THE BOHEMIANS|俺たちは永遠にロックンロール

最近のテーマは“ショーケン・イズ・マイ・ヘヴィメタル”

──「It's Alright, It's Alright」には「好きなことには理由はない」というフレーズがあって。THE BOHEMIANSがロックンロールを続けている理由も、そういうことなのかなと。

りょう この曲の歌詞は「好きなことに理由はない」「嫌いなことには理由しかない」が対になってるんですよ。甲本氏が参加したOKAMOTO'Sの曲(アルバム「OKAMOTO'S」収録の「共犯者」。甲本はブルースハープとコーラスで参加)に「好きなもんにワケなんていらないさ」という歌詞があって、それがずっと自分の中に残ってたんですよね。それだけだとパクってるみたいだから(笑)、「じゃあ、嫌いなものってなんだろう?」と思っているうちに出てきたのが、「It's Alright, It's Alright」のフレーズなんです。

──やっぱり好きなものは好き、嫌いなものは嫌いというタイプですか?

りょう どうだろう? 俺、意外となんでも好きって言っちゃうんですよ。女性に対してもそうだから(笑)、そんな自分を省みながら書いた歌詞なのかも。

本間 そうなんだ?(笑)

ビートりょう(G)

りょう 音楽に関してもわりとなんでも「これはこれでいいな」と思ったりするんだけど、アルバムを全部聴いてるバンドは、The Beatles、The Rolling Stones、The Whoだけで。そうやっていろいろ考えていると、俺の好きって何だろう?っていう……。

星川 そんなこと考えてたのか。

りょう 普段、歌詞の話はしないからね。こうやって質問されて、初めて気付くこともあるし。これからは歌詞の話もしていこうかな。

──りょうさんはTHE BOHEMIANSのメインソングライターですが、りょうさんの好きな音楽やセンスがバンドの音楽性につながっているのは間違いないですよね?

りょう まあセンスみたいなものは勝手に出てきますからね。最近ショーケン(萩原健一)の研究をしているんですけど、ドラマ「傷だらけの天使」のオープニングは撮影の現場で演出やカメラワークなどを決めて、手持ちのカメラで撮ったらしいんです。マルチェロ・マストロヤンニ(20世紀のイタリアを代表する俳優)が出ている映画のイメージだそうですけど、それもショーケンの中から、その場でパッと出てきたものじゃないかなって。

星川 なんだっけ? “ショーケン・イズ・マイ”……?

りょう “ショーケン・イズ・マイ・ヘヴィメタル”が最近のテーマなんですよ。音楽的な意味ではなくて、ショーケンの表現の幅広さだったり、重さ、速さがヘヴィメタルに通じるなと思って。歌詞カードには書いてないですけど、ある曲でも「ショーケン・イズ・マイ・ヘヴィメタル」と言ってるので、探してみてください。

星川 レコーディング中はスタジオでずっとショーケンの映像が流れてました(笑)。

初めての身近なロックスター

──10曲目の「R&R第一発見者」の「R&Rの教科書なんて今すぐ捨ててしまいなよ」も、THE BOHEMIANSを表すような歌詞ですね。

平田 この曲の「トーキョー・シンジュクのアンダーグラウンド」というフレーズは、ビートりょうが志磨(遼平)さんっぽく歌ってます。

──なるほど、“便所サンダルのR&Rスター”という歌詞は、毛皮のマリーズの頃の志磨さんがモデルなんですね。

千葉オライリー(と無法の世界)(Dr)

星川 自分たちとってはすごくリアルな曲なんですよ。上京してきた頃にメンバーと一緒に毛皮のマリーズのライブに行って騒いでたので。

平田 東京で初めて対バンしたのも毛皮のマリーズじゃなかったかな? もうなくなっちゃったんですけど、新宿のClub ACIDというところで。“シンジュクのアンダーグランド”って、あそこだよね?

りょう ACIDだけじゃないけどね。レッドクロスも新宿だし。

星川 レッドクロスも地下だしね。

本間 うん。あの頃の記憶はかなり濃いです。

りょう 毛皮のマリーズのインディーズの1stアルバム(2006年発売「戦争をしよう」)を聴いてビックリしたんですよ。すごくカッコよかったし、自分たちにとっては初めての身近なロックスターだったというか。そんなに親しかったわけじゃないけど、たまにおごってもらったり、かわいがってもらっていたので。マリーズがメジャーに行って、どんどんデカくなっていくのも目の当たりにしましたからね。

本間 自分たちは学生でしたけど「やりたかったことを先にやられた」という感覚もあったし、今考えてみると、毛皮のマリーズが最初の目標だったのかなと。

──志磨さんはデヴィッド・ボウイのように作品ごとにスタイルを変化させ続けていますが、THE BOHEMIANSはそうじゃなくて。バンドのスタイルは変えないと決めているところもありますか?

平田 いや、決めているわけじゃないです。

星川 どっちかというと、変えるのが下手なのかな。

りょう 俺らは5人ですからね。志磨くんもたぶん固定メンバーでやってたら、あそこまで世界観を変えられないと思うんですよ。あと、俺らも変わってないつもりはなくて。いつも新しい感じでやっているので。

星川 根っこは変わらないけど、作品ごとに違うというか。

平田 そう、アルバムごとにだいぶ違いますよ。

──その時期のモードがリアルに出ている、と。

本間 それでしかないですね。

平田 「変えようか」という話はしたことないですけどね……じゃあ、次は変えるか。

千葉 (笑)。リスナー側に立ってみると、「変わっちゃったな」って、ちょっとガッカリすることもあるので。