音楽ナタリー Power Push - キャラメルペッパーズ
新たな使命背負った3人が届けるラブソング
サビが2つ
──ではここからは新曲「願い SONG」について話を聞かせてください。この曲はキャラメルペッパーズらしい王道のラブソングですね。
PASSER 今までの「ウェディング SONG」「お前の笑顔オレが守るから SONG」「オレについて恋 SONG」っていう、キャラメルペッパーズのラブソングに負けない曲を作るっていうテーマでこの曲を作ったんです。実は10月に配信リリースした「この先もずっと SONG」ができたときには「願い SONG」もできていて。「この先もずっと SONG」はRYOが作った曲なんですけど、彼は余白を持たせた歌詞を書くというか。年齢問わずに聴ける、大人っぽい歌詞を書くんですよね。
RYO もともと自分がそういう曲が好きっていうのもあるかもしれないんですけど、曲を聴いた人が、どんな風景を思い浮かべてくれるかなっていうことを考えて書くんですよ。で、いつもキャラメルペッパーズの曲を作るときは、自分以外のパートはトラックだけ作って歌詞とメロディはそれぞれに任せるんですけど、「この先もずっと SONG」は頭から最後まで俺が全部歌詞まで書いたんです。それって今までになかったよね?
PASSER・YUICHI うん。
RYO 今までのキャラメルペッパーズとは色が違ったものを1年空けて出すことで、今までキャラメルペッパーズを知らなかった人にも届いてくれたらいいなと思って作ったんです。で、今回の「願い SONG」は逆に、今までのキャラメルペッパーズ感を打ち出した感じだよね。
PASSER 「この先もずっと SONG」「願い SONG」の2曲を並べて、「この先もずっと SONG」を先に出すと、今までのファンの人をいい意味で裏切れるかなと。リリースが1年空いたから、新しいキャラメルペッパーズを見せたいというのもあって。で、そのあとにみんなが求めてるであろう王道のキャラメルペッパーズのラブソングを出そうと。
──なるほど。
PASSER キャラメルペッパーズでは、特にシングルにするラブソングって、ただ「あなたのことを愛してます」ということだけを歌う曲は出したくないと思ってて。1つひとつちゃんと伝えたいことがはっきりとわかるラブソングがいいなと思ってるんですよ。「ウェディング SONG」だったら結婚という感じで、どういうシチュエーションで、誰に向けて歌ってるのかを明確にしたい。で、「願い SONG」に関してはサビの頭にある、「君を愛する為に僕は生まれて来たんだ」「君の幸せを願わない日はない」の2行がすべてです。ある意味ファンタジーではあるんですけど、そのぐらいの気持ちで君のことを愛してる、それだけ大切な人にやっと巡り会えたっていうことがテーマで。この2行ができた瞬間に、「あ、きた!」って思いました。あとこの曲って、1曲の中にサビが2つあるように聞こえるんですよね。
──PASSERさんとRYOさんが同じ歌詞を違うメロディに乗せて歌っているところですね。
RYO そう。最初、俺のパートにもPASSERが歌うのと同じサビを入れて、それを俺が歌うことになってたんですけど「ちょっと新しいフレーズを考えてみるわ」って言って、ちょっと変えた、今の形のものを持っていったんです。いらなかったらボツでいいからって。
PASSER RYOが「君を愛する為だけに僕は生まれて来たんだよ」っていう、俺のパートのサビとほぼ同じ歌詞を、全然違うメロディで歌うことで、サビが2つあるみたいになったんですよね。アーティストの友達とかに聴かせると「斬新だね」って言われて、楽曲提供してる作家、友達に聴かせたら「これコンペなら採用されないパターンのやつ」って言われましたけど(笑)。
RYO 同じことを歌っていても、メロディが違うとまた別のことを言ってるんじゃないかみたいな聞こえ方をしてるんじゃないかと思ってます。
見て染みる言葉と、曲になって響く言葉
PASSER あと、Twitterで「今まで僕がつぶやいた歌詞の中で響いた言葉は何?」って問いかけたら、ファンの人からスクショした画面がいっぱい届いたんですよ。「これをお守りのようにいつも見てます」って言ってくれて。その中に入ってた言葉が、最後の「世界で代わりなんていない たったひとりの君へ」っていうフレーズと、AメロBメロの大部分で。サビだけ、Twitterからの引用ではない新しいフレーズです。RYOとYUICHIくんの歌詞も初だしですね!
──それはどうしてですか?
PASSER 前回のミニアルバム「『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』」では自分のパートの歌詞はほとんどTwitterで過去につぶやいたものを使ったんですけど、それで、ただ見て染みる言葉と、曲になって響く言葉ってちょっと違うんじゃないかって気付いたんですよ。
──その判断基準はどういうものなんでしょうか?
PASSER 曲によって全然違うんで一概には言えないんですけど。乗せるリズムでも違うし、後ろの音がピアノなのかオルガンなのかギターなのか、ドラムがそこに鳴ってるのか鳴ってないのかでも変わってくるんですよね。あとその前後の歌とかラップでまた変わってくるし。
──それが今回はサビ以外はツイートしていた歌詞が当てはまり、サビには新しい言葉が当てはまったと。
PASSER そうです。
この2人と音楽やっててホントよかったな
PASSER 僕、秋にやってた学祭ツアーも含めて、なんか改めてこの2人と音楽やれて歌えてホントよかったな、幸せだなって思ったんですよ。
──それはどうしてですか?
PASSER 3人の声ってバラバラじゃないですか、歌い方も。自分1人で作ったらこういう曲にはならなかっただろうなって思って。ある意味、さらに2人のファンになっちゃったというか。「RYOのこの声やっぱいいわー」とか、「YUICHIくんの英語いいなー」とか。
──RYOさんとYUICHIさんはキャラメルペッパーズの中でご自身の役割をどう捉えています?
RYO 俺は歌を歌う人だと思っています。
──歌を歌うとは?
RYO ラップじゃなくて、歌で気持ちを届けていきたいなと。
PASSER 前より歌心が増したよね。
RYO そうかも。グループを始めた頃よりも、より歌を歌っていこうという気持ちが強くなってる。周りを見ると自分たちのやってるジャンルの音楽シーンに歌ヂカラみたいなのが足りていないような気がして。キャラメルペッパーズではその役割を自分がより強く出せていけたらいいかなと思ってます。
──YUICHIさんはどうですか?
YUICHI 俺は洋楽担当って感じがしますね。洋楽から受けた影響が大きいとか、留学してたから日本語と英語が両方しゃべれるとか理由はいろいろあるんですけど。日本のロックバンドでもけっこう洋楽の影響が強く出てるバンドってわかるじゃないですか。それと同じように、キャラメルペッパーズも3人とも洋楽を聴いてきたので、俺らの音楽にもエッセンスとして洋楽っぽさが入れられたらと思っています。あと最近は英語詞の中に入れる日本語詞に気を遣うようにしていて。
──気を遣うとは?
YUICHI 超ストレートな一言で伝わらないと日本語で歌う意味がないかなって。
PASSER 「願い SONG」の中に出てくる日本語詞の「君が好き」とか「僕のすべて」とか「愛を誓う」とかって、わりとありがちな言葉じゃないですか。でも英語詞に混じってることによってより響くんですよね。……ということをYUICHIくんによく話してて。
YUICHI 俺はラップのときはどこまでが日本語でどこからが英語かわからないように歌詞を入れることが多くて。だけどラブソングの中のラップの場合は耳に直接響かせたいと思って、日本語と英語をくっきり分けて、日本語は一言でスパっと伝わりやすいものを選んでいます。
──今回はそれぞれの思う“ラブソング像”が詰まった1曲という感じがしますね。
PASSER だから飽きないんですよね。「この先もずっと SONG」と「願い SONG」の2曲はずっとリピートで聴いてます。この「願い SONG」は、今まであまりやってなかった絶妙なハーモニーが聴ける神曲です! これからのキャラメルペッパーズの新曲も、より濃く3人の個性と曲の振り幅が出てくると思います。
──「この先もずっと SONG」で新しい一面を出して、「願い SONG」で自分たちらしさを実感して。この2曲ができあがったことはキャラメルペッパーズにとって、ご自身たちを見つめ直すターニングポイントになったんじゃないかなと思いました。
PASSER そうですね。結成5周年である今年に出したこともあって、もしかしたら曲に対する思いは今までより強いかもしれないですね。聴いてくれる人のがんばれる理由になって、その人にとって特別なグループでいたいですね。唯一無二の存在というか。
YUICHI 確かに両方とも5周年記念ソングみたいな感じはあるよね。
PASSER 今回得たものを今後に生かしていけたらなと思っています。
──12月20日には「結成5周年 集大成ライブ」と銘打ったワンマンライブもあります。
RYO クリスマスなんで、ライブが50%、パーティが50%みたいな感じです。“キャラペパサンタ”からのプレゼントもあります。
──イベント名も「キャラペパサンタからの贈り物♡」ですもんね。
PASSER はい、ただのワンマンじゃないぞということですね。
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- 結成5周年 SPECIAL ONEMAN LIVE!! ~キャラペパサンタからの贈り物♡~
- 2015年12月20日(日)神奈川県 横浜BAYSIS
キャラメルペッパーズ
PASSER、RYO、YUICHIからなる、横浜と横須賀在住の3人組音楽ユニット。作詞、作曲、アレンジ、レコーディングのすべてを自らこなす。“スタンプアーティスト”と名乗り、ライブ以外では素顔を隠して活動をしている。2010年に発表した1stミニアルバム「LOVE LOVE LOVE SONGS」の収録曲「ウェディングSONG」が、YouTubeで再生1500万回を超え、レコチョク「感動のウェディングSONG」ランキングでユーザー投票3位を獲得するなど話題を集めた。またオフィシャルTwitterによる“歌詞ツイート”も人気を呼んでいる。2013年発売の1stフルアルバム「LOVE LOVE LOVE SONGS 4 & BEST!」がロングヒットを続けるなか、2014年10月にミニアルバム「『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』」を発表。結成5周年を迎えた2015年に10月にシングル「この先もずっと SONG」、12月にシングル「願い SONG」を配信リリースした。