ナタリー PowerPush - c.cedille

ハイブリッド国際派ユニット 日本で鮮烈デビュー

北米出身のEMILY(エミリー/Vo)とSEREY(セリー/G,Vo)からなるc.cedille(セセディーユ)が、1stアルバム「en lecture(アン レクチュール)」で日本の音楽シーンにさっそうとデビューする。

アコースティックギターをメインとしながらも、キュートな表情のポップチューンから質感豊かな深みのある楽曲まで、幅広いバリエーションを生むサウンドメイキング。そして、英語詞に加えて、日本語詞さえも自在に操り、それを繊細に紡いでいく男女ボーカル。彼女たちはF.A.I.R(フォーク・アコースティック・インディ・ロック)というスタイルを掲げ、洗練された独自の世界観を鮮やかに織り成している。

今回は、MySpaceやYouTubeを通し、その個性的なキャラと美貌ですでに多くのファンを獲得しているEMILYがインタビューに登場。ユニット結成の経緯から初アルバムの制作エピソードまで、見事な日本語で語ってくれた。

取材・文/もりひでゆき 撮影/五十嵐絢也

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フィッシュマンズが一番好きなんです

──EMILYさん、日本語ペラペラですよね。ビックリしました。日本に来てどのくらいなんですか?

3年ぐらいですね。昔から日本には興味を持っていたので、高校卒業してすぐに来ました。中学校くらいから友達に教えてもらって日本の音楽が好きになったんですよ。昔はゲームとかアニメが好きなオタクだったし(笑)。今は全く違いますけど。

──日本で好きなアーティストは?

フィッシュマンズが一番好きなんですよね。感覚的にすごく好き。歌詞の意味がわからなくても素晴らしいなってずっと思ってます。

──日本に来た段階で、すでに音楽をやりたいという欲求はあったんですか?

インタビュー写真

実はもう、子供の頃からずっとやりたかったんですね。高校1、2年くらいのときから、デモテープを作ったりしてたんで。で、日本に来て、c.cedilleのもう1人、SEREYに会って、2人とも音楽に深い興味を持っていたので、一緒にやったら楽しいかなって思ったことから始まった感じです。

──じゃ、日本でのデビューっていうのが目標ではなかったんですね。

そう。日本じゃなくてもどこでも良かったんです(笑)。

──アハハ。SEREYさんとは日本語学校で出会ったそうですね。

同じクラスだったんです。でも、最初の6カ月くらいは全然話してなかったんですね。SEREYは学校に小さいアコースティックギターを持ってきて、休憩時間に弾いたりしていたので、ちょっと変な人だなっていう印象で。向こうも私のことを変だと思ってたみたいなんですけど(笑)。で、あるとき、学校のみんなでディズニーシーに行ったときに仲良くなったんです。日本語学校の生徒って韓国人がほとんどだったから、英語しゃべれる人が全然いなかったんですね。なので、SEREYと仲良くなるしかなかった(笑)。

──でも、結果的にはそれが音楽活動へとつながっていったわけですもんね。

そう。だから良かった(笑)。SEREYとは性格も違うし、音楽の趣味も似てないんだけど、微妙な感じで気が合うんですよね。

インディーズっぽい声で歌ってくれって言われた(笑)

──洋楽も含めると、2人の好きな音楽っていうのは?

私はRADIOHEADが一番好きかもしれないですね。あと、今ハマッてるのは、ジャック・ホワイトのTHE DEAD WEATHER。ドビュッシーとかクラシックもよく聴きます。SEREYは、I AM KLOOTっていうイギリスのバンドとか、KINGS OF CONVENIENCEとか、BROKEN SOCIAL SCENEとかが好きですね。RADIOHEADはSEREYも好きだったから、一緒にやったら面白いかなって思ったんですよね。

──その時点で、SEREYさんはオリジナルの曲をたくさん持っていたんですか?

いっぱい持ってました。最初に聴かせてもらったとき面白いなって思ったんだよね。SEREYが書いた歌詞とかメロディはキャッチーなものが多くて、いいなって。で、ちょうどSEREYも女性のボーカルが欲しかったみたいだし。彼の作るメロディは女性の声のほうが似合う曲が多かったんですよね。

──EMILYさんの声に対しては何か言ってました?

メジャーすぎるって言われた。もうちょっとインディーズっぽい声で歌ってくれませんかって。ダメ出しされて(笑)。

──インディーズっぽい声っていうのも、なかなか難しい注文ですよね(笑)。

でもなんとなく雰囲気はわかったから。初めて一緒に歌ったときの声は、もうポップスですみたいな、そういう感じだったから、SEREYは苦手だったみたいなんですよね。で、私は7歳の頃からボーカルトレーニングを受けていて、けっこういろんな声が出せるから、SEREYが求めてる声を出すようになって。

──そういう声のチョイスっていうのは今も変わらず?

そうですね。曲によっていろいろですけど、全体的には抑えた感じというか、ビブラートとかをあまり使わず、表情もちょっと落ち着いてる感じ。フラットな感じで歌ってる曲が多いですね。ライブをやるときには、やっぱりもうちょっと表情をつけて歌いたいと思うけど、アルバムの中では、そういう聴きやすいスムースバイブな感じのほうがナイスだと思うんで。

1stアルバム「en lecture」 / 2010年5月12日発売 / 2000円(税込) / Chameleon Label / WESS RECORDS / WHCD-65

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CD収録曲
  1. honey & clover
  2. hidamari
  3. 不眠症
  4. IDENTITY
  5. Cities of Dragonflies
  6. lord save the queen
  7. You’d better
  8. Popsicle Yellow Scooter
  9. Deliver Me
  10. Make Way, Make Way

TOWER RECORDS 限定シングル「hidamari」 / 2010年4月14日発売 / 500円(税込) / Chameleon Label / WESS RECORDS / WHCD-7002

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CD収録曲
  1. hidamari
  2. You'd better
c.cedille(せせでぃーゆ)

アーティスト写真

米国出身のEMILY(Vo)、カナダ出身のSEREY(Vo,G)による男女ユニット。日本の語学学校で出会った2人が2008年に結成。インディーズ的肌触りを感じさせるアコースティックサウンドに、日本語と英語それぞれの歌詞を乗せたスタイルで人気を集める。2010年4月にシングル「hidamari」をタワーレコード限定発売。同年5月に1stアルバム「en lecture」をリリース。なお、EMILYは「applemilk1988」のYouTubeアカウントで動画ブログを更新しており、多数のファンの支持を得ている。