雨宮天「PARADOX」 PR

雨宮天|ポップに突き抜けた新境地の10thシングル

雨宮天が1月15日にニューシングル「PARADOX」をリリースする。

シングルの表題曲は、自身が氷室菖蒲役で出演するテレビアニメ「理系が恋に落ちたので証明してみた。」のオープニングテーマ。これまでシリアスな世界観を持つ楽曲を歌うことが多かった彼女がポップなメロディに乗せて恋心を歌い上げ、新たな表情を見せている。

音楽ナタリーでは、雨宮にとって新境地となったこのニューシングルについて本人にインタビュー。さらに1月18、19日に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールで開催されるワンマンライブ「LAWSON presents 雨宮天ライブ2020 "The Clearest SKY"」に向けての思いや、9月に行われたライブイベント「LAWSON presents 第2回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル」大阪・Zepp Namba公演で自作曲を披露した経緯についても伺った。

取材・文 / 須藤輝

ポップな方向で攻めたことはなかった

──雨宮さんをソロでインタビューさせてもらうのは、2ndアルバム「The Only BLUE」(2018年7月発売)以来になるんですよね(参照:雨宮天「The Only BLUE」インタビュー)。

そうなりますね。TrySailではそれ以降も取材していただきましたけど。

──そのアルバムから今作に至るまで3枚のシングルをリリースされましたが、どれもアグレッシブかつシリアスな楽曲で、いちリスナーとして「お元気そうで何より」と思っていました。

おかげさまで(笑)。はい、元気に活動していました。

──そこから一転して「PARADOX」という極めてポップな曲を歌われて。驚きました。

驚きですよね(笑)。流れとしては、まず私は「理系が恋に落ちたので証明してみた。」という作品で氷室菖蒲役を演じることが決まりまして。そのあとにオープニングテーマのお話をいただいたんですけど、曲のイメージが“明るくてポップ”というものだったんです。であれば、私としても新境地を開拓するチャンスだなと。私は何をやるにしても半端にやるのはイヤなので、結果としてこのような形になりました。

──「ポップな曲はイヤだなあ」とか思わなかったんですか?

いや、むしろ「おおー、これは楽しそうだぞ!」と思いましたし、皆さんもびっくりするんじゃないかとワクワクしました。これまで私は“攻めに攻める”という姿勢をずっと崩さずに活動してきたつもりなんですけど、ポップな方向で攻めたことはなかったので。

──雨宮さんのディスコグラフィには「チョ・イ・ス」(2014年11月発売の2ndシングル「月灯り」カップリング曲)や「RAINBOW」(2016年9月発売の1stアルバム「Various BLUE」収録曲)のような比較的ポップな曲もありますが、それらと比べても「PARADOX」の攻めっぷりは突き抜けていますね。

その「チョ・イ・ス」がファンの皆さんに大人気で、リリースイベントとかで「今後、雨宮天に挑戦してほしいことは?」的なアンケートを取ると「『チョ・イ・ス』みたいな明るい曲を歌ってください」という回答がけっこう多くて。まあ、その要望を私はシングルを出すたびにぶった斬ってきたんですけど(笑)。

──ぶった斬ってきた(笑)。

ただ、そういう皆さんの声も頭の中にはあったので、それに応えるという意味でも「PARADOX」はいい機会だなと。だから、いろんな状況がタイミングよく重なって生まれた曲とも言えますね。

──「PARADOX」のリリースが「ポップでキャッチーな曲」という公式コメントと共にアナウンスされたとき、Twitter上で雨宮さんのファンの皆さんがかなりざわついていたんですよ。その後、ラジオで初オンエアされた際もやはり大きな反響がありました。

ありがたいです。

──で、前回のインタビューで雨宮さんは「“雨宮天だけの世界観”を確立したい」とおっしゃっていましたが、「PARADOX」に対する皆さんの反応は、雨宮さんの世界観が確立されたことの裏付けでもあるのかなと。要は、確立された世界観を覆すような曲だからびっくりしたわけで。

おお。確かに、最近は皆さんの中に“雨宮天像”を築き上げることができたんじゃないかという手応えを感じています。でも「PARADOX」のリリース自体は、言ってしまえばタイミングが合っただけなんですよ。そういう意味では、今年はアーティストデビュー5周年だし(※インタビューは2019年12月上旬に実施された)、「PARADOX」は私にとって10枚目のシングルなんです。そのタイミングで新しい挑戦をする機会をいただけたという。

──ポップな曲を歌うことが挑戦になるというのも雨宮さんならではですよね。

どちらかというと逆ですよね(笑)。

私は闇を消すこともできるんだぞ

──例えば6thシングル表題曲の「誓い」(2018年5月発売)はアニメ「七つの大罪 戒めの復活」のエンディングテーマで、その歌詞の内容は同作で雨宮さんが演じるヒロインのエリザベスの心情を描いたものでした。ゆえに、この曲を雨宮天として歌うのか、エリザベスとして歌うのか悩み倒したと(参照:雨宮天「誓い」インタビュー)。

はいはい。

──「PARADOX」も「リケ恋」で雨宮さんが演じる氷室菖蒲の恋心を歌っています。状況としては似ていますよね?

そうですね。でも今回は、氷室菖蒲というキャラクター自体は基本的にはクールな印象で、私も演じるときは声を大人っぽく作っているんです。要は、私が意図して菖蒲に寄せない限り、キャラソン的になることはないだろうと。なので、あまりキャラのことは気にせず、曲のかわいらしさに合うような声色や歌い方を意識しました。

──いつもの“カッコいい”ではなく、完全に“かわいらしい”に振り切っていますね。

雨宮天「PARADOX」期間生産限定盤ジャケット ©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会

そのかわいらしさの塩梅もいろいろ迷ったんですよ。でも、今言ったように菖蒲は一見するとクールなんですけど、彼女の中にある乙女の部分はすっごく純粋で愛おしいんです。だから私も、その無垢な乙女心みたいなものをイメージして。

──ソロでは見せてこなかった表情ですよね。

そもそも私のソロ曲には恋愛曲がほぼないので。基本的に私はいつも闇を切り裂いているタイプだし、今までの世界観の中では恋愛なぞしている暇はなかったんです(笑)。

──「PARADOX」における雨宮さんの歌声はかわいらしいと同時に、とても肩の力が抜けていますよね。それがスカ風味の軽快なアレンジにもマッチしています。

ありがとうございます。おっしゃる通り、今まで自分が歌ってきた楽曲とは声量がだいぶ違いますね。だいたい私は何かと戦っているので叫ぶように歌うことが多くなりがちなんですけど、「PARADOX」は会話するようなテンションで歌いました。ここで変に力んでしまったら、私がイメージする乙女心とはかけ離れたものになってしまうので。

──「誓い」のカップリング曲の「Abyss」などを歌っていた人とは別人のようですもんね。

ですよね。「Abyss」は闇の底から叫ぶように歌ったので。片や「PARADOX」はあまりにもカラッとしていますよね。

──歌唱表現における明暗の落差が半端ないです。

それはとてもうれしい感想です。「私は闇を消すこともできるんだぞ」と(笑)。

“人間の若い女性”のイメージで

──「PARADOX」の歌詞は、理屈では説明できない恋という感情をどうにかして定義ないしは証明しようというものです。雨宮さんもそういうところがあったりします?

ああ、感情を定義したい気持ち……。

──例えば雨宮さんは“青”がお好きですが、なぜ好きなのか論理的に裏付けできないと気が済まないとか。

昔はかなりその傾向が強かったですね。“好き”であれなんであれ、自分がその感情を抱いた理由を、常に言葉で説明できる状態にしておかないと不安でならなかったんです。だから「PARADOX」の歌詞にはすごく共感できますね。ただ、今も根っこの部分は変わらないと思うんですけど、声優の仕事をするうちに多少は柔軟に考えられるようにもなりました。やっぱり、キャラクターの感情というものを声で大事に作っていくわけじゃないですか。そのとき、すべてにおいて理論で固める必要はないし、言葉で説明できない感情も「そういうものとしてそこにあっていいのかな」みたいに思うようになりましたね。

──今回はジャケットをはじめビジュアルの雰囲気も一変していますが、とてもいいですね。

ありがとうございます。これまでは「この人は何者なんだろう?」みたいな、現実には存在しない異世界の住人的な感じだったんですけど、今回は衣装もカジュアルで等身大というか、“人間の若い女性”のイメージで。

──人間の(笑)。雨宮さんはご自身の見せ方にもこだわりをお持ちですもんね。

私は“声優として歌を歌う”ということをとても大事にしているんですけど、私が目指す声優像というのは、簡単に言えば幅広くいろいろなキャラクターを演じられる声優なんです。最初に2ndアルバム以降の3枚のシングルに触れてくださいましたけど、「Defiance」(2019年1月発売の7thシングル)と「Regeneration」(2019年11月発売の9thシングル)では一番スタンダードな、あるいはアニソン的な“クールな雨宮天”というものをお見せできたと思っていて。その間に挟まれた「VIPER」(2019年7月発売の8thシングル)では、スタンダードではない、突飛な攻め方ができたという自負があったんです。

──なるほど。

そのうえで、さっきも言ったように5周年、10枚目の節目で、楽曲面でも新たなキャラを演じたい。そうなると……ちょっと話が変わるんですけど、私はライブでは曲ごとの世界観を可視化したいんですよ。なのでジャケ写のような目に見える部分では特に、曲の世界の住人もしくは主人公になりきりたいという思いもあり、このビジュアルなりました。

──ミュージックビデオも“かわいらしさ”全開ですが、同時にコミカルでもあります。

もともと私はアニメとかでもコメディが好きでして、「リケ恋」もいわゆるラブコメディなんです。だから私としては、MVではかわいらしさをアピールするというよりは、かわいらしさを過剰に押し付けることでシュールなギャグとして楽しんでもらいたいという狙いがあって。当然そこでも半端なのはイヤなので、全力でブリブリしました(笑)。