androp「hooray」インタビュー|デビュー15周年の集大成、ニューアルバムでリスナーに感謝 (2/2)

androp×SHE'S

──SHE'Sの井上竜馬さんとコラボしたのはどうしてだったんですか?

内澤 竜馬くんとは2018年にSHE'Sの対バンツアーにandropを呼んでもらったところから交流がスタートして。そこからメンバーそれぞれがSHE'Sのメンバーとの交流が生まれて、僕はコロナ禍でバンドが思うように動けなくて弾き語りのイベントが増えていた時期に、竜馬くんとイベントをやったりする中で「いつか一緒に曲を作りたいね」という話をちょいちょいしてたんです。それで15周年の企画をいろいろと話している中でSHE'Sとコラボする話が出て、竜馬くんにオファーしました。SHE'Sとandropが重なる部分って、聴いてくれる人を前向きにする曲が作れるところなのかなと思って、「Massara」はそういう方向性で作りました。SHE'Sと同じイベントに出た日に竜馬くんがマッサージ受けてる横で「コンパスをテーマに曲を作るのはどうかな?」って聞いたら「めっちゃダサいですね」と言われて(笑)。それでも横でギターを弾きながら軽く歌って作ってみて、その延長線でできた曲ともう1曲作ってまず投げてみたんですね。結果その2曲じゃない曲になったんですけど。

──結果、ブラスが入った、とても高揚感のある曲になりましたね。

内澤 そうですね。ブラスは竜馬くんが提案してくれて、SHE'Sのレコーディングによく参加している方にお願いしてブラスを入れてもらいました。

androp

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音楽家冥利に尽きる1日

──「Massara」はandropフェスで初披露されましたが、フェスを通じてどんなことを感じましたか?

前田 1年半くらいかけてブッキングをして、出たいけどスケジュール面で難しいアーティストもたくさんいる中で「開催できるのかな?」と思ったり、いろいろなストーリーがありながら、結果素晴らしい方々に集まってもらえました。フェスは我々だけではできないので、出てくれたアーティストにも来てくださったお客さんにも感謝してますし、「一緒にやろう」と言ってくれた「TOKYO ISLAND」のプロデューサーの鹿野淳さんにも本当に感謝してます。

佐藤 まさに感謝に尽きますね。15年やってこなかったら出会わなかったであろうアーティストたちがMCでandropのことを話してくれて、何度も泣きそうになりました。

伊藤 感謝ももちろんですし、大変だったことも含めて、すべての感情のパラメーターが振り切ったような1日になって、燃え尽き症候群じゃないですけど、翌日と翌々日は死ぬほど体調悪くなりました(笑)。大きな節目をいただいたなと。音楽家冥利に尽きる1日だったなとすごく思いました。

内澤 僕も熱が上がってそのあとの仕事を休んでしまいました(笑)。それだけいろいろな思いが詰まってたんだと思います。15年続けたからできたことですし、出てくれた先輩方の中には15周年よりもっと上の周年を迎えている方たちがたくさんいて。その人たちに「お前らもっとやれよ」って言われてるようにも思えて身が引き締まりましたね。あのフェスで感じた思いは全部音楽に還元していきたいです。

内澤崇仁(Vo, G)

内澤崇仁(Vo, G)

15周年の集大成

──アルバムのラストに収録されている「NaNaNa」は過去と今のことを歌いつつ、未来につながるような曲になっていますね。

内澤 アルバムを締めくくる曲でもありますし、来年のLINE CUBE SHIBUYAでのライブも含めて、15周年の感謝とこれからの希望みたいなものを共有できるような曲にしたいなと思って作った曲です。

──あきらめないことの大切さが伝わってきましたが、それはやはり内澤さん自身が思っていることなのでしょうか?

内澤 そうですね。andropを長く続けたいと思ってやっていたわけでもなく、目の前の音楽や目の前の人に対して誠実でいたから続いてきた。続けてこられたことに対してすごく感謝しているし、続けてこられたからこそ言えることがたくさんあって。その気持ちを込めました。

伊藤 内澤くんの曲作りもだんだん変わってきていて。曲を通して性格や他者との触れ合い方の変化を感じ続けてきたんですが、「NaNaNa」は今思っていることやライブに来てくれる人に対しての強い気持ちをすごく感じます。自分も感謝の気持ちで演奏していますね。プレイヤー目線の話をすると、こういうゴスペルチックな曲は自分のバックボーンにあるので、とてもスムーズに演奏できました。あと、どうでもいい話なんですが、前田がこの曲のレコーディングの時期ハーフタイムシャッフルというドラムのパターンにハマっていて、これでもかというぐらい入れた記憶がありますね(笑)。

前田 「おつかれ!」って感じです(笑)。別にやらなくてもよかったのに、僕がたまたまハマっていたから応えてくれました。

伊藤 そう。やらなくても全然よかったんだけど、無駄にゴーストノートが入ってる(笑)。

前田 それが曲のフックになってると思うのでありがたいです。

伊藤 誰にもわからないと思うけど、けっこう手数の多い曲になってるよね(笑)。

前田 そう、伝わらない手数(笑)。

佐藤 この曲と「Sound Check」が最後のタームのレコーディングだったんですが、改めて10曲並ぶと1曲目の「Sound Check」と最後の「NaNaNa」の歌詞の流れは15周年を表すアルバムとしてとてもいいものになったんじゃないかなと思います。

──12月29日には「RADIO CRAZY」でSHE'Sとのコラボスペシャルステージが行われ、来年1月11日にはアニバーサリーライブが開催されます。今後の展望についてはどんなことを考えていますか?

佐藤 LINE CUBEは15周年の集大成となるようなライブですが、このアルバムをしっかりと聴いてもらえるようなライブもやっていきたいなと思っています。やることはまだまだいっぱいありますね。

内澤 はい。やれることはまだまだたくさんあります。

androp

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公演情報

androp -15th. Anniversary Special Live-

  • 2025年1月11日(土)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

プロフィール

androp(アンドロップ)

内澤崇仁(Vo, G)、佐藤拓也(G, Key)、前田恭介(B)、伊藤彬彦(Dr)からなる4人組ロックバンド。2009年12月に1stアルバム「anew」でデビューし、2011年2月にメジャー第1弾作品となるアルバム「door」をリリースした。2014年3月に東京・国立代々木競技場第一体育館で初のアリーナ単独公演を開催。2016年3月に自主レーベル・image worldを設立し、10月に4thアルバム「blue」を発表した。2021年3月には同レーベルの設立5周年記念ライブを大阪・Billboard Live OSAKAで行った。2024年9月から11月にかけてはデビュー15周年を記念した全国ツアーを実施。12月にニューアルバム「hooray」をリリースした。