ナタリー PowerPush - 藍井エイル

期待の実力派女性ボーカルが語る 新アルバムとライブとゲーム

ドラッグ オン ドラグーンが好きなゲーマー

──顔を出す前も、ニコ生でゲーム実況はやっていましたよね。なぜゲーム実況をやろうと思ったんですか?

ゲームが好きだからです!(笑) ゲーム実況は顔が出ないんで、顔を出す前からやってました。「いやあ私、割と自分の中ではゲームまあまあうまいほうだと思うんだけどな」とか思って、やってみたいなと思っていたんですよ。だけどゲームがうまいって言ってるのに、スタッフに「嘘だろう」とか言われて(笑)。話を盛る人だと思われてるんですよね。

──別のインタビューで好きなゲームとして「ダークソウル」とか「ドラッグ オン ドラグーン」の話をしてましたけど、そういうタイトルが出てくる時点で、かなりゲーム好きですよね(笑)。しかも、わりと暗い内容のゲームで。

もう暗めのゲームであればあるほど大好きです。あとオンラインゲームとかも結構好きで、「真・三國無双オンライン」とかをやってます。昨日も久しぶりにゆっくりできたんでちょっとやってて、5人殺してきました(笑)。「バイオハザード1・2」の走り方のモノマネとかもたまにやってて、私は似てると思うんですけどスタッフが誰もわかんないんですよね。

──じゃあニコ生のゲーム実況は、顔は出さないけどファンと交流できたんですね。

そうですね。顔を出したのは2012年の5月にファンの皆さんを招いてライブをやったときからです。

──しかし顔を隠していたわけですから、初めてお客さんの前に出たときは緊張したんじゃないですか?

怖かったです。5月のライブで最初に登場するとき、布で口元を隠して登場したんですよ。で、曲が始まって歌う瞬間にバーンと外したんですけど、もう布を持つ手が震えて(笑)。

──でも人前に出るというか、ライブバンドという形態は好きなんですね。

大好きですね。今はワンマンもバンドスタイルでやらせていただいています。やっぱりバックに「大丈夫だよ、いけるよ!」っていうメンバーがいるのは安心しますね。私は小学校のときからずっとバスケやってましたし、結構スポ根系らしいんですよ。「よーし、一緒にがんばろうぜ!」「ファイ! オー!」みたいな感じが好きで。ライブの前に全員で「エイエイルー!」って気合い入れて一つになってます。メンバーが「ミスっても大丈夫だよ! 気にすんなよ、俺らがカバーするからがんばれよ」とかすごく言ってくれるんで「みんな、がんばろうね!」みたいな気持ちになります(笑)。

新しい表現に挑戦した1stアルバム

──「ソードアート・オンライン」のように、藍井さんの曲がオープニングやエンディング曲になるアニメは、意外とゲーム的な設定の話が多いですよね。ゲーム好きとしてどんな気分ですか?

もう大興奮ですよ! 作詞をするときにまず「ソードアート・オンライン」の小説を読んだんです。そうしたら「パリィ」(RPGでの防御技)とかいう言葉が出てきて。「来た! パリィ! うわー出たよパリィ!」みたいな(笑)。さらに「タゲ」(「ターゲット」の略称)とかも出てきて「タゲきたー! タゲ被ったらダメだから!」みたいな感じで、大興奮しながら読みましたね。

──自分の好きなジャンルにバッチリはまっていたんですね(笑)。歌詞は基本的に物語の世界観を意識して作るんですか?

自分の心情で作っているんですけれども、作品の世界観から外れないように意識はしてますね。自分の今の気持ちと、アニメに登場する人物の気持ちの共通点を書いています。

──「AURORA」「INNOCENCE」とチャートの順位が上がっていく中でアルバムが発売されるわけですが、アルバムはどういうイメージで作っていったのでしょうか。

藍井エイルとしては「強さのある歌声」とか「憂い」をよく表現してきたんですけど、アルバムでは本当の悲しさとか、逆に笑顔が似合う楽しい表情とか、あるいは切なさとか、いろんな表情を入れることができたらと思って作りました。

──今までのシングルで見せていなかった表現を出そうと思ったわけですか?

そうですね。シングルもそれぞれ、自分の中ではやりきったと思っていたんですが、聴いていると「もっと向上心を持って、いろんな表現をやりたい」っていう気持ちが湧いてくるんですよね。だからアルバムではそういう、新しい藍井エイルが入っていると思います。

──ということは、今まで見せていなかったものだけでなく、今回のアルバムで新たに成長した部分もあるということですね。

はい。例えば「夢の終わり」という曲も、新しい表現に挑戦していますね。切ない感じが出るんじゃないかなと思って、声の表情以外に、吐息を意識してるんですよ。あと、この曲は声色を太くして歌ったりもしています。太くすることによって、ちょっと落ち着いた、大人っぽい感じに聞こえるかなと。「閃光前夜」とかも、四つ打ちのちょっとハウスっぽい感じで、今までの藍井エイルの楽曲になかったタイプなので難しかったです。どうしたらいいか最初はわからなかったので、プロデューサーさんといろいろ話し合いましたね。Bメロのところとか、ブレスをちゃんと決めておかないとダラダラした曲に聞こえたりするので。あと、さなぎから脱皮するというテーマの歌詞なので、声色はちょっとキンキンした子供っぽい声にしました。

──そういうシンガーとしての表現の工夫というのは、昔バンドをやっていた頃から意識していたんですか?

昔は全然考えていなかったです。音程しかわからなかった。「MEMORIA」を作った安田史生さんに「何か伝える感情がなかったら、人間が歌う意味はないよね」って言われて、本当にそうだなと思ったんですよ。楽器じゃなくて人間が歌っているからこそ、気持ちを伝えることが大事なんですよね。だからスピーカーを通してでも、歌で感情を伝えるにはどうしたらいいんだろうかって、ずっと考えてます。今も、同じ課題をずっと考えてますね。

ニューアルバム「BLAU」 / 2013年1月30日発売 SME Records
「BLAU」初回限定盤A[CD+Blu-ray] 3900円 / SECL-1263~1264
「BLAU」初回限定盤B[CD+DVD] 3600円 / SECL-1265~1266
通常盤[CD] 3000円 / SECL-1267
CD収録曲
  1. overture
  2. AURORA
  3. INNOCENCE
  4. サテライト
  5. 閃光前夜
  6. HIGH & HIGH
  7. アヴァロン・ブルー
  8. frozen eyez
  9. 夢の終わり
  10. Lament
  11. フェイスレス
  12. Reunion
  13. 空を歩く
  14. MEMORIA
  15. GLORIA
初回限定盤付属Blu-ray / DVD
  1. アヴァロン・ブルー(Music Video)
  2. MEMORIA -after days ver.-(Music Video)
  3. AURORA(Music Video)
  4. INNOCENCE(Music Video)
  • リスアニ!TV(藍井エイル特集 / 札幌ロケ・前編)
  • リスアニ!TV(藍井エイル特集 / 札幌ロケ・後編)

初回限定盤(A・B)はスペシャルスリーブ仕様&48ページフォトブック付き

藍井エイル(あおいえいる)

北海道札幌市出身の女性シンガーソングライター。幼少の頃より音楽に親しみ、高校在学中はバンドのボーカルとして活動していた。動画サイトへの投稿をきっかけに大きな注目を集め、2011年4月にアニソン雑誌「リスアニ!」の付録CDにオリジナル曲「frozen eyez」が収録される。同年10月、テレビアニメ「Fate/Zero」のエンディングテーマに起用されたシングル「MEMORIA」でメジャーデビュー。この作品はオリコンウイークリーチャートで初登場8位を獲得した。2012年9月には「AURORA」、11月には「INNOCENCE」と、人気アニメのテーマ曲となったシングルを次々とリリース。それと並行して2012年8月のイベント「Animelo Summer Live 2012 -INFINITY∞-」では3万人の観衆の前で歌声を披露し、9月には初のワンマンライブを開催するなど、ライブ活動も精力的に行っている。2013年1月、初のオリジナルフルアルバム「BLAU」をリリースする。