自分で自分を戒めることが好き

──「We'd better」もそうですけど、今回、ダークな曲が多いですよね。

渡邊　そうですね。歌詞も暗いですよね。

──前作の「MONT BLANC」で、ちょっと明るくなったと思ったんですけど……。

渡邊　また落ち込んじゃいましたね。あははは！（笑） ……いや、そういうふうに書こうとは思っていないんですよ。曲ができて、アレンジしている間に歌詞を考えるんですけど、例えば「これは明るいから前向きな歌詞を書こう」とか思っても、曲と一緒で、違う方向に行っちゃうんですよね。ひねくれているというか、そういう歌詞が好きなんでしょうね。性格はそこまでひねくれてはいないと思うし、いつもこんな暗い気持ちで生きてもいないんですけど、書き出すとこうなるっていうか。別に、嘘を言っているわけではなくて、陰が出てきてしまう。本当はもっと前向きな……今で言うとFUNKY MONKEY BABYSみたいな、みんなに勇気を与えるような歌詞を書いてみたいんですけどね（笑）。自分に、みんなを束ねてがんばっていこうっていう力がないんでしょうね。自分の弱さを感じましたね、俺にリーダーシップはとれないんだと（笑）。

一瀬　それでまた落ちちゃうんでしょ（笑）。

渡邊　だめだあ、って（笑）。

──基本的に一人モードの歌詞ですよね。

渡邊　そうですね。これもこれで共感してもらえるんじゃないかなって。人って、思っていることはひとつじゃないから。夢に向かって生きている人も、ずっとそのテンションでは進めないじゃないですか。それをどうにかしながら前に進んでいくものだから。

──4年間、ずっと落ち込んだり怒っていたわけじゃないんですよね。

渡邊　全くないですね。僕、元気なときに落ち込んだ歌詞を書いたり、平和なときに怒りモードの歌詞を書いたりするんです。その場で思ったことじゃなくて、フラットな状態のときのほうが書けたりする。でも、みんなを元気づける歌詞は……書けないですね。がんばったこともあったんですけど。

──和訳を読むとズバンと刺さる言葉が並んでいますもんね。「ここは生き地獄のど真ん中」「さっさと消えちまえよ」……。

渡邊　僕、怒られている気分になってきました（笑）。

──忍さんが書いた言葉ですよ！（笑）

渡邊　そうですよね（笑）。だから僕、自分で自分を戒めることが好きで。

原　それがノブくん節ですよね。

渡邊　お調子者なんで、ふとしたときに自分のことがムカつくんでしょうね。調子に乗っている瞬間は気付かないんですよ、楽しくてしょうがないから。後々家に帰ってきて一人になったときに、あの野郎！って（笑）。そういう感じかもしれないです。そんなうまくいくわけじゃないって、自分に言ってるのかもしれない。

こっち行くとあっち行きたくなる

──「PLASTIC LIGHTER」の歌詞は、世の中に対して言っているものですよね。

渡邊　「PLASTIC LIGHTER」に関してはそうかもしれないですね。自分に対する戒めも入っていますけど。人はみんな、いろんな情報に惑わされてしまうし、情報がなくなったら何もわからなくなるから情報はなきゃいけないけど、その選択を誤ると……っていう内容ですね。

──忍さんの歌詞は自分を戒めるものが多いということですよね。

渡邊　そうですね。ただ、広がりはないんです。季語を使わないし。僕らは英語詞だからちょっと違いますけど、うまい人の歌詞は、読んだだけで春の木漏れ日を感じたりするじゃないですか（笑）。そういうのは書けないんで、こうなっちゃったっていうことですね。ただ、無理はしてないです。全部に対して。無理するとバレますからね。

──うん。歌詞もそうですけど、全体的に、奔放なロックアルバムに仕上がっていると思います。

渡邊　1曲目の「Analog Signal Processing」は、カエラちゃんのアルバムの作業が終わったあとに作った曲で。ザクザクしてえんだよ！みたいな気持ちが出てると思いますね。どっちも好きなんですけど、こっち行くとあっち行きたくなるっていうのはあると思うんで。ただ……「チョコレート」みたいな曲は書けなかったなあ……（笑）。