ナタリー PowerPush - Aimer

“夜の始まり”に見た、彼女の軌跡

ライブの空気感をダイレクトに感じてほしい

──改めてアルバムについて聞かせてください。1曲目の「After Dark -prologue-」から5曲目「After Rain」までの新曲群は、“After Dark"=夜の始まりだけではなく、そこからの時間の経過を描いているように感じたんですが……。

2013年6月22日にアイスランド・GREEN HOUSE STUDIOで行われたAimerのインターネットライブ「[The Midnight Sun]」の様子。

気付いていただいてありがとうございます(笑)。「After Dark -prologue-」から「AM02:00」までの4曲が過去や昨日を見つめる曲だとしたら、5曲目の「After Rain」は次の朝をストレートに見据えているナンバー。4曲目までいい意味で深くダークな曲が続くので、後半のライブ音源へとつながる明るい曲をひとつ入れてみたって感じなんです。

──確かに「After Rain」はアルバムの表情が大きく変わる後半への効果的なブリッジになっていると思います。

よかった!(笑)

──6曲目以降のライブ音源に関しては、Aimerさんの代表曲的なナンバーも多く、ある種、入門編的な意味合いもあるのかなって思ったんですけど。

本当にその通りですね。12曲目「六等星の夜(from Live at anywhere)」以外は全部同じ日、今年の4月に教会で行なったライブ音源なので、その日のライブの空気感もダイレクトに感じていただけるのかなって。曲順もセットリストのままだし、少し恥ずかしいんですけどMCもカットせず入れているので(笑)、そこも聴いてもらえたらと思います。

──この入門編的なライブ音源を通じて、Aimerビギナーの皆さんに伝えたいことって?

レコーディングと違って、ライブはお客さんの状態も自分のコンディションに関わってきたりするので、この音源には先ほど言った通り、まさにその日の空気感や生の雰囲気が収録されてると思うんです。教会ライブ当日は私もすごく緊張していて、きっとその緊張も記録されているでしょうし。ただライブはすごく楽しくて。この音源を聴いて、緊張しながらも歌えることを楽しんでいる私の姿を感じてもらいたいし、その上で実際にライブに来てみたいと思ってもらえたら一番うれしいですね。

「ここではないどこか」へ連れて行きたい

──アルバム収録の教会ライブのほかにも、プラネタリウム、水族館、アイスランドからのインターネットライブなど、Aimerさんはこれまでにさまざまな場所で歌を披露していますけど、今後歌ってみたい会場はありますか?

普通のライブハウスでももちろんやってみたいですが、通常歌うところじゃない場所でのライブはこれからもいろいろやっていきたいなと思ってます。今のところ具体的にどこでっていう計画はないんですけど、ちょっと非日常感があるところでのライブは続けていくつもりです。

──そういう非日常的な場所とAimerさんの声の親和性って、ご自身ではどんなふうに感じていますか?

2013年4月11日に東京の某教会で開催されたAimerのワンマンライブの様子。

どうなんでしょうねえ。自分ではあまり相性がいいとか悪いとかといったことはわからないんですが、そういう場所で歌うとレコーディングスタジオやライブハウスで歌うときとは自分自身の気持ちも違ったものになるので。あと照明設備がしっかりしているわけではないので、あまり顔の見えない暗がりの状態でライブをすることも多いので、皆さんをより“ここじゃないどこか”へライブで連れて行けるのかなって思います。それに非日常的な会場だからこそ、お客さんは来るまでに「どういう感じなんだろう?」って想像することもできるでしょうし。そうやって「場所」も含めてライブを楽しんでもらいたいですね。

──ただ、そういう場所で歌うのは怖くないのかな?とも思うんです。ライブハウスは最初から人が歌い、演奏するために設計されているけど、教会やプラネタリウムはそうじゃないじゃないですか。

そうですよね。でも本来歌う目的で作られてない場所は、より「生」な感じがするというか、その場所自体が自分のパフォーマンスに影響してくることが多いですね。だからこそ、その場所でどういう音が鳴るのか、当日のリハーサルである程度把握してから歌うっていう作業が必要なんですけど、それも回を重ねるうちにだんだんできるようになってきているし、楽しめるようなったなって思ってます。

──最後に2014年の活動予定についても聞かせてください。

今回、これまでの軌跡を1回まとめたアルバムを出したのには「来年からの活動も踏まえて」という意味もあるんです。具体的なスケジュールについては今まさにスタッフと話し合ってる最中なんですけど、2014年も精力的に活動できそうな予感はしてます(笑)。

Aimer
Aimer ニューアルバム「After Dark」/ 2013年11月20日発売 / 2200円 / DFCL-2046
「After Dark」ジャケット
収録曲
  1. After Dark –prologue-
  2. ポラリス
  3. words
  4. AM02:00(haruka nakamura La Nuit remix)
  5. After Rain
  6. Amazing Grace(Live in church ver.)
  7. あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~(Live in church ver.)
  8. 今日から思い出(Live in church ver.)
  9. 星屑ビーナス(Live in church ver.)
  10. 寂しくて眠れない夜は(Live in church ver.)
  11. RE:I AM(Live in church ver.)
  12. 六等星の夜(from Live at anywhere)
阿部真央 アルバム「貴方を好きな私」/ 2013年8月28日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤[CD+DVD] 3400円 / PCCA-03888
通常盤[CD] 2900円 / PCCA-03889
阿部真央ライブ情報

全国ホールツアー「阿部真央らいぶNo.5」

  • 2013年11月23日(土・祝)
    広島県 上野学園ホール
  • 2013年11月24日(日)
    岡山県 倉敷市民会館
  • 2013年11月29日(金)
    石川県 金沢市文化ホール
  • 2013年12月6日(金)
    新潟県 新潟県民会館
  • 2013年12月8日(日)
    長野県 松本キッセイ文化ホール中ホール(SOLD OUT)
  • 2013年12月12日(木)
    北海道 札幌市教育文化会館大ホール
  • 2013年12月16日(月)
    東京都 東京国際フォーラムホールA(SOLD OUT)

全席指定チケット料金:5250円(税込)
詳細は阿部真央オフィシャルサイトまで。

Aimer(えめ)
Aimer

女性シンガーソングライター。幼少期より両親の影響で音楽に親しみ、ピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始める。15歳のときに声が一切出なくなるアクシデントに見舞われるが、回復とともに独特の甘い歌声を得る。2011年から本格的に音楽活動を開始。幅広いジャンルのクリエイターとコラボレーションし、楽曲提供やゲストボーカリストとしての活動を通じてその才能が知られるようになる。同年5月にはヒット曲をジャズアレンジでカバーしたコンセプトアルバム「Your favorite things」にボーカリストとして参加し、収録曲であるLADY GAGA「Poker Face」のカバーがiTunes Storeの国内ジャズチャートで初登場1位を記録した。9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビュー。2012年8月発売のシングル曲「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」はテレビアニメ「夏雪ランデブー」のエンディングテーマに採用され、大きな注目を集めた。その後10月に初のフルアルバム「Sleepless Nights」、12月にカバーアルバム「Bitter & Sweet」と精力的なリリースを展開。2013年8月には「眠りの森」を配信限定シングルとして発表。11月には新曲とライブ音源を収録したアルバム「After Dark」をリリースする。

阿部真央(あべまお)
阿部真央

1990年1月24日生まれ。大分県出身のシンガーソングライター。2009年1月にアルバム「ふりぃ」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。等身大の歌詞とポップなメロディ、表現力豊かなボーカルが、同世代を中心に支持を集める。「ROCK IN’JAPAN FES.2009」「MEET THE WORLD BEAT 2009」などデビュー年より大型フェスに出演し、翌2010年1月に2ndアルバム「ポっぷ」、2011年6月に3rdアルバム「素。」をリリース。全国ツアーやアヴリル・ラヴィーンのサポートアクト起用など精力的なライブ活動を展開する。2012年6月に4thアルバム「戦いは終わらない」を発表し、自身初の全国ホールツアー「阿部真央らいぶNo.4」を開催。2013年には「最後の私」「貴方が好きな私 / boyfriend」という2枚のシングルと、5thアルバム「貴方を好きな私」をリリースした。