TVアニメ「Aランクパーティ」特集|バリー役声優・世界(EXILE、FANTASTICS)とオープニング主題歌担当・零が語るアニメ愛 (2/2)

声優はずっと続けていきたい仕事

──世界さんは2022年公開の映画「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」のフジ役をきっかけに声優としても活躍しています。サンダーパイクのマッチョな戦士・バリーの声を演じるときに意識したことはありますか?

世界 バリー役をやれることになってうれしかったけど、同時に「これはヤバいぞ」と思ったんですよ。ここまでマッチョなキャラクターをやったことがなかったし、実際僕はマッチョじゃないので筋トレしたほうがいいのかなって……(笑)。最初は不安に思うこともありましたね。

サンダーパイクのメンバーたち。右端が世界が声優を務めるバリー。

サンダーパイクのメンバーたち。右端が世界が声優を務めるバリー。

──実際に体作りをしたんですか?

世界 しようと思ったんですけど、してないです。夢の中ではしてました(笑)。アフレコに行く前日の夢で毎回筋トレして……まあでもどうがんばっても僕の体じゃバリーの筋肉量にはならない(笑)。なんならTHE RAMPAGEの(武知)海青でもなれない。なのでオーディションテープを録ったときからはちょっと違う感じにはなりましたが、演技を通じて僕なりのバリーを表現しました。

──オーディションで勝ち取った役なんですね。

世界 はい。いわゆるオファーの形ではなく、テープを送って決まりました。声優はずっと続けていきたい仕事なので、この作品にも参加することができてうれしいです。

──世界さんは声優の友人がたくさんいると思うんですが、アドバイスをもらったりは?

世界 友達の武内駿輔の声がめちゃくちゃ低いので、どうやったらそんな声が出るのか聞こうかと一瞬思いましたがやめました(笑)。筋肉がある人は声が低いというのは僕の思い込みのような気がして、特にアドバイスは求めず。音響監督さんといろいろ話して、ディレクションしていただいた結果、今のバリーの声になりましたね。

世界

世界

「エパリダ」はあったけー現場

──世界さんはブースにこもって1人で声を当てる単独収録ではなく、ほかの声優さんと一緒にアフレコしていると聞きました。

世界 そうなんですよ。サンダーパイクもクローバーもみんなで一緒にアフレコしました。

──そのときのエピソードがあれば教えてください。

世界 スタジオが地下にあって、どこからかコバエがいっぱい入ってきちゃって。ロビーだけならまだしもアフレコのブースにも入ってくるんですよ。声を入れているときに台本にピタッと止まってしまうこともあったんですけど、集中力を途切れさせないようにがんばっているキャストが多かったです。これ話していいのかな(笑)。

──払うとその音が入ってしまいますもんね(笑)。

世界 そうなんです(笑)。あとさっき話したように大勢がブースに入って声を録るので、部屋がパンパンで。僕が最後にブースに入ったんですけど、座る場所もないくらいでした。第1話からそんな感じでやっていて、毎週アフレコに行くたびにみんなが仲よくなって。和気あいあいとした雰囲気で温かい現場です。

──初共演の方たちが多いと思うんですが、皆さんとはもう仲よくなれたんですね。

世界 ほぼ全員マブダチくらいになりましたね。こんなこと言ったらベンウッド役の小山(剛志)さんとかに怒られそうだな(笑)。マリナ役の伊南(羽桜)さんは22歳なんですよ。サイモン役の(中島)ヨシキが30歳で同世代。年齢層はバラバラだけど、男女比も半々くらいでいいバランスです。いつか、シルク役の川井田(夏海)さんが「あったけー現場です!」って言っていたのが印象的で、ドライな現場とかもある中、確かに「エパリダ」はあったけー現場なんですよ。座長の(峯田)大夢くんがよくみんなに話しかけてくれるんですよね。

──峯田さんのそういうみんなを気遣ってくれるところがユークと似ていますね。

世界 そうですね。みんなを1人で引っ張るんじゃなくて、みんなで一緒に歩いていこうという感じもユークっぽいなと思います。ただ、えげつないいじられ役になってますけどね(笑)。僕は大夢くんをけっこう助けてます。あと声優の人たちってボケるのが好きで、ツッコミ役が全然いないので僕はいつもツッコミ役なんです。だから小山さんにもツッコまないといけない(笑)。

──にぎやかな現場でいいですね。

世界 そうですね。コバエが飛んでるだの、差し入れのコーヒーがうまいだの、そんなことばかり話してます。

──コーヒーはもちろんLDHさんが手がけているAMAZING COFFEEですよね?

世界 はい。差し入れしてよかったです。僕を呼んでいただければ、おいしいコーヒーも付いてきます(笑)。

左から零、世界。

左から零、世界。

アニメが2人に与えた影響とは

──お二人は自分のアーティスト活動において、アニメから影響を受けていることはありますか?

世界 僕はけっこうありますね。

──確かに髪色が「鬼滅の刃」の煉獄(杏寿郎)さんになったり(笑)。そう言えばアニメで煉獄さんを演じた声優の日野聡さんも「エパリダ」に、ユークの叔父であり師匠でもあるサーガ役で出演されていますよね。

世界 そうなんですよ。黒髪に戻すのが遅かったら、煉獄さんの髪色のまま日野さんとお会いすることになるところでした。煉獄さんカラーは4年くらいやってて、ライブを観に来た知人や作家さんからステージで見つけやすいと言ってもらえて定着していたんです。でも声優の現場が増えたらいつか日野さんとお会いするかもしれないし、そんなときにこの髪色じゃまずいなと思って黒に戻してからの一発目が「エパリダ」で。危ない危ない(笑)。あと同じマンションに住んでる子供から毎回「煉獄さんだ!」と言われるようになって、コンビニに行きにくくなったのも黒髪に戻した理由です。

──そんなエピソードが(笑)。髪色以外でもアニメからの影響はありますか?

世界 小さい頃はケンシロウ(「北斗の拳」の主人公)みたいに素早く動きたい、足を高く上げたいとかそんなふうに思いながら動いていたし、アニメーションからインスパイアを受けてダンスの動きを考えることもあります。例えば「ドラゴンボール」の舞空術のように空中で平行になって飛ぶことはできるのか?とか、どうしたらそういうふうに見える動きができるかを研究してやってみたり。結果、まあ一瞬ならできるなという感じだったんですけど。そういうところからも刺激を受けています。

──零さんもそういった経験はありますか?

 僕はマンガやゲームからの影響がほとんどですよ。ラッパーからも影響を受けることもありますが、大半がマンガやゲーム。「SILVER RAIN」という曲のミュージックビデオで、シルバーの髪色にしたのもゲームのキャラからの影響が大きかったです。見た目もそうですけど、キャラクターの考え方や行動から影響を受けて、自分の人生に役立っていることがたくさんあります。人生のバイブルみたいな作品もたくさんありますし。表情の作り方もアニメやゲームから学ぶことが多いです。

──なるほど。

 あと小さい頃にアニメのセリフの真似をたくさんしていた時期があって、それがもう体に染み付いてるんですよ。役者仕事をするときに「耳がいい」と言ってもらえることが多いんですが、セリフの真似をしていた経験が生きていると思います。感情的な演技よりも、音で吸収して演技に生かすというか。昔から実写作品をあまり観ていなくて、アニメのほうが馴染みがあるのでそこからの影響が大きいです。役者よりも声の仕事のほうが向いてるんじゃないかとか思ったこともあるんですよ。それくらいアニメというものへの思い入れや受ける影響は大きいですね。

零

──最後に「エパリダ」の放送を楽しみにしている人たちへのメッセージをお願いします。

 主題歌を歌わせていただけることになってすごくうれしいです。普段THE RAMPAGEの曲に馴染みのない方にも聴いていただける機会になると思いますが、そんな皆さんが聴いても「ヤッバいな」と思ってもらえるように曲作りをがんばりました。曲を知って歌詞を読み解いていったときに、「エパリダ」を存分に感じてもらえるように作ったので、アニメとがっちりリンクしてみんなの心に残るといいなと思います。コミック版もめちゃくちゃ面白かったので僕自身もアニメのTV放送をすごく楽しみにしています。

世界 僕はぜひ「エパリダ」をリアルタイムで観てもらいたいなと思っていて。

──なぜそこを強く?

世界 今は配信だけのアニメやドラマも多いですが、僕は同じ時間に同じ作品を観てSNSで感想を共有することがすごく大事なことだと思っていて。もちろん後日配信で観てもらうのもありがたいですけどね。僕もたぶん観ながらSNSでつぶやくと思いますし、皆さんと一緒に観られたらうれしいです。1つの作品を通してみんなでつながって、時間を作り上げていくのは素敵なこと。「あの人も観てるんだ!?」とかそういう発見もあるので、普段アニメを観ない方にもぜひこれを体験してもらいたいです。そして原作ファンの方にもこのアニメを楽しんでほしい。スタッフもキャストも毎週楽しくがんばって作った作品なので、1人ひとりのキャラクターを愛してもらえたら。まあサンダーパイクは嫌ってもらっても構わない……というかたぶんみんな嫌いになると思うんですけど、意外とかわいらしい部分もあって「あれ? 私、サンダーパイクに夢中になってるかも……?」みたいな瞬間があるかもしれない。それで僕もバリーを演じることに決めたので。まあ現実的に考えたら、サンダーパイクには入りたくないですけどね(笑)。

左から零、世界。

左から零、世界。

プロフィール

世界(セカイ)

1991年生まれ、神奈川県出身。2014年4月、オーディションを経てEXILEにパフォーマーとして加入。リーダー兼パフォーマーとしても活動するFANTASTICSで 2018年12月にシングル「OVER DRIVE」でメジャーデビュー。2024年2月から7月には単独アリーナツアーを開催。アニメやゲームなどの分野でも活動の幅を広げ、2022年に公開されたアニメ映画「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」のフジ役で声優デビューを果たした。

川村壱馬 / 零 L.E.I.(カワムラカズマ / レイ)

1997年1月7日生まれ、大阪府出身。2014年「VOCAL BATTLE AUDITION 4」に合格し、同年THE RAMPAGEのボーカルとなる。2017年1月に1stシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たし、2024年9月には自身2度目となる東京ドーム公演「THE RAMPAGE LIMITED LIVE 2024 *p(R)ojectR® at TOKYO DOME」を成功に収めた。俳優としては、2018年にスタートした「PRINCE OF LEGEND」シリーズでデビュー。2019年には「HiGH&LOW THE WORST」のドラマと映画で、物語の中心となる花岡楓士雄役を務めた。2025年1月にはTVアニメ『Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。』オープニング主題歌「Enter」にて“零 L.E.I.”としてソロアーティストデビューすることが決定。グループで培った歌唱力とラップスキルに磨きをかけ、アーティストとして新境地を切り開いていく。