ナタリー PowerPush - Anxyz(アンクシーズ)

ムチャ振り連続PVで全国に笑顔と元気を届ける

18歳の自分への応援メッセージを今なら書けるんじゃないか

──今回のシングル「キミの、キミによる、キミのための物語」ですが、「18歳の自分に送りたい曲」というテーマに沿って書いたそうですね。

神王 失敗が怖くて前へ進むための一歩が踏み出せなかった18歳の自分に対しての応援メッセージを、今やったら書けるんじゃないか。そして、自分の夢に向かってなかなか動けない人の背中をちょっと押してあげられるような曲になるんやないかと思ったんです。

──神王さんのこれまでの歩みを聞いていると、とても失敗や挫折とは結びつかないんですが。

神王 社会人になってから最初に会社を辞めるときも怖かったですし、独立して右も左もわからん世界に飛び込んでいくのも怖かったですよ。それに、会社を経営したらいろんな問題が起こるんで、それを1つずつ乗り越えて成長して、また壁にぶつかって乗り越えてっていう繰り返しです。そういう経験ってあとになって振り返ると、意外といい思い出なんですよ。結局、「自分の人生の主役は自分。自分の物語の主役は自分なんだから、自分らしく生きよう」ってことですし、そういうことをこの曲で伝えていけたらと思ってます。

──●takeshiさんはこの歌詞を読んだとき、どう思いましたか?

●takeshi 僕は曲を作るときに必ず仮タイトルをつけるんですけど、この曲の仮タイトルは「エナジードリンク」だったんですよ。単にエナジードリンクを飲みながら作っただけなんですけど、作ったときに「前向きで明るい、元気が出るような曲」のイメージがあって。で、リュウさんにそのイメージを伝えたら、こういう応援ソングに仕上がったので、まさに僕の意図したとおりの内容になってました。

──仮タイトルにインスパイアされて歌詞が広がっていくこともあるんですか?

神王 基本的にはほとんどそうですね。曲によっては仮タイトルとメロディを聴くと歌詞が頭の中に浮かんでくることもありますし。この曲の場合は、メロディを聴いた瞬間に歌詞が出てきましたね。

横田 僕はリョウさんの書く詞が大好きで、生活していく上においてかなり核心を突いた内容が多くて、すんなり受け入れられるんです。この曲はノリの良い曲で、歌詞もすごくポジティブなので、その2つの相乗効果で聴き手にすごいパワーを与えてくれるんじゃないかと。僕も18歳のときにこの曲を聴いてたらまた今とは違った人生を歩んでいたかもしれないので、ぜひ若い子に聴いてもらいたいと思います。

PVはカッコよさでは勝てないので体を張るしかない

──ビデオクリップも観ましたが……かなりムチャしてますね(笑)。

●takeshi ロックバンドのPVってみんなカッコいい系ばかりじゃないですか。もちろん僕らそういった世界に憧れてますけど、言っても僕たちは無名だし、多くの人にPVを観てもらうことのほうが大事で。だから、今回はいかにカッコよく見せるかではなくて、ダサい素の自分たちを出すことをコンセプトにPVを撮影したんです。

神王 カッコよさでは勝てないので、だったら体を張るしかないやろと。誰もやらないようなことをしてみようかなってことになったんですよ。

──バンドの演奏シーンと、ロケシーンでのダサい場面との対比が非常に面白いですね。皆さん、女性から本気でビンタされたり粉をかぶったりしてますが。

●takeshi ガチでやられてます(笑)。

神王 とにかく「フラれまくろう」っていうことになって、面白いフラれ方を監督と一緒に考えていきました。

●takeshi しかもアイデアがどんどんエスカレートしていくし。特に(横田)雄くんがゴミ箱に入って転がるシーンはかなり印象的だと思うんですけど、最初僕が転がる予定だったんですよ。撮影現場に着いていざゴミ箱に入ろうとしたら、ゴミ箱のサイズが僕には小さすぎて入らなくて。で、試しに雄くんに入ってもらったらピッタリだったので、その場で彼に変わってもらったんです(笑)。

神王 結局彼が一番オイシイですからね。

横田 多分転がる才能は●takeshiさんより僕のほうがあると思いますよ。

●takeshi いらんわ、そんな才能(笑)。しかも、回を重ねるごとにどんどんうまくなって。

横田 体重移動がすごく難しいんですよ。2~3回NGを繰り返していくうちに、コツを体得したんです(笑)。

初めてのPV撮影で病院に運ばれる

──そのほかにも、何か撮影中の面白いエピソードはありましたか?

神王 実は彼(横田)が後頭部を打って病院に運ばれまして。

──えっ?

横田雄也(Dr)

●takeshi ショッピングカートに乗って押されるシーンがあるんですけど、僕と雄くんが横向きに乗って、その上にリョウさんが乗ってるんですね。リョウさんは結構自由が利くんですけど、僕らは全く身動きが取れなくて。で、坂道を下るときにバランスを崩して倒れてしまったんです。ショッピングカートから投げ出されて僕は受け身を取れたんですけど、雄くんは思いっきり頭をゴンと打って。

横田 打った瞬間に記憶が飛びましたよ。

●takeshi 撮影を1回中断して、彼を病院に連れていったんです。

神王 で、その日の記憶がほぼ飛んで、「なんで僕は病院にいてるんですか?」とか言って。すごく怖かったですね。

●takeshi CDジャケットで彼だけ包帯を巻いてるけど、あれホンマに病院から帰ってきた姿なんですよ。

──普通に演奏シーンだけを撮影してたら経験しなかったことですよね。

横田 初めてのPV撮影で病院に運ばれるというね。この先も絶対に忘れへんと思います(笑)。

ニューシングル「キミの、キミによる、キミのための物語」 / 2011年11月4日発売 / 1000円(税込) / Musicest Inc. / IEST-005

  • Amazon.co.jpへ
収録曲
  1. キミの、キミによる、キミのための物語
  2. 自分へのリクエスト
  3. Standing “O”
Anxyz(あんくしーず)

神王リョウ(Vo)、●takeshi(G)、横田雄也(Dr)からなるロックバンド。2008年に神王と●takeshiにより結成され、大阪を拠点に活動を開始する。2009年7月にシングル「キミは、天使なんかじゃない」「天使と気づいた、刹那」を2枚同時リリース。翌2010年7月には初のミニアルバム「SKY FISH」を発表した。その後、横田が加入し3人編成に。一度は音楽を諦めた経験を持つ神王による、聴き手の背中を後押しするポジティブな歌詞と、●takeshiが作曲するキャッチーなメロディが魅力。2011年11月に1年3カ月ぶりの音源となるニューシングル「キミの、キミによる、キミのための物語」をリリースした。