事務職のマンガもいいですよね。ただ、事務の方のマンガって難しいんですよ。もし描くことになったらCharisma.comの曲を聴いてインスパイアを受けよう(笑)。

──あとOLならではの大変さって、どれだけ忙しかったとしても身だしなみに気を使わなきゃいけないという部分のような気がしていて。そのあたりってどうですか?

いつか いやいや、それはこっち(音楽)の活動のほうが大変ですよ。会社ではそんなに身だしなみについて言われることはないので。

ゴンチ そうですね。私もそう思う。会社では全然ピシッとしてないです(笑)。

おかざき まあでも、洋服だけではないですからね。怖い顔をしないのも女の仕事だって、「サプリ」の中でも描いたんですけど。

「サプリ」1巻より。「お元気ですね。徹夜したとは思えない」と声をかけられた売れっ子スタイリスト・斉藤の返答。

いつか ああ! そのシーンはすごい心に刺さりました。

おかざき 仕事のクオリティを下げないのがプロの仕事だけど、その上で怖い顔をしないことも大事。周りに悪影響を及ぼしますからね。とかこんなこと言ってるとね、お局な感じが出ちゃいますけど。「お局ロック」を聴かせていただいて胸が痛かったので(笑)。

いつか いやいや(笑)。

ゴンチ 私も「お局ロック」の歌詞に出てくるような方にはならないように気を付けようとは思いました(笑)。

メージャーデニューミニアルバム「OLest」/ 2015年7月8日発売 / 2160円 / Warner Music Japan / WPCL-12163
メージャーデニューミニアルバム「OLest」
収録曲
  1. やれよ。
  2. お局ロック
  3. マメマメBOYがさつGIRL
  4. アラサードリーミン
  5. ダリぃだらりん
  6. こんがらガール
  7. 超絶に胸が痛んでいるあなたの上司
  8. 黄昏各位
Charisma.com(カリスマドットコム)
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普段は雑貨メーカーの事務をしているいつか(MC)と、普段は精密機器メーカーの事務をしているゴンチ(DJ)による、2011年に結成された女性2人組エレクトロラップユニット。YouTubeに投稿した動画がきっかけとなり、卓越したラップスキルと毒気の強いリリックで話題を呼ぶ。2013年7月に初の音源となるミニアルバム「アイアイシンドローム」をリリースすると、同作は「iTunes BEST OF 2013」に選出され、また「CDショップ大賞2014」の関東ブロック賞を受賞。LOUIS VUITTON主催の特別展のレセプションパーティに唯一の日本人アーティストとしてホログラムで出演したり、PARCOのバレンタインキャンペーンのメインビジュアルに起用されたりと幅広い活動を展開する。2015年2月には、映画「死んだ目をした少年」の主題歌として書き下ろした「とんがりヤング」を配信リリース。同年7月にワーナーミュージックよりメジャーデビューし、OLをテーマにしたミニアルバム「OLest」を発表した。

おかざき真里(オカザキマリ)

6月15日長野県生まれ。高校在学中より「ファンロード」にイラストやマンガを投稿。圧倒的な画力でアマチュアでありながらファンが付くほどの人気を得た。多摩美術大学を卒業したのち、広告代理店の博報堂に入社。デザイナー、CMプランナーとしてキャリアを積みながら1994年に「ぶ~け」にて「バスルーム寓話」でデビュー。寡作ながら印象的な短編作品を多く発表した。1997年、オカザキマリ名義で歌人の枡野浩一とコラボレーションした「てのりくじら」「ドレミふぁんくしょんドロップ」(ともに実業之日本社)を刊行。2000年、結婚を機に博報堂を退職し、「ビジネスジャンプ」に一色伸幸原作で「彼女が死んじゃった。」を連載。2004年にテレビドラマ化もされ人気を集めた。その他の代表作に広告代理店での経験を基に描いたラブストーリー「サプリ」がある。こちらも2006年に伊東美咲、亀梨和也主演でテレビドラマ化もされている。2007年には「渋谷区円山町」が榮倉奈々、EXILE MAKIDAIこと眞木大輔の主演で映画化。2010年から2014年まで、病院での医療事務として働きつつネイルサロンを経営する女性を主人公にした「&―アンド―」を「フィール・ヤング」で描き、現在は最澄と空海の生き様をマンガにした「阿・吽」を「月刊!スピリッツ」にて連載している。