アルテミスの翼「Road to Greece」インタビュー|渾身の1stミニアルバム全曲解説

アルテミスの翼のメンバーが「間違いなく自信作です!」と口をそろえる力作が完成した。9月5日にCDリリースされた1stミニアルバム「Road to Greece」だ。先行配信では「星ノ唄」「恋ショ!!!!!!」「SURVIVaL DaNCE」「CRY」の4曲のみだったが、CDには「A Beautiful World」「♣︎♦︎メタモ❤︎♠︎」の2曲も追加収録。本稿ではギリシャ神話をモチーフにした壮大なスケールの世界観、サウンドプロダクションで海外ファンからも支持を集める彼女たちが、ミニアルバムの全収録曲を解説する。

また今回のインタビューでは、6人の歌声の魅力、波に乗りつつある現在の活動についてメンバーに聞いた。卓越した歌唱力を持つアクエリアス・イオリをはじめ、個性豊かなボーカリストがそろい、細かく分けられた歌割りによりその個性が楽曲の中で際立っている現体制のアルツバ。今年結成3周年を迎える中で尻上がりに調子が出ている要因について本人たちに語ってもらった。

取材・文 / 小野田衛撮影 / はぎひさこ

ミニアルバム「Road to Greece」全曲解説
アルテミスの翼

アルテミスの翼

1. 星ノ唄
[作詞:宮嶋淳子 / 作曲・編曲:Uio]

アクエリアス・イオリ このミニアルバムのリード曲です。音源を最初に聴かせていただいたときから「これ、すごく好き!」って感激しました。歌詞の言葉使い、物語性、世界観……まさにアルツバにしか歌えないタイプの曲だと思うんですよ。特に2番の歌詞が個人的にツボで、ハヅキちゃんが「君の正体がもしも 悪と呼ばれるものでも関係ないや」と歌うところが最大の山場ですね。

オリオン・ハヅキ 歌詞はそのあと「止めらんない 運命はもう廻り始めたんだ」と続くんです。「確かにそうだよな」と思いましたね。人を好きになるときって、相手にどんな欠点があっても止められないじゃないですか(笑)。魔性の女じゃないですけど、思い切りカッコつけて歌いました。

カナコ・ケンタウロス でも、それって恋愛に限った話じゃないですよね。相手が上司であっても、仲間であっても、家族であっても同じ。いろんな解釈が可能な曲だと思います。少なくともほかのアイドルの曲にはないタイプの歌詞かなと。

ペルセウス・ツカサ この曲、最初はもっとテンポも速かったし、キーも高かったんですよ。ちょっとボカロっぽい雰囲気もありましたし。結果的に完成したバージョンはサビに勢いがあって、ライブで歌っていても「やり切った感」がハンパじゃないです!

2. 恋ショ!!!!!!
[作詞・作曲・編曲:hisakuni]

カシオペア・キアラ ずっと夏曲が欲しかったんですよ。フェスでタオルをブンブン振り回すような元気のいい曲。やっぱりお客さんとメンバーが一体になる瞬間がアイドル現場では大事だと思うので。今までのアルツバにはない底抜けに陽気な「恋ショ!!!!!!」を最初に聴いたときはすごくうれしかったし、その上がりきったテンションのまま落ちサビの歌割を勝ち取りました(笑)。

イオリ 途中で民謡っぽいパートが唐突に挿入されるんですけど、そこは私が歌っているんです。スタッフさんから出された指示は「ここはサブちゃん節で」というもので。私、北島三郎さんがオープニング曲の「詠人」を歌われていたアニメ「おじゃる丸」が好きだったんですよ。レコーディングでは北島三郎さんが自分の中に降りてきたイメージで歌いました。

3. A Beautiful World
[作詞・作曲:サイレンジ! / 編曲:大沢圭一]

アテナ・シオリ すごくエモい曲。個人的にはミニアルバムの中で一番好きかもしれません。アルツバの歌詞は初期から特徴的で、基本的にはじっくり考えないと理解できないような内容が多いんですね。でも「A Beautiful World」はどストレートに感情に訴えてくるし、ご新規様でもとっつきやすい曲なんじゃないかと思います。

アテナ・シオリ

アテナ・シオリ

カナコ ギリシャ神話をモチーフにした世界観というのはアルツバの大きな武器ではあるんですけど、普遍的な曲も歌っていきたいですね。ギリシャ神話が好きなメンバーが集まったグループというわけでもないですし(笑)。

シオリ 今年に入ってから、アポロンの翼というアルツバの妹分ユニットができまして。アポロンはかわいい系の王道アイドル路線の楽曲を歌うことが多く、そこと差別化する意味でもアルツバはクール路線の曲が増えてきたんです。スタッフさんから伺った話だと、この曲はもともとアポロンのために用意されたそうですけど、「アポロンよりもアルツバのほうが合うんじゃないか」という意見が出たことで、私たちが歌うことになりました。アポロンが結成されたことで、アルツバらしさみたいなものがより固まってきたのかもしれません。

ツカサ この「A Beautiful World」は、歌っていて感情がかき乱されるんですよ。活動の節目のライブで歌ったら、思わずメンバー全員が泣き出してしまうかもしれない。それくらいエモさがありますね。

4. ♣︎♦︎メタモ❤︎♠︎
[作詞・作曲・編曲:松本明人]

キアラ ポップだけど展開が激しくて、歌うのが難しい曲です。キーが全体的に高いし、音程も取りづらいし、レコーディングはかなり苦戦しました。このグループに入ってわかったんですけど、アルツバの曲は歌うのにかなりの技量が必要とされるんですよ。イオリちゃんという歌が超うまいメンバーがいるからこそ、こういう難しい曲が用意されるのかもしれません。

カナコ 音程で迷ったりすると、ボーカルのガイドをイオリちゃんにやってもらうこともあるんです。去年イオリちゃんが加入してくれたからこそ、楽曲の幅が広がったという面は確かにあると思います。

カナコ・ケンタウロス

カナコ・ケンタウロス

5. SURVIVaL DaNCE
[作詞・作曲・編曲:トミタカズキ]

カナコ 今までの曲の中で一番歌詞が鋭い気がします。歌い方もかわいい感じではなく、カッコよくキメてみました。ノリやすい曲調だと思うので、ライブでもすごく盛り上がるはずです。

ツカサ 振付と歌詞がリンクしているので、そこに注目していただければうれしいです。

イオリ 最初に曲をもらったときは「エンペラー」というタイトルだったんですよ。歌詞も今よりさらに尖っていました。宇宙戦争をイメージした要素が入っていて。そこからプロデューサーさんがもう少し普遍的なものに変えて、今の形に落ち着きました。アルツバらしさが全開になっている曲だと思います。

6. CRY
[作詞・作曲・編曲:トミタカズキ]

ツカサ 6曲のうち、「SURVIVaL DaNCE」と「CRY」はかなり前からライブで披露しているんです。ファンの方からすると「ようやく音源に!」という気持ちがあるんじゃないかと思います。この「CRY」は表現方法が難しくて、明るい曲とか切ない曲とかはっきりしたイメージが持てないから、探り探りの状態で歌っていたんですけど、だんだん曲の世界観が好きになっていきました。いわゆるスルメ曲だと思います。

ペルセウス・ツカサ

ペルセウス・ツカサ

カナコ 逆に私は最初からドハマりしました。一度、ライブで歌いながら大泣きしたこともありますし(笑)。

シオリ ライブだと、歌により一体感が出るんですよね。メンバー6人はもちろん、ファンの方とも気持ちがひとつになれる感覚があって。ミニアルバムがこの曲で終わるというのも、すごく感動的ですね。