メンバーの入院を乗り越えたオーラルとalcott

山中　alcottは昔から、お客さんがリストバンドの代わりに手錠をかけるライブ「神戸大監禁」とかやってたし、面白いことをしようっていうのが活動にも曲にも表れていて、インディーズの頃からずっと見習わなアカンなと思ってた。本当に切磋琢磨してた覚えがあるなあ。いろいろ一緒に考えてやってたよな。

貴田　そうやな。ライブの作り方とかいろいろ話してたな。オーラルがMASH A&Rへの所属が決まるときも相談されて2人であれこれ悩んだよな。そこからさらに売れていく経緯を間近で見させてもらって勉強させてもらってるっていうのはある。僕らはギターのうっちー（内田将之）がガンで1回入院してて。拓也も肝臓を患って入院したよな？ それでも復活してここまで行けたのはなんでなん？

山中　俺は1カ月半ぐらい入院したんだけど、そのときにたまたま応募してたのがMASH A&Rってオーディションで。入院中にそれに合格したという連絡を受けたからがんばれた。集中治療室にも入ってたくらい病状はけっこう厳しかったんだけど。だからalcottもメンバーが入院したというのを聞いたときに「絶対大丈夫」ってめっちゃ言った覚えがある。

貴田　ほんまにすごいよね、その力。僕はどちらかと言えば支える側だったんやけど、自分が病気になったら怖いなと思ってしまうもん。そのときほかのメンバーはどんな感じやったん？

山中　「もうこれ以下はないからがんばろうぜ」「とりあえずもがくだけもがこうぜ」って。めっちゃ支えてもらったっすね。でもalcottもメンバー仲いいし、宰司くんからも「支えたい」というのを聞いてたから、絶対大丈夫だと思ってた。

貴田　ギターが入院してたときはそいつ抜きで活動するしかないと思って、そのときはメンバーが4人やったんやけど、3人でやる用に曲をずっと作ってて。「あいつがギター弾きたくなるような曲を」って。そのとき作った作品が「KHAIR -ハイル-」と「KHUSER -フセル-」っていう同時にリリースした2枚のアルバムなんですけど、うっちーに対する思いが強いです。オーラルはそこから復活してガンガン進んでいったから、僕らも諦めずに進んでいきたいですね。

それぞれのブレイクポイント

貴田　出会った頃からすでに3組はライブがめちゃくちゃヤバくて。オーラルはMCオモロいし、演奏カッコいいし。奈良ってそんなに笑いに貪欲じゃないイメージがあるんやけど、オーラルはほんまオモロかった。

山中　よう言いますわ。alcottがいっちゃんオモロかったっすよ。

貴田　リズミックはとにかく「歌うますぎやろ」って思ってた。「うっちーヤバい！」って。「なんでそんなに歌うまいん？ なんなん？」って感じ。

内田　ありがとう。

貴田　ドラマチックアラスカはほんまに曲がカッコいい。こないだひさしぶりにライブを観させてもらったんですけど、相変わらずめちゃくちゃヤバくて。しかもバリ盛り上がってたしな。お客さんがカーンと増えていったり、ライブがガッとよくなったりした瞬間っていつなん？

ヒジカタ　ここっていうポイントなくないですか？

内田　ない。そのときは無我夢中で、目の前にあることをなんとか乗り越えようと必死で、あとから「こういうとこにも呼んでもらえるようになったんやな、もっとがんばらな」って気付くみたいな。

ヒジカタ　僕らはずっと発展途上と言うか……もちろんいいライブはしてるって思ってるけど、まだまだやれることやらなあかんことはあるからっていう繰り返しかな。とにかく年間80本くらいライブしてます。

貴田　ドラマチックアラスカはサポートメンバーを入れた編成でずっとやってたやん。その中でいいライブを重ねていくって相当大変やと思う。

ヒジカタ　この1年は本当に人がたくさん入れ替わったんですけど、僕がブレないでいたらバンドは続くと思って、なんとか歩みは止めないで続けてきました。

貴田　ほんますごいことやんな。

ヒジカタ　練習のためのリハにめっちゃ入らないといけないので、曲が全然作れなかったですね。僕セッションじゃないと作れないんで……。

内田　でもコンスタントにリリースしてるよな。

ヒジカタ　この1年は時間的にはけっこうキツかったですけどね。精神的にはまだまだやれるって感じです。

山中　僕らはインディーズのときからずっと「2年計画」っていうのを立て続けてて。「2カ月後はこれをやる、4カ月後はこれをやる、6カ月後はこれを達成してる……」っていうのをメンバーとの会議で2年先まで立てて、達成できなかったら反省会をするというのを繰り返してる。だから例えば「QUATTROでワンマンする」と決めたときも、そのときは全然埋められる状況じゃなかったけど、そこにどうアプローチしていくかを死ぬほど考えるっていうことをしてきた。それが今、バンドが前に進んでる一番の理由じゃないかなって思ってる。そうすると、ライブも1本1本大事にできるし。

貴田　よし、僕らも2年計画立てます。

内田　もろパクりやん！（笑）

貴田　僕らも自分らで計画を立ててやってきたんですけど、自分らだけじゃ結局結果が出てないわけで。事務所が決まって、第三者からびちくそ言われて、それを1つずつ潰していくことで、ようやく全国流通盤を出せるところまでたどり着いた。これからも、目の前のことを1個1個潰していくことで前に進んでいこうと思ってます。